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新しい旅のすすめ その2

テクノロジーの進歩によって私たちの行動の選択様式が変容を遂げたいま、旅の方法にも大きな変化が生まれています。Google MapやGPSに依存した新しい旅のかたちは、そんなのは本来の旅じゃないと揶揄されがちですが、しかし、新しい技術を自分ができる範囲で存分に使いこなしながら、新しい旅のかたちを発見していくというのは、存外に楽しいものです。

昨年オスロに行ったとき、私はこの街について事前に何も下調べをしていなくて、ムンクの絵とオペラハウスさえ見たら、あとはのんびりと近くの低山を歩きたいと思いました。そのときに活用したのはグーグルマップです。
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どんな湖かわからないけれど、とりあえず地下鉄で〇〇駅まで行けば、徒歩10分で湖に着くらしい。
そしてその湖とそこから西に5kmのこの湖の間に細い道がある。これ、トレッキング用の道じゃないかな。
さらにその湖からは登山道っぽい道がある…。

何の確証もない状況で、グーグルマップだけを頼りに歩き進めていくと、ピカピカに磨き上げたような鏡のような透明度の湖があったり、ちゃんと整備された道が確かにそこにあって人が楽しげに歩いていたりして、初めての場所なだけに緊張感がありつつも、それがいやでもほぐれてしまう瞬間というのがあって、それがとてもかけがえのないものに感じられるのです。
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この日は結局、地下鉄の料金を払っただけで、そのあとはグーグルマップを頼りにオスロ市内を一望する低山のてっぺんにたどり着いて、ガイドブックがなくても存分に楽しい時間を過ごすことができました。
(そのあと地球の歩き方やロンリープラネットなどのガイドブックを見ても、この美しい低山のことは全く載っていなくて、まさにグーグルマップが運んでくれた縁なのだと感じました。)



先月、アメリカとメキシコを訪れたときは、Uberをさかんに活用しました。
Uberは、海外を訪問する人たちにとっては革命的なアプリです。
乗車場所、降車場所を予め指定できるし、支払いはすべてクレジット決算だから、これまでのタクシー利用に比べて圧倒的にストレスフリーです。
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海外に行くときには身の安全の担保が課題になると思うのですが(特に女性は)その意味でもUberはあまりに革命的発明です。メキシコはこれまでタクシーは危険だと言われ続けていました(もともと言われすぎだったと思います)が、長年、国が総がかりで対策を講じても達しえなかった安全性への懸念を、Uberというひとつのアプリが、経済や治安の問題をある意味で飛び越える形でひとつの解決の道しるべを示したということは、手ばなしですごいことだと思います。

ただし、Uberが万全というわけではありません。乗車場所が大きな施設の場合には、待ち合わせがうまくいかなくなるときもありますし、キャンセル料のリスク等もあります。また、小さな町にはドライバーがいないので、そこまで行けても帰れないなんてこともあります。またネットが不安定な場所、繋がらない場所では、Uber自体が使えなくなるので、それに頼ろうとしていた場合、途方に暮れることもあるでしょう。
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メキシコシティではタクシーは一切使わずにUberに頼りきり


新しいテクノロジーによってどんどん便利になり、新しい旅の可能性が広がっていきます。でも一方で、どれほどに便利になろうとそれで万全ということには決してなりません。自分がいる場所の環境を思い通りパーフェクトにコントロールすることなんて土台無理なことですし、何よりも、変化しやすい自分自身の身体そのものに万全を期待することができないのです。しかし、だからこそ私たちはいつまでも旅を楽しむことができます。どれほどに新しいテクノロジーにより、旅の可能性が広がろうとも、一寸先の未来は誰も手中にできない。だからこれからも旅は続きます。


今日は旅の達人、石川直樹さんがとらきつねに来訪します。
石川さんは、新しい道具を使うことに躊躇がない一方で、その身ひとつで自らの知恵自体を道具に変えて世界を横断してきた、柔らかい身体=思考の持ち主。とにかく楽しみです。



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by terakoyanet | 2017-10-11 09:11 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)