『わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版』(くどうれいん著)
2019年 05月 14日
3月に植本一子と銀座のアートブックフェアに行った。そのときに彼女が『絶対これ好きだよ』と教えてくれたのがこの本『わたしを空腹にしないほうがいい』。その場で買って、福岡に帰ってきて読んで、ふーむ、すごい、なるほどー、うーん、やばいねー、と一晩で読み切った。
くどうれいんは1994年生まれの盛岡の歌人。
『わたしを空腹にしないほうがいい』は、本のあるところajiroさんで紹介されていたからタイトルだけは知っていた。
秀逸なタイトルから類推できるとおり、彼女は言葉択びが抜群にうまい。21才のくどうれいんが書いたこの日記エッセイには、日毎タイトル代わりに俳句が添えられているのだけど、それが抜群にいい。俳句とは言葉択びこそ胆なのだ(←これも俳句ね)と思わず唸らされる言葉というピースの組み合わせの妙。難しい言葉なんてひとつも使わなくても、こんなにおかしみと哀しみを軽妙に言葉に乗せることできるんだね。感心してしまう。
この本には幸せな料理がたくさん出てくる。その度に、ああ、やっぱり真似できないなと思う。だって、彼女みたいに私は食べ物に興味がないから。目の前の作業に没頭して2・3日食べ物を抜くのも厭わない人間だから、私には彼女のような文章は絶対に書けないなと思う。
多用される擬音語、擬態語を含む副詞の使い方に若さを感じてドキっとする。というより、彼女の言葉そのものが、全体に副詞っぽい。この本は副詞で書かれた本なのだと思う。決して形容詞ではなくて。(鳥羽)
さあ、お皿を洗わなければ。明日も明後日も、この先もずっと、わたしがわたしを空腹にしないように。(6月30日の日記より)