Erykah BaduのWindow Seat

3週間前に発売されたErykah BaduのニューアルバムからのファーストシングルWindow Seatは、過激なビデオ(あえてPVとは言いません)が物議を醸した。
この作品で、エリカは自身の生まれ故郷であるダラスにあるディーリープラザ(ケネディー暗殺の場所)を歩きながら、服を脱いでいき、しまいには全裸になってしまう。そして彼女が全裸になったとたん銃声が鳴り響き、彼女が道路に倒れ込むのだ。

多くのニュースで報じられた通り、彼女はこのビデオの撮影を無許可で行ったことで罰金刑を科された。多くの非難も浴びている。

しかし私はなぜエリカバドゥが身の危険を冒してまでこんなビデオを撮ったのか、ということにとても興味を持った。

この曲(ビデオ)の最後に彼女は次のように語る。

They who play it safe, are quick to assassinate what they don't understand. They move in packs, ingesting more and more fear with every act of hate on one another. They feel more comfortable in groups, less guilt to swallow. They are us. This is what we have become, afraid to respect the individual.

エリカのメッセージは簡単に言えば群集心理への批判である。群集の中にいないと不安でしかたなくなり、群集といっしょに愚かな方向に向かってしまう私たちへの批判である。
彼女は全裸になることで身を持って群集の中でindividualであることの困難さを示し、さらにそれがassassinateされる現場を描いた。彼女は闘っているのだ、と私は思った。

彼女の闘う方法は、私に一瞬自爆テロを想起させた。
しかし私はいまindividualであることと、自爆テロを行うこととは相容れることではないと理屈で考え直すに至っている。


Erykah Baduの新作はとてもすばらしいです。ストイックなのにそれがかえって官能的に見える稀有な才能をもった歌手です。おすすめします。


*この記事を書くにあたって、著名なキュレーターとしてNYを拠点に活躍なさっている渡辺真也さんのブログ(とてもおもしろいです)を参照しました。



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by terakoyanet | 2010-04-21 13:41 | 塾長おすすめの書籍・CD | Trackback | Comments(0)