子ども道

今日も風の音を聞きながら大濠公園を通って帰宅しています。
夜の現代国語の授業で井上靖さんの文章を読みました。
幼いと
き、子どもたち同士で遊ぶときに通った子ども道。
せまく
て平坦でなくて決して通りやすくはないから、大人は決して使わない子ども道。大人から見たらどこがいいのかさっぱりわからないけれど、なぜか子どもたちに選ばれる子ども道。

あぁ、確かに、私の記憶の一隅にも在る子ども道。近くの家の裏には鬱蒼とした雑木林があって、昼間でもそこを歩くのは怖い。でも抜けると細い川があって、それを飛び越えたとたん明るい道に出て、しかもそこは仲のいいヒロシくんの家のすぐそばだった。
ある道は、人の家の庭を通るか
らやっかいだった。誰よ〜?!と怒鳴り声が聞こえたときには心臓が飛び出るほど怖かった。

子ども道は冒険であり陰翳であり季節感そのものだった。
子ども道で味わった夏ほど鮮明な夏は、もうきっと二度と来
ないのだと思う。

集団下校、スクールバス、町の死角をなくす取り組み。
便
利と安全を引き換えに、私たちが子どもから奪ったものは確かにあって、そうやって奪ってしまったことくらいは忘れないようにしたいです。


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※ヒロシくんは仮名です。


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by terakoyanet | 2017-06-13 00:17 | 連載(読み物) | Trackback | Comments(0)