「大学選びより100倍大切なこと」
2014年 06月 08日

法政大准教授の筒井美紀さん著の『大学選びより100倍大切なこと』。
Amazonで注文して昨日届きましたが、とてもすばらしい本です。
私はキャッチ―なタイトルがついた、いかにも便利そうに見えるハウツー本が好きではありません。
外山滋比古さんの言葉で言えば、それらは知恵が知識に、そしてさらに知識が情報に成り下がった書物たちです。
5月の中3対象の国語の授業で外山さんの文章を扱った際にこんな話をしました。
本の「情報」に頼るのはダメだよね。ゲームの攻略本の「情報」は確かに役に立つけど、でも攻略本通りにやってクリアして楽しい? 楽しくないでしょ。そこには自らの「知恵」を発揮する場面がないから。
ダイエットしたいのに痩せない人は、ダイエットのいろいろな「情報」に頼ろうとするから痩せないんだよね。
自分の身体の中から知恵をひき出して、身体と対話すれば自ずと答えが見えるはずなのにそれをやってないから痩せないんだよね。(※体質的に例外の方もいらっしゃると思いますが。)
横道に逸れました。
この本のタイトル「大学選びより100倍大切なこと」を見て、ハウツー本の類いかな?という印象を持ったのですが、思いがけないルートでオススメがあったので取り寄せることに。結果、この本選びは大正解でした。この本には明らかに「情報」以上の内容が載っている。
著者は、大学生になる若者たちが「本物のリテラシーを身につける」ことを目標に行動することを呼びかけ、そのために必要な条件と具体的方法を語っていきます。
「大学選びより100倍大切なのは、授業(教員)選びであり、とりわけ、ゼミ選びである」ことを強調し、「一人ひとりの教員と真剣に接すること」、対話してぶつかることの大切さを語ります。
この本に書かれていることは「ごくありふれたこと」です。大学で充実した学びと出会った人なら誰でも知っていることでしょう。
しかし、私自身のことを振り返れば、大学時代、この「ごくありふれたこと」がわかっていませんでした。世の中に溢れる根拠のない定説に振り回され、自分の好きなことが見えなくなり、こんなはずじゃなかったのにと地団駄を踏んでいました。
大学を終え、大学院時代に良い教員と出会って初めて、大学が何をする場所なのかということがわかりました。随分遠回りをしたと思いました。
だから子どもたちにはもう少し早くこの「ごくありふれたこと」を知ってほしいのです。知ることで学びの可能性がグンと広がるのです。
学びにおける、ごくありふれているけれどとても大切なこと。これを知るという意味において、この本は最高の指南書と言えましょう。世の中に溢れる定説の中に含まれるさまざまな誤解をほどくことで、本当の学びに接近するためのヒントをこの本は与えてくれます。
本に書かれている内容は、大学で学ぶ全ての学生たちにとって、大学とその後の生活の本質を決定するほどにとても大切なことです。だから、中学生、高校生、大学生たちにこの本を読んでほしい。中学生で1度読んだ子は、もう一度、高2・高3で大学の学部選びをする際に読み直してほしい。
いまだに偏差値信仰が横行する大学選びですが、もっと大切にしたいことがあることに改めて気づかされる本で、関連書の中でも出色の出来栄え。あっぱれの太鼓判を押したいと思います。
この本は本校7F terakoya shop内の現代学芸文庫(ミニ図書館)にも設置します。
ちなみに、現代学芸文庫には随時図書を追加中です。
生徒さん、保護者様は、一般の図書館同様に本の貸出も可能ですので、ぜひご活用ください。
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