現国の授業

昨日の現国(高校コース)は、過去10年のセンターの中でも、最も読みにくかったと思われる、2012年の追試問題を取り扱いました。大澤真幸氏の解読しにくすぎる評論文と、三浦哲郎氏の悲しみ漂う小説文。

解読しにくすぎる評論文を解説しているときに、顔を紅潮させながら「そんなのわからん」(=そのような趣旨の文章だったとは、解読するのが難しすぎる) と言っているTくん。授業をやっている身としては、こういう反応があるのが一番楽しいです。
「そんなのわからん」と言いながら解説を聞いているTくんは、例のごとくその評論文が満点だったのですが。そんなのが委細わからなくても、満点とれるのがセンター国語ですね。

三浦哲郎の「メリー・ゴー・ラウンド」は、妻に先立たれた父が娘と心中しようとして、娘に白装束を思わせる白いドレスを着せて遊園地で白い木馬に乗せた後、娘をおぶって崖っぷちまで歩いていくというとても暗い話ですが、心中という言葉が一切出てこないために、父がいったい何をしたいのか最後までわからず仕舞いの子も多く、センターにはめずらしく、それ(父親の心中の意図)が読み取れたかどうかによって、明暗がはっきり分かれる問題。

読み取れなかった子が、解説をしているときにガビーンという顔をしていたこと、そしてそのあとの解説を聞いて、何て恐ろしく悲しい話なんだと顔を歪ませていたことが印象的でした。読めた子は「読んでいてつらくなった」と言う子も。

センターにはめずらしく(模試や問題集では頻繁にあるけれど)解答の論拠がはっきりしない問題が1つだけあって、授業後にTくんとFくんがその問題について討論をしていたのも面白かった。読めるっていうのは深い楽しみがあっていいね。皆が読む楽しみをもっと味わえますようにと念じながら授業をしています。

高3のTさんは国語が苦手だと半年前に授業に参加し始め、いまではセンターで半年前の2倍の得点が取れるようになりました。普段、自分から話す事が少ない彼女が、先週おずおずと前にやってきて、そのことを報告してくれたのがとてもうれしかったです。昨日の難しい問題でも、十分に勝負できていました。指示語を丁寧にたどる、そのことを忠実に行うことで、論旨が十分に呑み込めない問題でもなんとか対応ができる、そのことを昨日の授業で学んだようです。




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by terakoyanet | 2015-10-13 11:39 | 雑感・授業風景など | Trackback | Comments(0)