九州随一のクラシックホテル、雲仙観光ホテルへ。
2014年 01月 23日

昭和10年創業の「雲仙観光ホテル」は、雲仙地域が日本最初の国立公園に指定されてまもない時期に、日本の山岳リゾートの先駆けとして建てられた歴史のあるホテルです。(国の登録有形文化財、近代産業遺産等に指定されています。)
長崎はいまでこそ九州の端っこにある、交通の便が悪い田舎というイメージがありますが、大正・昭和の作家たちの文章を瞥見すれば、いかに昔の長崎はエスプリに富んだ土地だったかということが滔々と語られていて驚かされます。
このホテルが日本で初めて「観光」という名を冠して開業した昭和初期には、上海-長崎航路を通してたくさんの外国人が長崎に上陸していました。スイスのシャレーのような外観をもったこのホテルは、そのような外国人が温泉保養のために訪れる宿泊施設としての役割を果たしました。
このホテルのまず素晴らしいところは、施設自体にとってつけた不自然さがないこと。
雲仙の自然と共存する佇まいがあること。
そして「雰囲気」「イメージ」といった曖昧なもので誤魔化すことのない、「本当によいもの」がこのホテルには宿っているということ。床や壁の設えも調度品も質が高く、客室はウィリアム・モリスの壁紙が空間を穏やかに彩ります。
日本のレトロな宿は、建物が古いせいで夜の寒さ、隣の客室や廊下からの物音などが気になることが多いけれども、このホテルは近年に大改装を経たためか、「古いから仕方がないよ」というような雰囲気を対価に我慢しなければならないようなことが何もありません。



「食べものの味を味える人はその他のことも味えるのであって、私はエピキュリアンが長崎には多いような気がしてならぬ」(『切支丹の里』)と遠藤周作は言ったけれども、長崎の食の素晴らしさはいまでも健在。
雲仙観光ホテルのダイニングの食事も例に洩れず素晴らしく、長崎近海の海の幸、雲仙半島の山の幸が贅沢に使われ、繊細なアレンジを楽しめます。


箱根や軽井沢にも同等のホテルがあるけれど、雲仙という土地柄か、それらのホテルよりも格安に宿泊することができることも良いです。
ということで、エピキュリアンになりきって楽しめる雲仙観光ホテルはとてもオススメです。

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