松竹景虎君の作文
2014年 06月 06日
<中3自殺>松竹景虎君が残した夏休みの作文 いじめテーマ ―毎日新聞―
◇松竹君が書いた作文(一部抜粋)
空気
情報社会である現在、毎日膨大な情報が流れてくるが、必ずといっていいほど目にする記事がある。それがいじめ問題だ。「中学の男子生徒がいじめにより自殺しました」などという事件が起こるのが最近はあたりまえと思う人が増えていると思う。
いじめの加害者の気持ちを想像してみた。主な理由は二つほど考えられる。一つ目は、いじめという行為が楽しい。「相手の反応がおもしろい」などがよく補足としてつけ足される。このての加害者は恐らく、自分がその苦痛を知ることでしかやめないだろう。
二つ目は、周りの友達に合わせているからだと考えられる。そう、ほとんどの人が自分が嫌われないように生活しているのだ。もし、少しでも友達が嫌いな子に優しくすれば、そのことを責められ、今度は自分がいじめの対象になるのではないかという不安と恐怖にかられる。それの連鎖がおこるから、周りの人に合わせるといじめがおこる可能性があると思う。
もっともたちが悪いのは後者の方だ。なぜなら、いじめが完全に終わることがほとんどないからだ。対象者は移り変わってもいじめは続く。
では、いじめの原因は何かを伝えよう。それは「空気」だ。これが目に見えないものだから恐ろしい。いじめをしなければ自分がやられてしまうという空気、いじめに参加しないといけない空気。いじめの加害者、主犯でさえも空気によって動かされているのだ。
この問題を解決する方法はただ一つ……。みんなが親友になることだ。そう、実はすごく簡単なはずなのだ。人の笑顔は人を笑顔にし、その笑顔がまた別の人を笑顔にすると思う。僕の好きな歌にこういう歌詞がある。「空気なんてよまずに笑っとけ、笑顔笑顔、笑うかどには福来たる」。暗い顔をしていてもいいことは起こらない。学校で習う数学の公式や英単語を忘れても、笑顔の大切さだけは忘れないでください。
これほど切実にいじめについて考え抜いた一人の同世代の生徒が自らの命を絶ったという事実を、小中高生のみんなに知ってほしいと思います。
教室に蔓延する「空気」。とても苦しかったでしょう。
無責任な大人ほど「見て見ぬふりは同罪だ」なんてことを言います。
でも、「空気」の恐ろしさを知っている子どもたちは、そんなこと言われても、自分一人でその「空気」を変えることができないってことがわかっています。だから結果的に「見て見ぬふり」になってしまう。
「いじめはいけない」と上から語る先生なんて存在意義はありません。
教室からいじめをなくすには、それとなく「空気」を読んで、それをうまく換気しながら空気の中身を変えていける先生が必要です。そのために先生達にはもっともっと知恵を絞ってほしいです。「空気」の中にいる子どもたちは微力です。大人の助けが必要です。
そして、子どもたちには、まず、松竹君が記したその「空気」の恐ろしさを、この作文を通して知ってほしいと思います。
そうすれば「空気」を感じても、その「空気」と距離を置くことができるかもしれない。
距離を置くことができる子が増えれば、その「空気」が牙をむくことが少なくなります。
松竹君が引用した「空気なんてよまずに笑っとけ、笑顔笑顔、笑うかどには福来たる」の歌詞は桃黒亭一門(ももいろクローバーZ)の「ニッポン笑顔百景」から取られています。
「笑おう 笑おう 笑えなくても 笑うしかないでしょ 笑いましょ 笑おう 口角上げて ひたすら 笑いましょ」
「笑おう 泣いたら負けだ やけくそ 笑いましょ」
そんな歌詞を含むこの歌が、松竹君にとっての応援歌となっていたとすれば、なんともせつなくて悲しすぎます。
ももいろクローバーZは、奇しくも松竹君が亡くなったちょうど4か月後の今年5月8日に「泣いてもいいんだよ」をリリースしています。
「全然泣けなくて苦しいのは誰ですか 全然今なら 泣いてもいいんだよ」と繰り返すこの曲を聴いていると、泣くことができなかった松下君の悲劇について、考えずにはいられません。
◇桃黒亭一門「ニッポン笑顔百景」(IKZO version)
幾三バージョンでないのを探したのですが・・・ありませんでした。
◇ももいろクローバーZ「泣いてもいいんだよ」
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