学校の先生と大人の感情

6月3日の朝日新聞の記事に、小中学校の先生の労働時間、平均1日10時間45分!という驚愕の記事が掲載されていました。しかも休憩は1日8分!とまで書かれていました。

私自身も、授業準備と保護者様・生徒さんと向き合う時間の長さに、体力的にくじけそうになることがこれまで何度かありましたが、それにしても、この学校の先生方のこの「平均」勤労時間の長さには驚かされます。労働基準法もへったくれもありません。

特に中学校の先生方の多くは、部活動指導という、ほとんど残業手当もない上に、保護者からのクレーム・要望等がとっても多い、大変な仕事をかかえています。
第三者から見ると、部活動の練習が過熱しすぎているなあと感じる指導がよくあるのですが、でも、そこまで熱心にやってからこそ、部活動指導にやりがいを感じる先生方も多いのではないのでしょうか。

学校の先生は、やたらと世論・生徒・保護者から叩かれがちですが、でも、学校の先生というのは、ほんとうに子どもが好きで、仕事が好きで、一生懸命お仕事なさっている方がとっても多いのが事実だと思います。ですから、保護者も(もちろん塾も)、できるかぎり、学校の先生方のことを悪く言うことなく、できることなら信頼して、子どもを預けることができたらと思います。

もちろん数多くいる先生方のなかには、批判が必要な方が含まれているでしょう。ひどい!と言いたくなるような先生がいるのも事実です。でも、そうでないかぎりは、できるだけ保護者が学校や先生方を信頼しているという姿勢をみせることは、子どもに必ずいい影響を与えるものと確信します。

子どもは、親が中傷したり悪口を言ったりするような相手を信じません。ですから、親がむやみに学校や先生方を信頼していないという態度をとると、子どもはますます学校の授業を聞かなくなるし、学校でナメた態度を取るようになってしまいます。

私は塾という別のフィールドですが、私自身、親が塾(や講師)の悪口を言ったせいで、子どもの態度が急変し、子どもの学習姿勢がとたんに悪くなった、ということを1・2度だけですが経験したことがあります。私としてはもう、保護者様がこちらのことがはっきりと信頼できないなら、それが確実に子どもに伝わるわけですから、そうなると子どもは伸びないのですから、これはもうやめていただいたほうがいいと思うわけです。

でも、学校ではそうはいきません。担任(担当教科指導)交代という「期限」までは必ずお付き合いが続くわけですから、子どもが「あの先生きらい」「あの先生教え方下手」と仮に言ったとしても、子ども側が先生側から学ぶところが全くない!ということは、ほとんどあり得ないのですから、子どもがそんなことを言う明白な理由がないかぎりは「そんなこと言うお前は傲慢だ」ということを教えてあげることが必要なことも多いのではないかと思います。そして「私は先生を信頼してるよ」ということをさりげなく子どもに伝えてあげることができれば、また相手方の先生がその信頼にこたえるだけの力を持っている方であれば、それは、子どもにとってとてもいい出会いを親が提供したということになるのではないかと思います。

一方、もう3年も前になりますが、ある生徒が「学校の先生が塾のことをめちゃくちゃに言った」と泣きながら訴えてきたことがありました。うちの塾は、学校の先生から教科指導について直接お礼に来ていただいたこともあり、また学校の先生方と協力して生徒の生活面の問題解決に当たった経験も幾度かあり、大手塾と違い、多くの先生からいい評価をいただいていると思うのですが、その生徒を泣かした先生は「塾が嫌い」で、「塾」というだけで、頭ごなしに「全然だめ」「そんなん信じたらアホ」ということをその生徒に言ったらしく、生徒と口論になったようです。

これは学校の先生の悪口をむやみに言う保護者と同じく、むやみに塾の悪口を言って、生徒の足をひっぱったという例になると思います。しかも、それによって生徒が泣いて傷ついているのですから、せっかく信頼してくれている生徒の足元をわざわざ無理に崩すようなことを言うのですから、それは暴挙と言わざるを得ません。

的確な批判であればいい。でも感情的な悪口はだめです。(この境界は意外とあいまいですが・・・的確な批判であっても感情的なものから出てきますから。) 悪口で子どもがいい方向に進むことはまず考えられません。悪口を言っている自分を発見したら、そこで悪口を言っている自分をみつめるのです。それが誰のための悪口なのかを考えるのです。そういった感情的なものは、子どものためではなく、単に自分の気持ちのなぐさみものにすぎないことがほとんどです。ですから、大人は大人の自分を過信することなく、自分を子どもと同等の、感情的で単に子どもより処方箋を多く持っているだけの存在だということをある程度認め、いつも自分の感情と相談を繰り返しながら、子どもや人と接することが大切だと思います。

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筑前大島にて  Aug. 2003
宗像市の沖に浮かぶ島。福岡県最大の島です。
宗像大社中津宮や釣りで有名なところです。宗像市(旧玄海町)の神湊から船が出ています。何もせずぼけーっとするのにはいいところ。獲れたての魚がおいしかった!

Commented by あらあら at 2007-06-10 14:11 x
そうですね、同感です。
私は3児の母です。肝に銘じます。
Commented by toba at 2007-06-11 11:08 x
あらあらさんこんにちは。
親と先生がお互い足をひっぱりあうことなく、子どもとともに考え成長できたらいいですよね。
Commented by れい at 2008-02-24 13:15 x
私もそのように感じる方の人間ですが、最近それを忘れかけていた事に気付きました。良かったです! しかし、周りの人から言われる場合の、親、と保護者、の違いって何だろ?といつも考えるんですよね…
Commented by terakoyanet at 2008-02-25 00:19
親と保護者という言葉、わたしも実は使い方に苦慮しています・・・。
この文章にもその戸惑いが出ているような気がします。

「親」というと、「子ども」の「親」という意味ですから、「子ども」に主体がある呼び方だと思いますが、「保護者」というと、「親」という言葉に比べて社会性(社会との関係性や世間体)が入ってくる呼び名だと思います。
・・・でもよく使い分けできません。
by terakoyanet | 2007-06-10 09:14 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(4)