九重の秘湯―川底温泉・法華院温泉・長者原温泉・筌の口温泉―
2014年 09月 24日
中でも特に気に入ったのが川底温泉。


写真の浴槽は混浴。(※女性風呂は別棟にあり)
浴槽の底には丸石がしきつめられており、浴槽内を歩くと、まさに川の中を歩いているよう。
上段の浴槽の底からはやや熱めの温泉が湧出していて、それが段を下るにつれ温度が下がるしくみ。
現在こちらは旅館業を廃止していますが、この素晴らしい浴槽を残し、日帰り客を迎え入れているのはありがたいことです。鄙びた佇まいの中で清涼なお湯が肌になじむのを感じる時間は、他にかえがたいものです。
次に法華院温泉。こちらの温泉は、九州の登山好きには非常に有名です。
九重の長者原登山口から坊ガツル方面に歩いて約2時間の行程で到着する、九州で最も標高の高い場所に位置する温泉です。(※今日紹介する温泉の中で、唯一車では行くことができません。)
こちらの温泉に行く方には、ぜひともそこにたどり着くまでの行程を楽しんでいただきたい。太陽光を反射してきらめくタデ原に胸を躍らせながら足を進めてほしいと思います。

この看板の前まで来たときのうれしさといったら。

秘湯好きにはおなじみの「日本秘湯を守る会」の提灯。

湯の花が舞う、白濁の酸性湯は絶品。
しかし長湯は禁物です。だって帰りの行程がありますから、身体がダルくなってはしかたがないのです。

次に長者原温泉。
こちらは長者原登山口にある、長者原ヘルスセンター(食堂&売店)の2Fにあります。
行楽客・登山客でごったがえす長者原登山口にあるのですから本来は秘湯のわけがないのですが、

独りでした。
私が行ったときには誰も入ってきませんでした。
世間は夏休みで、1Fの売店がごったがえしていたのにかかわらずです。
1Fは人で溢れているのに2Fには私一人しかいない。
そのことが、この湯船のマル秘感を極度に高めていました。
きっとみなさん、もっときれいで広い温泉が周辺にはありますから、そちらに行くのでしょう。
でも私は、ここで十分、というか、ここ好きです。きれいすぎる温泉は余所余所しさが先だってしまいます。
登山を終えたばかりの身体を、登山を終えたその場所で、そのまま湯船に浸すことができるなんて、素晴らしいことです。湯加減も絶妙でした。

そして最後に九重大吊橋の近くにある筌の口(うけのくち)温泉。川底温泉や壁湯温泉などと並んで、九重九湯のなかでも特に素晴らしいと聞いており、以前から行きたいと思っていました。

こちら新清館は露天がとてもいいと聞いていましたが

確かに素晴らしかった。濃い緑に囲まれ、川のせせらぎが聞こえる風呂に入っていると、辺りの空気が親密さを湛えて身体の中に入り込んできます。
浴槽の周りは温泉の成分のために変色していて、それが温泉の力を感じさせ感慨深いものがあります。
泉質としては、久住の長湯温泉や七里田温泉などと同じ強烈な炭酸泉で、九重ではめずらしい泉質です。
改めて九重の温泉のすごさを思い知った夏でした。
秘湯は女性にとってはややとっつきにくい部分もありますが(身だしなみに必要な設備が整っていないなど)、機会があれば、その奥深い味わいをお楽しみください。
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