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センター地理Bでムーミンの問題が出題。

本日のセンター試験の地理Bで、ムーミンがフィンランドのアニメーションだとわからなければならない問題が出た!と、大きな話題になっています。
ムーミンがフィンランド、小さなバイキングビッケがノルウェーのアニメーションだなんて、地理Bで失点した覚えのない私も、即答はできかねます。しかも、それ、いくら?を表すフィンランド語とノルウェー語を選ぶ問題も出たとのこと、この話題を最初に聞いたとき、まさか!そんな問題が!?受験生がわかるわけないだろ!?と驚きました。
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問題を見てみると、確かに出題されています。
しかし、よく見ると、この問題はよく練られた良問です。

まず、注目すべきは、「ノルウェーとフィンランド舞台にしたアニメーション」という出題文です。
よく見ると、タのムーミンの奥には針葉樹林が描かれており、そして、チの小さなバイキングビッケの奥には文字通りバイキング船が描かれています。つまり、タは針葉樹林が代表的な景観の国であり、チはバイキングが活躍した海洋国であることがわかります。

これまでの地理の学習で地図帳とにらめっこしてきた受験生は、フィンランドは低湿地が広がる文字通り森と湖の国であること、そして、ノルウェーは大西洋に面した海洋国であること(また、沿岸は偏西風の影響で高緯度なのにかかわらず温帯(Cfb, Cfc)であること)を知っているはずです。また、詳しく地誌を学習した受験生は(当校の地理Bの授業ではもちろん出てきました)ヴァイキングがスカンディナヴィアの北部で活躍したことを学んでいるはずです。(ヴァイキングは世界史にも出てきますが。)
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ですから、針葉樹林が見えるタはフィンランド、ヴァイキングのチは海洋国のノルウェー舞台にしている絵であると答えることができるはずです。
(フィンランドはボスニア湾に面していますが、海洋国とは到底言えません。なぜならば、フィンランドの船舶は、デンマーク他の領海である、スカゲラック海峡、カテガット海峡を通らなければ大西洋に出ることができませんから。フィンランドは、地政学的に極めて不自由な位置にある国です。)

冷静に考えれば、ムーミンはどこの国のアニメーションでしょう?なんて問題が出るわけがないのです。
背景の仕掛けに注目することが大切な問題です。

そして、言語をA・Bから選ぶ問題。ノルウェーの文字、フィンランドの文字なんてわかるか!?と絶望的な気持ちになる受験生の気持ちが容易に想像できます。しかし、問題をよく見てください。Aの言語は上のスウェーデン語とそっくりです。(発音がわざわざカタカナで書いてあるところが、受験生への優しさであり、ギフトであることに気付きましたか?) でも、Bの言語は共通点が全く見当たりません。この時点で、ちゃんと学習してきた受験生たちは、はっとするでしょう。ある大切な事実を思い出すのです。

そう。それは、フィンランドの言語は周りの国とは違う、という事実。
ヨーロッパは、ゲルマン・ラテン・スラブの3大語族が席巻するなかで、フィンランド語とハンガリー語(マジャール語)は例外的にウラル語族であるというのは、地理Bの必須項目です。(正確には、エストニア語やサーミ語など、他にもウラル語系はありますが、「フィン&マジャール=北アジア地域と同じウラル語族である」は必須なのです。)

ですから、スウェーデン語に近いAがノルウェーの言語、異なるBがフィンランドの言語ということで正解が出ます。(実はBのトナカイもなにげにヒントです。フィンランドはサンタクロースの国。サンタの乗り物はトナカイです。ノルウェーにもフィンランドにもトナカイはいますが、トナカイのソリが活躍するのは、山がちなノルウェーではなく、土地が平坦なフィンランドでしょう。)


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受験生の皆さん、一見突飛に見える問題が出ても、ちゃんといままで学習したことの範囲から問題は出題されています。自分の知識が自ずと応用される快感を感じながら問題を解き進められるようになればたいしたものです。


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北極海を中心に据えて世界を見ると、ヴァイキングの世界が目の前に広がります。
写真は、レイキャヴィク(アイスランド)のヴァイキング博物館に展示されていた地図。


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by terakoyanet | 2018-01-13 23:59 | 雑感・授業風景など | Trackback | Comments(0)