高校コース、DCS(ディスカッション)の授業
2017年 10月 10日
高校コース土曜日開講のディスカッション授業は、思考力とそれを表現する力を鍛えることを目的にした授業です。少人数ながら、とてもエキサイティングな時間です。私自身、生徒たちの言葉にはっとさせられることが多く、大いに刺激を受けています。
教えるというのは常に教えられることなのだ。そのことを地で行くような授業です。
過去3か月には次のような内容をテーマに議論を重ねました。
第11回(7/2) ジェンダー(夫婦別姓・同姓婚・女性が輝く社会って何?)
第12回(7/9) 経済再生(日本経済・地域経済)
第13回(7/16) 世界平和とグローバル化(現在の国家のかたち・テロリズムと国家)
第14回(9/9) 日本(日本とは何か・日本文化の独自性とは)
第15回(9/15) 学校(学校の捉えなおし・学校と教育の諸問題)
第16回(9/30) 資本主義(資本主義の由来・マックスウェーバーとマルクス)
第17回(10/7) 民主主義(民主主義の定義・日本の民主主義の課題)
前回の授業では、Bureau of International Information Programs の “Principles of Democracy” を引用して民主主義の語源と原則について学んだあと、生徒たちと議論をしました。
「民主主義(デモクラシー)」の語源は、ギリシャ語の「デモス(人民)」である。民主主義国においては、立法者や政府ではなく、国民に主権がある。世界各地のさまざまな民主主義制度には微妙な違いがあるが、民主主義政府を他の形態の政府と区別する一定の原則と慣行が存在する。
・民主主義とは、市民が直接、もしくは自由選挙で選ばれた代表を通じて、権限を行使し、市民としての義務を遂行する統治形態である。
・民主主義とは、人間の自由を守る一連の原則と慣行である。つまり、自由を制度化したものと言ってもいい。
・民主主義は、多数決原理の諸原則と、個人および少数派の権利を組み合わせたものを基盤としている。民主主義国はすべて、多数派の意思を尊重する一方で、個人および少数派集団の基本的な権利を熱心に擁護する。
・民主主義国は、全権が集中する中央政府を警戒し、政府機能を地方や地域に分散させる。それは、地域レベルの政府・自治体が、市民にとって可能な限り身近で、対応が迅速でなければならないことを理解しているからである。
・民主主義国は、言論や信教の自由、法の下で平等な保護を受ける権利、そして政治的・経済的・文化的な生活を組織し、これらに全面的に参加する機会などの基本的人権を擁護することが、国の最も重要な機能のひとつであることを理解している。
・民主主義国は、すべての市民に対して開かれた、自由で公正な選挙を定期的に実施する。民主主義における選挙は、独裁者や単一政党の隠れみのとなる見せかけの選挙ではなく、国民の支持を競うための真の競争でなければならない。
・民主主義は、政府を法の支配下に置き、すべての市民が法の下で平等な保護を受けること、そして市民の権利が法制度によって守られることを保障する。
・民主主義諸国のあり方は多様であり、それぞれの国の独自の政治・社会・文化生活を反映している。民主主義諸国の基盤は、画一的な慣行ではなく、基本的な諸原則の上に置かれている。
・民主主義国の市民は、権利を持つだけでなく、政治制度に参加する責任を持つ。その代わり、その政治制度は市民の権利と自由を保護する。
・民主主義社会は、寛容と協力と譲歩といった価値を何よりも重視する。民主主義国は、全体的な合意に達するには譲歩が必要であること、また合意達成が常に可能だとは限らないことを認識している。マハトマ・ガンジーはこう述べている。「不寛容は、それ自体が暴力の一形態であり、真の民主主義精神の成長にとって障害となる。」
生徒たちからは、地方自治においてさえも政治が身近ではない問題や、上の文の中の「自由を制度化する」という内容が孕む問題について質疑、意見が出されました。
自由民主党、立憲民主党、社会民主党。党名の中に民主主義を謳う主要政党が3つもある日本の政界ですが、私たちがいつも忘れがちなのは、上の文章の最後にある「寛容」についてではないでしょうか。
右や左にかかわらず、政治に関わる人たちに忘れてほしくないのは、民主主義国は、全体的な合意に達するには譲歩が必要であること、また合意達成が常に可能だとは限らないことを認識している、という原則です。なにも「排除」という言葉を使った政治家だけでなくて、私たちが、社会の正義を語るとき、人の過ちを糾弾するときなど、自分が良かれと思って言動に出るときは「不寛容」が顕在化します。「不寛容」について真剣に考え、それ自体が暴力であるいう認識を厳しく持つことこそが、いま、真面目な政治のために求められていることではないでしょうか。
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