2021年度福岡県公立高校一般入試総括

今年も公立高校一般入試が終了しました。今年の傾向としてはびっくりするような予想外の出題は皆無。その意味で、波乱はほとんど起こらないだろうと思います。県教委は難易度を「昨年度並み」としていますが、少しだけ易化したと予想します。

国語の🉂の重松清「バスに乗って」。小6から寺子屋にいる子は読んだことがあるのを覚えていたでしょうか。単語に区切る問題は国語塾でさんざんやったので寺子屋生はここで差をつけることができました。古文は子供たちが大歓迎!と言っていた現代語訳併記問題。作文のテーマは食品ロスでとっつきやすいものでした。ただし書く条件が多くて苦しんだ子も。国語で失敗した子はほぼ全員が時間配分で失敗しています。国語塾でもさんざん伝えてきましたが、国語は時間が足りないのが初めからわかっているので、時間が足りない中でどうやりくりするかを徹底的に磨くのが受験勉強なのだと思います。

数学は前半の1⃣~3⃣がかなり易しくて、図形問題は6⃣が難しかったですね。5⃣の証明問題が相似ではなく合同になったのは、三平方の定理の比重が極小になったせいで図形問題の主役が相似に入れ替わった今年の入試傾向を踏まえれば、証明まで相似にしちゃうとほんとに相似ばっかりになっちゃうから今年は合同にしようとなるのは必然です。1⃣~5⃣の証明までをいかに落とさなかったかで勝敗が決まるでしょう。今年の寺子屋の中3は数学を苦手とする子がとても多かったです。(ひとつ下の中2は数学が得意。)それでも本番は頑張りました。しかし、取れるはずの問題を取れない子がいました。要は訓練がまだ足りなかったということ。受験は取れるはずの問題をいかに落とさないかで決まるのですから、数学はできない問題をやるのは当たり前として、できるようになった問題こそをいかに確実に自分のものにしていくかが大切です。そのためにはとにかく深く理解した上で量をこなして自信をつけなくてはいけません。

社会、今年は記述問題の難易度がグンと下がりましたね。そのせいで寺子屋生の平均点も爆上がりしました。社会は基礎知識を固めた後に、歴史だったら流れに注目して学習する、地理はデータをしっかり頭に入れる(これがなかなか自分では難しい/学校でも適切な指導が少ない)、などのポイントがあるのですが、最終的な仕上げとしては、記述をいかに鍛えるかで勝敗が決まるところがあります。歴史の記述は予想できるから比較的簡単なのですが、地理と公民の記述は知識に加え類推する力、文章に落とし込むための語彙力が必要だからなかなか大変です。それでも、今年はみんな健闘しましたね!

理科の記述問題については今年も100%寺子屋のオリジナルテキスト「理科記述式スペシャル」から出題されたと言い切っていい内容でした。ですから寺子屋生にとってはかなり有利な出題だったと言えます。それなのにできなかった人は明らかに勉強不足で、これがほんとうに出る!という危機感をもって勉強することができなかったのでしょう。だって、あれだけやったのに。理科は何の意外性もない王道の問題ばかりでした。

英語はコロナの影響で中3単語・熟語がごっそり抜けたこともあり、長文が簡単すぎましたね。長文が簡単になると不利になるのはむしろ上位層。今年の中3は英語(特に長文)がバリ強かったので、ちょっとウムーと思っています。2⃣の並べ替え問題は差のつく良問でした。全体に、英語も基礎をしっかり固めれば間違いなく取れる問題ばかりでした。

国語

数学

社会

理科

英語

合計

県発表

36.2

32.6

32.8

33.7

32.6

167.9

寺子屋内

43.4

39.3

45.2

44.9

44.2

217.0




今年はほんとうに不安の大きい中での受験でした。例年通りとはいかないことも多々ありました。コロナの影響で、受験生の始まりの時期は、オンライン+動画授業でのスタートでした。合宿も進学説明会も中止になりました。それでも、多くの子供たちはそれぞれ懸命に努力して、特に夏以降に成績を飛躍的に伸ばしました。

しかし、成績を伸ばすということは、実はリスクを背負うことでもあります。成績を伸ばすと志望校のレベルを上げる子が多いです。志望校のレベルを上げるということは、それだけ受かりにくくなるわけです。

今年はギリギリの1月になって志望校を上げた生徒が何人もいました。
その結果、約半数の生徒がまだ一度も模試で合格点を取ったことのない高校を受けるというチャレンジをすることになりました。子供たちに現在の合格確率をしっかり伝えたうえで一人ひとりがそれでも受ける!と判断したのですから止めるわけにはいきません。ですから、平均点を見ていただいたらわかるとおり、今年の寺子屋生の公立入試得点は例年に増してすごく高い!のですが、それでも合格点に達していない生徒は(自己採点を見る限り)多数います。でも、子供たちも自分が頑張ったことに納得しているのでしょう。昨日の自己採点会では一人も泣くことなく(例年泣き出す子がいます)笑顔で帰っていきました。(今年の子たちが単に我慢強いだけかもしれません。今年はみんな良い子過ぎる。)

現在、福岡県内では急速な公立離れが進み、私立指向が高まっています。おそらく原因は、私立入学者に対する財政支援が来年度からさらに分厚くなること、私立が入学者選考の時点で大学進学に有利な「大学推薦優待クラス」を設置して生徒の囲い込みを行っていること(しかしこれは長い目で見たら大学の質をはげしく落とすことになりますよ。大学・高校関係者は経営だけでなく教育そのものについてもっと考えなければ、教育機関なのですから…)などが挙げられると思います。本校生も例外ではなく、今年の本校内の公立高校一般入試受験者は過去12年(現在と同じ定員数になった11年前)で最低の18名のみでした。

さらに本校生の場合、自分の実力より高い公立高校を受験(ちなみに正式には「受」です)した生徒の多くが「私立でもいい」という気持ちがあって志望校を択んでいるんですね。たとえば、「僕は修猷館に行きたい」→「でも偏差値が66しかなくてD判定だ」→「城南高校にランクを下げたら受かる可能性が高いけど、城南高校に行くよりすでに受かってる私立の西南学院に行きたい」 こういう子、つまり、行きたい学校の順位が、1修猷館→2西南→3城南 の子はランクを下げて城南にするメリットがないんですね。福岡県は公立に受かった場合は絶対にその学校に行かねばならないという、法律的にはまったく根拠のない理不尽な慣習がありますから、公立の城南に受かったけど私立の西南に行くということができないんですね。だからランクは落とさずに、ダメもとで修猷館を受ける! 今年は特にこういう判断をしてランクを下げずに受験した生徒が(当校では)多かった印象です。



私は全科目を受験生に教えているのですが、一人で全教科教えてみると、科目を縦割りで教える弊害をつぶさに目の当たりにすることになります。科目どうしがその「あいだ」で有機的な共鳴をし始めたときに、勉強は面白くなります。そして、子供がどこで躓いているか、どんな才能を持っているのかについても圧倒的に深い認知が可能になります。

今年も子供たちのいったいどこが不足しているか、このクラスではどのレベルのどの問題をやることが最も効果的か。できる限りのアンテナを張り巡らせて考えながら指導に邁進したつもりです。それでも、私はまだまだ力不足だと思いますので、これからもっともっと子供たちの力を借りながら努力を重ねていきたいと思います。


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by terakoyanet | 2021-03-12 04:01 | 生徒のがんばり(テスト結果等) | Trackback | Comments(0)