シェムリアップの空港、ホテル、そして町のこと。
2010年 10月 13日
目的地はもちろんアンコール遺跡群です。
今日はシェムリアップ(シエムレアプ:Siem Reap)の空港やホテルについて書きたいと思います。
思いのままに蛇行する河川、巨大な黄唐茶色の水溜り、その周囲に果てしなく広がる氾濫原。
これまでに一度も見たことのない風景でした。
シェムリアップ空港に着いて驚いたのは、その空港の美しさ。
2005年にニューオープンしただけあって清潔感があり、そのわりにこじんまりとした地方都市感は失っておらず、好印象を持ちました。
今回、私たちが滞在したのは、プリンス・ドゥ・アンコールホテル。
この地区の中級ホテルです。
事前にネット予約して行ったのですが、2名で1泊1万円ちょっととかなり格安でした。
その値段の割にはありえないくらい、贅沢なホテルです。
立地は町の中心、すぐそこにコンビニ等もあり便利です。
アメニティやルームサービス等も充実しています。
シェムリアップに来て驚いたことは、リゾート地としての開発が思ったより進んでいることです。ホテルのサービスも、バンコクやホーチミン等のアジアの大都市よりむしろ洗練されていました。
微笑みの国、と言えばタイですが、ここカンボジアの人々の笑顔は、私の知るタイの人たちの笑顔より素敵でした。ホテルの従業員もレストランの給仕係も、仕事を楽しんでいるように見えたのが印象的でした。
カンボジアは私たちが生まれたころはクメール・ルージュ支配の暗黒時代。1990年代初めまでシェムリアップ周辺では内戦が絶えませんでした。
外国人たちが安心してこの街を訪れるようになったのはようやく十数年前のこと。
このことを考えると、カンボジアの人たちの無垢な笑顔のわけがわかったような気がしました。
彼らは現在の観光業を親から受け継いだわけではありません。彼らは外国資本のホテル経営者によるホスピタリティ教育を受けた地方都市の青年たち。
地方独特の垢ぬけない笑顔をふりまきながら、教育を受けたとおりの質のよいサービスを提供する。この感じ、どこかに似ているなあ、と思ったら、同じく地方発のリゾート、バリ島(インドネシア)の人たちの印象に似ていることに気づきました。
一方で思いました。地方独自の文化がしっかり根づいているバリ島と比べて、このシェムリアップは、いつまでこの素朴な柔らかいリゾートの雰囲気を持ち続けることができるだろうか、と。カンボジアの戦争の傷跡はあまりに深く、地域文化の継承に大きすぎるダメージを与えました。そのダメージからカンボジアはまだ到底立ち直っているとは言えません。
外国資本によるリゾート開発が進むシェムリアップを見て思うのは、この町に、リゾート開発が進んだのちも、燦然と輝くオリジナリティを発揮するだけの力があるのだろうか、ということです。
リゾート開発はつまり、他のリゾート地との均一化を図る行為です。
シェムリアップには遺跡はあります。しかし、美しい海、どころか海自体がありません。
灼熱の太陽と高湿でほこりっぽい空気は、旅行者の身体を蝕みます。
シェムリアップの人たちが将来、観光業に慣れ、形式的なサービスをすることに慣れ、素朴な微笑みを忘れてしまったときには、旅行者たちは、もっと快適な気候のハワイに、美しい海を持つ沖縄やタヒチに、独自の文化が花開くバリに、夜遊びも楽しいプーケットに足を運ぶばかりで、シェムリアップという内陸のリゾートの存在を忘れてしまうかもしれません。
私はもう一度シェムリアップに行きたいと思っています。
シェムリアップ周辺には今回、周り切れなかった遺跡群がまだまだ数多くあります。
ちなみにアンコール遺跡群はトイレの整備などがすばらしく、とても助かりました。
タイやベトナム、フランスやイタリアの観光地なんかと比べれば、こちらのトイレ設備の充実がどれだけありがたかったことか。
他にも観光客と現地サービス(タクシー等)とのトラブルを防ぐためにいろいろな策を講じていることがわかり、安心して滞在することができました。
ソフィテル・アンコールはシェムリアップ有数の高級ホテル。
今回、私の妻のお母さんがたまたま私たちと同じタイミングでシェムリアップのこのホテルに滞在していたので、遊びに行きました。
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