子どもに大声を禁じること。


ふだん、中2の女の子たちは、勉強に対して真面目なのに、声が大きい子が多くて、半ば冗談で、でもときにはかなり本気で、うるさい〜!と注意されます。

休憩時間はともかく、授業中は、静かにしないと授業が成り立たなくなるし、そのことで困るどころか、悩んだり不安になったりする子さえいるから許されないこと、そのことは子どもたちといつも共有しています。しかし、うるさい子どもの存在自体に私がどうしても否定的になれないのは、子どもたちが常日頃、いかに抑圧された環境にいるかということを考えざるをえないからです。

子どもが静かにしていること、これは本来は決して自然なことではないです。このことを大人は忘れがちです。静かにできるのが大人になること、人の迷惑を考えることが自立することに繋がる、そう教える前に、大人は、その思考自体が任意に作られたものであるということを忘れてはならない気がするのです。

中3の宮崎合宿に行く前のオリエンテーションの際に、私は毎年子どもたちに「夜、外で叫んでも大丈夫だよ。」と控えめに声をかけます。合宿所の周囲は、夜には人っ子ひとりもいない公共施設があるだけで、民家も1軒もない環境です。この前はある子が、地行浜で線香花火をしていたら警官に叱られたと嘆いていましたが、合宿に参加した子どもたちは、1日9時間の精いっぱいの学習を終えて、破裂音が鳴る花火に興じ、大声で笑い合っていて、本当に楽しそうでした。

日頃はうるさくすることがないある男子が、花火の途中に「先生、叫んでいいですか?」と許可を求めに来て、いいよと言うと、あるユーチューバーのよくわからない言葉を叫びました。すると遠くにいた男子がそれに呼応してさらにわけのわからない言葉で返していて、あ、これは犬の遠吠えと同じだと、にわかに感動しました。

昨今の保育園問題もそうですが、子どもに対して過度に静粛と成熟を求めるのは大人の悪だと私は思います。このことについて、大人どうしの共感を広げていかなくてはと思います。


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by terakoyanet | 2017-09-03 11:25 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)