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田北さん、坂口さんと、橙書店のこと。

今回のイベントの第1部では、2016年を振り返るトークが行われます。今年、私たちが共有した出来事の中で、最もインパクトの大きかったもののひとつとして、そして未だにインパクトを与え続けているものとして、熊本の地震が挙げられると思います。

今回のイベントのゲスト、坂口恭平さんと田北雅裕さんは、ふたりとも熊本にゆかりのある方々。そして熊本には、おふたりが時を隔ててクロスした場所があります。

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橙書店。村上春樹氏が朗読会を開いたことで、多くの人が知ることとなったこの小さな書店は、地震の影響で移転した今も、無骨ながらも清涼な瑞々しさを湛えた熊本の文芸の拠点として、近所の人たちが穏やかな時間を過ごすことができる憩いの場として、日々大切に運営されています。

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店主の田尻さんが見せてくださったのは、橙書店の開店当初につくられた、素朴な佇まいのしおり。「これ、田北さんが作ってくださったんですよ。」しおりには、開店当初の息遣いそのものが綴じ込められているようで、そこに書かれた文を読んでいると、フォントが軽やかなダンスを踊っているように浮かび上がってきます。

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*こちらの画像だけ、instagramでyanoa21さんから許可をいただいてお借りしました。田尻さんにも許可をいただいています。


坂口恭平さんは、今回の移転にあたり、看板やドアの「橙書店」の文字を書いた人。そして橙書店は、坂口さんを世に送り出した沢山の書籍が生命を得た場所でもあります。坂口さんは橙書店の隅の小さな部屋で、どんなに苦しい内容のときでも軽やかに踊っているあの文体を生み出したのです。

時を隔てて橙書店という小さな場所で交錯したお二人の邂逅の場となる23日のイベント。楽しみにしたいと思います。

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とらきつねでは、橙書店さんが発行する文芸誌「アルテリ」をお取り扱いしています。

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アルテリは現在第2号まで刊行されており、坂口恭平さんは、第2号の冒頭で美しい短編「避難所」を発表されています。これを読むだけでも、アルテリを買う価値ありです。



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by terakoyanet | 2016-11-19 00:41 | 連載(読み物) | Trackback | Comments(0)