「ながら勉強」についての個人的雑感
2007年 05月 08日
「テレビを見ながら単語を覚えているけどどうですか?」「音楽を聴きながらやっているが本当に身についているのですか?」といった内容のものです。
実は私はいま、この文章を音楽を聴き「ながら」、書いています。私自身、頻繁に音楽を聴き「ながら」仕事をしているので、生徒に「ながら勉強」は絶対にダメだ!!なんて言えるクチではありません。
でも、さすがに「テレビを見ながら単語を覚える」のは論外です。それは単語を覚えているのではなく、単にテレビを見ているだけだからです。そんなことをする子には「いさぎよくテレビを見るか、でなかったら勉強しろ!」と言ってあげてください。
では、音楽はどうなのか?ということになります。
私は、勉強時間が1日あたり1・2時間しかない子の勉強に音楽は基本的に必要ない、というかやはり集中の妨げになると思います。集中する前に、勉強時間が終わってしまうことになりかねません。
しかし、受験期に入り、4時間も5時間も連続して勉強しなければならなくなったとき、音楽は、長時間勉強するための活力になることがあります。音楽を聴くだけで、疲れた頭がすっきりするし、気持ちも高揚して、がんばろう!と思えることもあると思います。また、本当に勉強に集中してしまえば、音楽が鳴っていてもそうでなくても気にならなくなってしまいます。私も実際、音楽を鳴らしながら仕事をしているときに、音楽が途中で鳴り止んでも、まず気づくことはありません。
理想を言えば、音楽をかけてみて、「なんか集中できないなあ」と思ったら、その時点で音楽をとめるというのがいいと思います。でも、子どもにその判断が無理だろうなと思ったら、はじめから、「音楽を聴きながらやるのはやめたほうがいい」とはっきりおっしゃったほうがいいかもしれません。
音楽を聴きながら絶対やっちゃいけない勉強は、国語の読み取りや、英語の長文読解、数学の計算・文章題の読解などです。
国語の読み取りや英語の長文をやりながら、ポップスなど聴いていると、五感に言語情報が2つ同時に入ってくることになるわけですから、集中できるわけがありません。国語の読み取りと英語の長文読解は、集中しないと解けませんし、また、問題に取り組むときに集中できるようになること自体が勉強の目的ですのでこれは絶対にやめたほうがいいと思います。
数学も同様に、数字と言えど、言語情報には変わりありませんので、計算中に音楽が気になると、当然ミスが多発しますし、文章題については適切に文意が読み取れないことになるかもしれません。数学は集中力がある状態で勉強するのが本当に大切で、いつも集中力がない状態下でだらだらやっていたら、ミス癖がついてしまい、大切なテストのときにいっつも簡単な問題で間違えるということになってしまいます。ミス癖は恐ろしく、一度ついてしまったらなかなか直りません。
一方で、私がこれまで教えてきた生徒のなかには、英単語を覚えるとき、音楽を聴くとすごくはかどると豪語していた生徒もいましたし、イヤホンつけてやると、自分の世界に集中できて、勉強がはかどるから必ずつけてやるという生徒もいました。(そしてそれは本人にとっては本当にいい勉強法のようでした。)
要はその生徒が本気になって自分自身にあった勉強のしかたを考えていくことが大切なのですが、親としては、子の勉強のしかたを観察しながら、その都度、そのやり方に助言を与え、共同作業による微調整を繰り返していくことしかできないし、また、それができるならば、子どもにとっては充分にありがたいことなのではないかと思います。