宮古上布の伝統に触れる旅

前回宮古島に行ったときには、沖縄を代表する伝統的工芸品で、国指定の重要無形文化財としても知られる宮古上布(薩摩上布)についてさまざまなことを得る旅となりました。

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宮古伝統工芸品研究センターは、糸の原料となる苧麻の栽培から繊維の取り出しから糸ができるまでの工程(糸ができるまでの工程が想像を絶するほど大変なんです)と、そのあとの、藍染と絣解き、手機による織り上げまで、宮古上布ができるまでの全工程を見ることができる施設です。

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工程を伝える記録写真。丁寧でわかりやすい解説が添えられています。

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苧麻の繊維から糸をつくる作業(方言でブー積み)を体験しました。根気のいる難しい作業だと思いましたが、センターにいた宮古のおばぁたちは巧みに繊維を絡み合わせ糸を紡いでいました。

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鮮やかな黄色の上布。黄色はフクギからとれた染料を用いたもの。
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現役で宮古上布を織っている工房がじゅまるさんにおじゃましました。
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工房の羽地美由希さんからたくさんお話しを聞くことができました。
宮古上布は、経、緯糸に切れやすい手績み苧麻糸を使用しなければならないという厳しい規格があるため、織るのに苦労が絶えないこと。わずかなミスで厳しい規格認定から漏れてしまい、これまで数か月の苦労が水の泡になることもあること。
宮古のコミュニティのなかでおばぁたちから良い糸を提供してもらうこと自体にも苦労があるし、外からやってきた人が一念発起してはじめてみようと思っても、なかなか簡単にできるものではないこと。

宮古上布にまつわるさまざまな困難や苦労を聞いて、本当に大変だなと思う一方で、羽地さんの話ぶりには彼女自身の上布への熱い気持ちを感じることができました。きっとそういった苦労も含め、上布を織る日々を楽しんでいらっしゃるからこそ羽地さんはとても魅力的なのだと思いました。


今日は、行って随分経つのにかかわらず、忘れられない宮古上布のお話しでした。

いま、私の自宅の玄関には、宮古上布の古布が掛けられています。
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この布を見るたびに、細い1本1本の糸を紡いだおばぁたちに、長い時間をかけて経糸と緯糸を重ね合わせた職人たちに、思いを馳せずにはいられません。そして、その繊細な布を見ていると、私自身も、素材そのものの性質と向き合う心をいっときも忘れずに、日々仕事をしていきたいと改めて思うのです。



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by terakoyanet | 2015-02-16 09:36 | 連載(読み物) | Trackback | Comments(0)