タクシー奇譚 2009年 01月 31日

昨夜（といってもさっき）私は雨が降っていたので、教室から自宅までタクシーで帰宅しました。

そのときのこと。




運転手「雨がぎょうさん降りますねー。」

私「そうですねー。明日も降りますかねー。」

運転手「どうかねー。まあうちらは雨でよかったよかったよ。この前みたいに雪降られちゃーもううちらは終りよ。夜の7時にみんな引き上げろって言われたけんね。」

私「そうですね。この前の雪はすごかったですね。」

運転手「ほいよ。」


しばし沈黙。私はぼけっと考え事。





・・・　「プッス～ゥ」　



明らかに放屁の音。それは、体の奥底から雄叫びように放たれた間延びした屁の音。




・・・気まずい




・・・てか臭い。まじで臭い。

・・・ああもう臭すぎる。なんか屁のくせに複雑なにおいがする。これはまずい。




私はあまりの状況に耐えかね、咳をしました。
(生徒に聞いたらわかると思いますが、わたしはもともとアレルギー持ちで咳をしがちです。)


一度した咳は止まらなくなりました。咳をするたびに空気を吸い込んでしまう。
そして吸気はとてつもなく澱んだ脳天を直撃する空気。
咳はとまらず、咳き込みまくり。いまにも死にそうなほどの咳。涙が出ます。
「ごほん、うおっほ、ごっほん、ごうっほん、ごっほん、ごほっ、ごほっ、、、うえっっつ」

最後には嘔吐でもするかのような効果音までついて、凄惨な有り様。





そのとき苦しみながらもとても気になったのがタクシー運転手の心情。

自分が放屁したあとに、うしろの乗客が死にそうなほどの咳を繰り返したら、どんな心境になるだろうと、彼のいまの気持ちを察すると、私はいたたまれない気持ちになりました。




「ちょっと風邪で・・・」

私は咳が終わったあとのかすれた声で、運転手につぶやきました。

すると運転手、




　「はあっ？右？」　






この瞬間、私と運転手とのはかない交流は終わりました。

心に複雑な余韻と、上着にかすかな残り香を抱きつつ、私はタクシーを降りました。



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