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大人の悪口を言う子どもたち

昨日も子どもたちが自分の親の悪口を言い立てていました。
「うちの親、まじで性格悪い。」
「うちの親、まじひげ親父。」
「うちの親は横でテレビ見すぎ。」
「うちの親は、要求が細かい。」
「うちの親は、うるさい。無理な要求するし、話が長い。」
「ていうか、親っていうか、俺も性格悪い。」
ある子が言うと、それに刺激されるように他の子が言い出すので、私は面白いなあと思って聞き流しています。

子どもたちは学校の先生の悪口も毎日のようにしゃべっているのですが、度が過ぎているなと思う場合、注意することもあります。それひどすぎるよね、と。

でも、子どもが親の悪口を言うときというのは、むしろそうやって親への愛着を示している子が多くて、なんだか安心します。

子どもが大人の悪口を言うというのは健全なこと。そう思います。
悪口を言われるのは私だってイヤですが、でも、子どもが大人の悪口を言うというのは、子どもが大人という壁にぶち当たっているということであり、それは必要だと思うのです。

だから、親は子どもに悪口を言われるくらいでいいんじゃないかと思います。
まだ小学生の子どもから悪口を言われる親というのは心配になります(この場合、親子関係に問題があることがあります)が、中高生の子どもが親の悪口を言うとき、その子は親からちゃんと自立しようとしているということの証左であることが多いものです。

逆に、聞き分けのよい子というのは案外心配なものです。
子どもは思春期において、大人への共感、そして疑問や反発を通して、人格と言われるものをつくっていきます。そうやって、自分の思考と大人の思考との(いまはやりの言葉で言えば)アウフヘーベンによって、社会性や善悪の正体、自らの倫理観を深いところまで掘り下げ、親とは別の場所で思考できる人間が育っていくのです。

だから、周りの親や大人に対する悪口を言わない子は心配なところがあります。
悪口を言わないというのが、単純にその子の倫理観に根差すものと感じることがあります。
そうであれば、あまり心配がないのですが、中には、その子の思考が親のコントロール下にあるから、この子は親の悪口を言わないんだなと感じることがあります。

これはお母さんが魅力的なエネルギーを発散しているタイプの子に多いのですが、その子はいつもどこかで母親という太陽のような存在に対して、全面的な承認と称賛を求められているのでしょう。
そういう関係というは母親も子どももほとんど無意識なのですが、そういう親子のコミュニケーションの円環の中にいる子というのは、まず親の悪口を言うことはありません。その子は、親というのは決して傷つけてはならないものであることを身をもって知っていますから。このような子は、コントロール下に置かれたまま中高時代をそのままやり過ごすことが多いのですが、いよいよ自立すべき成人前後になったときに、いろいろと親との関係に悩まされることがあるようで、私もそういった卒業生たちから話を聞くことがあります。

このことについて話し始めると長くなりますのでここまでにしますが、とにかく、子どもが親の悪口を言っているときというのは、案外ほほえましいことが多いです。(それに比べ、学校の先生の悪口は全然ほほえましくないです。子どもたちも大変ですが、学校の先生もほんとうに大変だと思います。)たまに親のことで本当に困っている子が相談をしてきますが、そういう子というのは、悪口を言う余裕もない、悩み抜いている子です。


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by terakoyanet | 2017-11-17 15:47 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)