意見を求めるなら、その世界を、書き手を、作品を愛している人からがいい。

すぐれた散文を発表し続ける文筆家の若松英輔さんが、1ヶ月前に呟いていたこの言葉。



若松さんのこのつぶやき、私はとても大切なヒントになる言葉だと思います。

本でも映画でも料理店でも(きっと塾でも)そうですが、誰かに意見を求めるなら、その世界を、書き手を、作品を愛している人からがいいのです。

「愛情のない眼には映らない何かがあり、その人も何かを賭けて語るからだ。」

愛している人は、確かにその世界の魅力を捉まえている。

それを捉まえていない人の話は、しょせんその人の独り語り(モノローグ)にすぎず、
相手に罪を擦りつけることで、自分の失点を見ないようにする仕掛けでしかないことが多いのだ。

それに対して、愛してしまった人というのは、自分の存在の欠片を、事実上あっちに持っていかれてしまっているのだ。

こんなふうにして、自分という持ち場を離れてしまった人の言葉というのは、本物だ。
自分という拠り所を離れるのは、それだけで命懸けだから、言葉も本物になる。

だから、意見を求めるなら、その世界を、書き手を、作品を愛している人からがいい。
私もそう思います。



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by terakoyanet | 2018-10-11 02:15 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)