中里花子さんの工房、monohanakoへ
2015年 06月 21日

花子さんの工房は、唐津市街から車で15分ほど西の山側に入った緑豊かな場所にあります。
唐津焼のレジェンドである花子さんの父、中里隆と、兄、中里太亀両氏の工房(というにはあまりに大規模な施設)である隆太窯からは車で5分ほど。
着いて車を降りたとたん感じる空気の清清しさ。
そして花子さんの飼い猫たちの出迎え。

花子さんはまもなく、メイン州(花子さんのもうひとつの拠点)に行くので、訪問時には製作をしていませんでしたが、いろいろなお話しを伺うことができました。
花子さんが器を作るときに大切にしているのは「スピード感」。
花子さんの兄の太亀氏もあるインタビューで「数は質を凌駕する」と言っていましたが、父の隆氏が教えたたくさん焼くこと、とにかく数をこなすことの大切さを「スピード感」と表現する花子さんの話を聞いているだけで、彼女が作陶しているときのリズム感や息遣いが聞こえてくるようでした。

花子さんは溌剌とした明るさで溢れていて、話しているだけで気持ちが良くなってしまう特別な雰囲気を持つ方。「単純作業が好きなの。」と話す彼女が黙々と次々に(1日に数百個も!)器をひく姿を想像すると、どこまでも爽快な気持ちになります。その単純で敏捷なリズムの繰り返しの間に、きっと「私の作品」「私のこだわり」というような意味作用はすっかり洗われてしまい、そのリズムの美しさ自体が特別な明るさをもって表出する。花子さんの器の魅力はそこにある気がします。


私の妻は、花子さんの器を「食べ物みたい!」「美味しそう!」といつも言います。花子さんの器はやさしい風合いなのに、決して野暮ったくなりません。いつでもきりっとした美しさと艶っぽさがあり、それが器をまるで生き物のように見せます。それが妻の「美味しそう!」という言葉を導いている気がします。
花子さんは器を好きに使ってほしい、と話します。日常の中で、その人の生活に合う形で、新たな使い方をその時々で見つけてくれたらいいと。
そこで私は、とらきつねのスタッフが作業中に割ってしまった器をこうして使っているんです、と花子さんに写真を見せました。

そこから、いい割れ方をしたらうれしい、とか、金継ぎのこととか、さらに話に花が咲きました。
とらきつねは中里花子さんの器"monohanako"の常設店として、これから末永く彼女の作品を皆様に紹介していきたいと思います。そのような機会をくださった中里花子さん、座親淑美さんに心から感謝します。
本日より、monohanakoの店内スペースを拡充し、生き生きとした彼女の作品をみてもらうスペースが増えました。ぜひ皆様、お手にとって見てみてください。
最後に、私が最初に花子さんに興味を持つきっかけとなった文章を紹介します。現在、唐津で彼女と共同生活を送っているプレイリー・スチュワート・ウルフさんが書いたこちらの文章「中間の場を塑る」です。ぜひお読みになってみてください。
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