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流浪の民

生まれ育った場所の「歴史」「伝統」「文化」といったものは、生まれながらにゆりかごのように存在する。そういう考えが一つの錯覚もしくは偏向であるということに、西表島に来ると気づかされます。

西表島の歴史は断絶の歴史です。そこで目の当たりにするのは、継承すべきものが、マラリアの惨禍によって、ときには猛烈な台風や津波によって途絶えた凄絶な歴史。例えば、島の南西部地域は、船浮ひとつを残し、あとの集落は全て廃村になってしまいました。

いまだ僅かに生活の痕跡が残る場所もあれば、すっかりジャングルの森の中に姿を消した集落もあります。そのいまにも消え去りそうな痕跡が私たちに伝えるのは、歴史というよりは人々の流浪そのものです。かつて人々にとって流浪民であることは宿命であったし、それがいまの私たちの生活の底部で響いていることに気づかされるのです。
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by terakoyanet | 2016-01-01 16:27 | 塾長おすすめの場所 | Trackback | Comments(0)