『旅をしても僕はそのまま』のお取り扱い店
2019年 08月 18日
旅は、旅する人の心のうちを開放する。これまで思考したこと、読んだ本が、目のまえの風景と出会った人により喚起され、忘れがたい景色となって結実する。スリランカ、バリ島、アッシジなど、各地のインスぺレーションを得た告白。
レヴィ=ストロースの言葉を引用し、現代のSNS時代における、旅と自己の変容について綴ったテキストから始まり、ジェフリー=バワの建築をきっかけに訪れたスリランカで思索した、ジェントリフィケーションによって失うもの。バリ島の小さなゲストハウスで交わされたオランダ人、韓国人、オーストラリア人たちとの会話。イタリアの町アッシジの教会で聴いた自己の存在証明の話。
『旅とは「見られる」という不気味なものを通して自らが開かれる経験である。』(本文より)
薄い本ではあるが、何度もページをめくり、ゆっくりと咀嚼して考えたいテーマが詰まった1冊。
スリランカ、インドネシア、イタリア、旅先で出会った異国の多様な人々。
交錯する日本の社会と自身の記憶。
鳥羽さんという一個人の旅の記録だが、それは私に旅が記憶から抜け落ちていたもの、つまり世界から消えようとしていたものに直に触れることが出来るということを教えてくれる。
旅に出て何かが変わるわけではない。世界の不完全さ、つまり自身の不完全さに気づき、自らの孤独と向き合うほかない。
タイトルが深く、潔い。
もくじ
残照
バワの残響
レインボーカラー
罪について
鳥羽和久
1976年 福岡県生まれ
唐人町寺子屋+航空高校唐人町+とらきつね 運営
@torakitsune_books さんから
出来たてホヤホヤのZINE届きました
読んでみてほしいです(k)
わからないものの答えを求めるのではなくて、手繰り寄せるその態度というか、そっと触れようとするその行動そのものが、私を真っ当に生きさせてくれているのかもしれない。本当にそうなんだよね。