ボンのベートーヴェン・ハウスへ
2013年 11月 08日
1949年のドイツ憲法であくまで暫定的な首都と位置づけられていたボンは、ドイツ統一後にはその座を再びベルリンに譲り渡し、ラインラントの一地方都市に戻ります。(政府の省庁の多くはいまだにボンに残っていますが。)
貧しい大都市のベルリンと豊かな小都市のボン。
経済的にボンの裕福さはベルリンと比べるまでもありませんが、一方で、貧しいながらも強烈な魅力を放つベルリンに対し、ボンという町の個性は貧弱と言わざるをえません。
そんなわけで、ラインラントに降り立ったとき、産業遺産好きな私は、よしっ!エッセンに行ってルール工業地域を支えた炭鉱でも見ようか!ゾーリンゲンの刃物も見よう!と思っていたのですが、同行者から、いや、炭鉱より刃物よりベートーヴェンでしょ、と言われ、個性が貧弱な町、ボンに行くことになりました。
ということで、行ってきました。ベートーヴェン・ハウスです。
ボンの町はせまい範囲に見どころが集まっているので楽に歩けます。
中央駅から5分以内でマルクト広場と大聖堂に到着。
そしてさらに数分歩けばベートーヴェン・ハウス"Beethoven-Haus Bonn"に到着です。
そろそろ着くかなと思ったころに、やや俗物っぽいベートーヴェンの肖像が描かれた建物が現れたので、ここかな?と一瞬思いましたが、違いました。フェイクでした。
そして少し歩くと、ちょっとわかりにくいのですが、ありました。
建物内部の写真はありません。(※撮影禁止)
入口から入るとまず土産屋さんがあり、その奥にベートーヴェンの生家があります。
ベートーヴェン・ハウスに入ると、私の頭の中で突然ベートーヴェン・スイッチが入り、私の最も好きな曲、交響曲第7番2楽章が鳴り始めました。故人に触れるというのはこういうことなのか、と感じる瞬間でした。
ベートーヴェン・ハウスに行く全ての人に是非ともおすすめしたいのは、音声ガイドを借りること。(※日本語もあります。)
有料ですが、その価値はあります。というか、これを借りずにベートーヴェン・ハウスを見てもつまらないと思います。
途中で日本人のツアー団体がこちらにやってきましたが、ツアーガイドの説明より、圧倒的に音声ガイドの解説のほうが素晴らしかったです。
音声ガイドには、目の前にある楽譜や絵画の説明はもちろん、その譜面に基づく演奏、展示されているベートーヴェンゆかりの楽器の音の再生、難聴のベートーヴェンの耳には交響曲第9番の初演がどのように聞こえていたかの再現など、かなり興味深い内容が含まれています。
ベートーヴェン・ハウスは学ぶことの多い興味深い場所でした。
印象に残ったのは、ベートーヴェンが引っ越し魔だったというエピソード。
彼は生涯で少なくとも70回以上は居を移しています。
どこにいても居心地の悪さを感じ続けた彼に、心を寄せずにはいられません。
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