しょうぶ学園のこと
2017年 06月 04日
しょうぶ学園の季刊誌「季刊しょうぶ」もお取り扱いしています。
(障害者アートについての私たちの考え方については、こちらの記事で書きました。)
とても、とても良い時間を過ごしました。
九州を訪れる人、鹿児島を訪れる人は、皆さんぜひしょうぶ学園を訪れてほしいと思います。
そしてお時間のある方、深く学びたい方は、事前に見学をお申込みになることをお勧めいたします。
「感動ポルノ」という言葉が世間を賑わしたこともありましたが、
しょうぶ学園にあるのは、そういったお涙ちょうだいのドラマではなく、
ただ、そこに人の命が躍動している美しさです。
学園内のレストランで、蕎麦屋で(これらは外部の人も利用できます)、そして木や布や紙など、各種の工房で、障害のある人たちが働き、作業を行っています。
障害のある人たちを健常者と同じように「自立」させようというよりも、障害のある人たちがそのままで、生き生きとしたままで暮らしていけるような、さらにそれらの仕事や作業によって生じた財を循環させることで、経営としても成り立たせていけるような、そういった場を成功させている、学園のエネルギーを熱く感じることができた見学でした。
施設長の福森さんとも長時間お話しすることができました。福森さんの視線はあらゆる人に対して徹底的なまでにフラットです。これまでさまざまな大きなことを達成してきたのにかかわらず、自分が考える正義や信念のようなものを押し付けるようは話は一切なく、少年さながらの柔らかい感性をそのままに、鋭い批判精神を大切にこれまでやってきた方なんだなあと胸が熱くなりました。元気をもらうというような一過性の感覚を超えて、今年40歳になった私の今後の身の振り方をポジティブな方向へと感化してくれるような、大切な出会いと呼べるような時間になりました。「福森さんがやろうとしていることは、国の施策とは真逆のことではないですか。どうやって折り合いをつけているんですか?」「作品をつくる利用者たちの、エゴも作為もない、意識そのままが表出したような姿を見て、そして自分を振り返ったときに、自分自身の業の深さに気づいて、苦しくなることはありませんか?」など答えにくそうな質問をいろいろとしましたが、深刻になることなくいたって軽やかにいろんな話に耳を傾け、いろんな話をしてくれました。
今回、お取り扱いが始まった翁長ノブ子さんは、1940年生まれのしょうぶ学園を代表するアーティスト。約20年前から絵を描き始め、これまでに描いた墨絵は1000枚を超えるそうです。今年の春にはしょうぶ学園で「翁長ノブ子展」が大規模に展開され、多くの人たちが彼女の歩みを振り返りました。
この文章のはじめの写真は、翁長ノブ子さんの絵を壁にペイントした地域交流スペース”Omni House”です。
その大胆なデザインは、しょうぶ学園に来る方々の目を釘付けにします。
デザイン性が高く、それでいて確かな柔らかさと温かみがあります。
今後もしょうぶ学園の作品を楽しみにしていただければと思います。
そして、繰り返しになりますが、しょうぶ学園をぜひ訪れてみてください。