バカでクソでカス。

ある高校生に聞いた話によると、以前彼女が通っていた英会話学校の代表が、少し前に自らの命を絶つことがあったそうだ。

その50代男性の代表は、長年思慕を募らせていた女性に交際を迫り、ついには、メールの大量送信や私有地への侵入などを行うなどのストーカー行為に至り、そのことで刑事裁判になって執行猶予の判決を受け、そのことが報道等により表沙汰になることで、代表の熱い指導で長年人気を保っていた教室の生徒が激減。判決から3か月経ったある日の朝、自らの命を絶ったそうだ。

その話を聞いたとき私は、被害者の方の心労がどれほどのものかと想像する一方で、この亡くなった代表に対して同情を禁じ得なかった。
いかばかりの絶望が彼を襲ったのだろうと考えると、それは想像を絶する地獄だっただろうことだけははっきりとわかるからだ。

とはいっても、彼が自らの命を絶った本当の理由なんて、誰にもわからない。
どれほど身近な人のやさしさがあっても、誰も彼を救うことはできなかったのかもしれない。

それでも、どうしても考える。
「お前は、バカでクソでカス。でも死なないで。」
執行猶予の判決を受けた彼に、そう叫ぶ人がいたら、もしかしたら、彼は救われなかっただろうかと。



(※話題内容の特定を避けるため、生徒から聞いた話の状況を、大幅に改変しています。)


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by terakoyanet | 2019-01-18 05:48 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback