雨のケルン大聖堂

ケルン大聖堂。世界にその名を轟かす、その巨大な聖堂に、私は行く前からあまりポジティブな印象を持っていなかった。

理由は、1つめに、大学院時代、私が敬愛する或る教授(その教授は妻がドイツ人で家が日本とドイツにある)が「ケルン大聖堂はつまらないよ」と言っていたこと。

2つめに、これほど著名な世界遺産の聖堂が、2003年に景観問題のために危機遺産に指定されたこと。(この指定は2006年に解除されたが。)

3つめに、私自身、日本や東欧の小さな教会(例えばクロアチアのエウフラシウス聖堂)に魅了されていて、大きな教会にさほど興味を持てなくなっていたこと。

というわけで、それほどポジティブな印象を持っていなかった聖堂にそれでも行くことになったのは、ケルンという場所のせいだ。ケルンはドイツのノルトライン(ルール地方)の交通の要所で、このあたりに滞在すれば、ほとんどどこに行くにしてもケルンを通らざるをえないと言えるほど。IC(高速列車)でぼんやりしているときに突如目に飛び込んでくる大聖堂の威容は鮮烈で、それを見たとたん、やはり一度は行っておかないとなと心変わりしたことをはっきり覚えている。

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一度はと思い立って3年、再びドイツに。クロアチアのプーラ空港から、今年5月の衝撃的な事故で評判を落としたジャーマンウィングスに乗って、ケルン・ボン空港へ降り立ち、そのままケルン市街に。

ドイツの空は本当に陰鬱なことが多い。この日も、あっというまに青空が消え、すっかり曇ってしまった。そしてとうとうぽつぽつと雨が。まだ9月だというのに雨がすごく冷たい。否応なしに本来抱いていた大聖堂に対するあのネガティブな気持ちを思い出す。この鬱々とした空の下だからこそ、哲学と音楽があれほど深化したのだな、そんなことも考えながら。

ケルン大聖堂へ。やはりでかい。
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近くまで来ると、もはやカメラで捉えられる大きさではなく、塔のてっぺんを見るためには大きく上体を仰け反らせなければならない。
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聖堂の中へ。こんなに大きな容積の空間に立ち会ったことがこれまでにあっただろうか。
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内部ではステンドグラスが輝いている。古くは13世紀のものから、20世紀のものまで、さまざまな年代のステンドグラスで彩られている。
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こちらは有名な現代画家ゲルハルト・リヒターによるステンドグラス。幾何学的なパターンが並ぶこのデザインは、ケルンの聖職者たちの間で大論争を巻き起こしたそう。
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壮大すぎて、目移りして大変でしたが、とにかくその規模、装飾の細やかさ、ステンドグラスの美しさと多彩さは、言葉を失ってしまうほどで、一見の価値があります。



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by terakoyanet | 2015-12-15 11:45 | 塾長おすすめの場所 | Trackback | Comments(0)