ある子からのお手紙
2008年 07月 27日
このとき破られた約束というのは、「塾の登下校(または休み時間中)にコンビニに行ってはいけない」という塾の規則です。ささいな規則ですが、帰りが22時すぎることもある中学生を受け持つ身としては、絶対に守ってもらいたい規則です。
この規則が一部の受験生たちに破られていることがわかったとき、私は彼ら(彼女ら)に対して「もうお前らのことなんか信用しない!」と言い放ったのですが、私にとってこのことはとてもつらいことでした。
怒った子のなかには、これまで私が一度も怒ったことのないような子も含まれていました。
とても優しくて繊細で真面目で、いつも周りのことを考えている女の子たちも含まれていました。
だから、私は怒っているときに、何でわたしはこんなにいい子に対してこんなにひどいことを言っているんだろうと、その状況がうまくのみこめないまま、子どもたちを叱りつけていました。
以下は、叱りつけたあとに、ある子からもらった手紙(反省文)です。
私は、1年生の最初のころからずっと寺子屋で勉強してきて、寺子屋のいいところとか、先生の生徒1人ひとりへの優しさとか、いろいろ寺子屋のよさをたくさん知っていて、私は、3年生の最後までずっと寺子屋で勉強を頑張っていきたいと思っていました。
そして今も、中学3年間が終わった後も、ずっと寺子屋生として、寺子屋のみんなや先生たちと、今の関係を保っていきたいと思っていました。
なのに私は本当にみんなのことを裏切るようなことをしてしまって、本当に自分の弱さやなさけなさを感じています。
特に鳥羽先生には、1年生のころからずっとお世話になっていて、勉強で苦手なところとか、他にもいろいろ、他の先生では気づいてくれないようなところを気づいてくださったり、本当にたくさん感謝しなきゃいけないのに、3年のこんな大事な時期に、こういうことをしてしまって、本当にみんなに申し訳ない気持ちと、自分のなさけない気持ちで、とても悲しいです。
そういうみんなを裏切る行為を自分たちがやったと思うと、信用をなくされてもしかたないと思います。自分たちは勝手なかんちがいで、コンビニに行っても、万引きとかしなければ問題ない、と本当に勝手なかんちがいをしていました。
でも、かんちがいをしていた、でおさまるようなことじゃないということは分かっていますし、何回謝っても、みんなを裏切ってしまったことは変わらないと分かっています。そして、自分の信用もなくしてしまったことも分かっています。
だけど私は本当に寺子屋が好きで、これからもずっと寺子屋で頑張っていきたいと本当に思っています。
公立受験がどんどんせまってきて、志望校のことを考えると、私が志望校に向かってここまで頑張れたのは、寺子屋だったからだと思います。なので私は、みんなといっしょにこれからも頑張っていきたいです。
そして、今回のことで、人を裏切ることのひどさなどいろいろと感じたことがあったので、これからは、裏切るとか、信用をなくすようなひどいことを、どんな小さなことでも決してしてはいけないと思いました。
本当に、本当に、すみませんでした。
私は教え子からこんなに心のこもった手紙(反省文)をもらったことがなかったので、手紙を読む手がふるえてしまったほどでした。
手紙をくれた子は、その後志望校に合格し、いまは楽しい高校生活を送っているものと思います。きっと彼女はこのことを胸に抱いて大きくなっていくんだと思います。
私も彼女の真摯な気持ちを忘れません。
この手紙を通して、私自身もいろいろと教えられました。その意味で子どもに心から感謝しています。
子どもにはできるかぎり一貫した態度で正しいことを伝えていきたいと思っています。
でも一方で、「私も正しい事が分からなくなり」というのはとても大切なことですよね。
私たちも日々、正しい事というのはいったいどういうことなんだろうということを考えながら子どもと接していくことが大切だと思います。
コメントしていただいてうれしかったです。ありがとうございました。