寺子屋ブログ by 唐人町寺子屋

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2018年 09月 15日 ( 2 )


2018年 09月 15日

石川直樹 ワークショップ写真学校福岡が開催されます。 

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入って1枚目の写真から、山の美に圧倒されて、ワッと胸が熱くなるのを抑えられませんでしたが、2フロアにまたがる展示は、驚くほど充実していました。遠方からでも行く価値ありです。 (価値はそれぞれの方が決めればよいのですが。)

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ポイントとしては

・これまで、過去20年間にわたり石川直樹が世界各地で撮った写真の数々を一堂に見ることができる。
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・石川直樹が綴ってきた言葉の断片に触れることができる展示となっており、彼の写真だけでなく、本、エッセイが好きな人も楽しめる展示になっている。写真の向こうにある石川直樹の思考に触れることができる。
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・動画も見ることができる。K2やエベレスト登頂のドキュメントはかなり面白い。淡々とした石川直樹の語りも良い。
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・石川直樹の部屋、と題された展示では、彼が実際に長年使用してきた装備や道具、蔵書などの私物や若い頃の写真まであり、彼の活動を長年追いかけてきた人や、彼の道具の本を読んだ人たち、自らも登山をするという人たちにとって、堪らないコーナーになっている。細かいものも置いてあるので、持ち帰る人がいないか少し心配。いろいろ書きましたが、その面白さは訪れた人だけが解るもの。ぜひ、行かれてみてください。

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福岡市中央区唐人町のとらきつねにおいて、9月22日・24日・29日・30日の4日間にわたり、写真家・石川直樹さんによるワークショップ写真学校が開催されます。
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座学、写真集のレビュー、ポートフォリオレビューなどの内容から、「写真のことに詳しくないのですが、大丈夫ですか?」というお問い合わせが複数届いていますが、大丈夫です。

世界最年少の七大陸最高峰登頂などの実績から、いまだに探検家・冒険家としての印象が強い方も多いと思うのですが、石川さんが旅をして、現地で写真を撮るのは、それ自体が目的というよりは、自分の足とカメラというフィルターを通して、世界と自分との接点を見出す手段であると感じます。

今回、石川さんの体温を感じる近い距離で、石川さんが写真を通して何を見ているのか、ということを実感していただきたいと思います。
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そして、9月30日(日)の石川直樹&津田直 という東京でも実現していないスペシャルな対談は、とらきつねBASEにて9月17日(月)の午前10時から第2期販売を行います。前回は数時間で完売したチケットですので、お見逃しありませんように。

・・・

石川直樹 ワークショップ写真学校

講座としては以下のような内容を予定しています。

①座学
・・写真に対する理解を深めるための石川さんによる講義。写真の歴史や知っておいてほしい写真家の作品について、写真そのものについての話等。

②写真集のレビュー
・・気になる写真集や写真関連の書籍を持ち寄り、感想を共有しながら写真に対する理解を深めます。写真家の作品集だけではなく、アイドルの写真集やファッション誌など、自分が「写真」だと思っていて気になるものを持参してください。

③ポートフォリオレビュー
・・参加者一人ひとりが撮った写真(20枚以上)を石川さんが見て講評します。毎回、希望者のみ行います。他の人の写真を見たり講評を聞いたりすることも学びになります。

参加者に毎回持参してもらうものは
①20枚以上の写真プリント(サイズは問いません)
②自分がいま気になっている写真集(何冊でも)です。

これらの学びを通して、一人ひとりの写真が新しい光を帯びてゆくような、そんな機会になればと思います。写真を始めたばかりの初心者からプロを目指す方、現役のプロの方まで、年齢を問わずご参加いただけます。カメラについても、一眼レフでなければならない、というような制限はありません。写真というメディアを通して、石川直樹という知性に触れてみたいという方の参加もお待ちしています。

さらに、9月30日(日)の18時からは、石川直樹+津田直 というふたりの写真家によるトークイベントを開催します。
こちらも九州初の開催です。

*参加できない日がある方のご参加も受け付けますが、その場合に料金の割引等はございません。
*キャンセル不可です。

〇開催場所 福岡市中央区唐人町1-1-1成城ビル1Fとらきつね
〇講義料 一般32,000円 学生18,000円 (定員20名)
〇トーク参加費 一般3,500円 学生・ワークショップ参加者2,000円 (定員30名)
〇前売チケットのご購入方法
(1)とらきつねBASE(オンライン)で購入https://torakitsune8.thebase.in/
(2)とらきつね店頭で購入福岡市中央区唐人町1-1-1 1F(092‐731-0121)
(3)ALBUS店頭で購入福岡市中央区警固2-9-14(092‐791-9335)



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by terakoyanet | 2018-09-15 23:59 | 雑感・授業風景など | Trackback | Comments(0)
2018年 09月 15日

『本を贈る』を読む。

本を手に持ったとたんにびんびんと伝わってきた。この本は、本を心底愛している人たちによって作られている本だということが。

何て、本らしい本。
凛と角ばっていて、ページをめくりやすくって、言葉のひとつひとつがしっかり目に飛び込んでくる。


私はいまこの本を読み始めてわずか45分。
本のはじめから120ページ、編集者の島田潤一郎さん、装丁家の矢萩多聞さん、校正者の牟田都子さんの3人の文章を読んですぐにパソコンの前に座って文章を書き始めたところだ。(つまりまだ全体の半分も読み終わっていない。だから、まだ読み終わっていない人が書いているという留保つきで、この文章を読んでください。いっしょに「読み始め」の感覚を味わってもらえたら。)

本というのは読んでいると途中で弛緩することがあるのだけど、この本はちょっと違う。本を愛している人たちが意図せぬうちに絶妙なチームワークを生み出し、言葉のリレーを繰り広げる。まるで、運動会のリレーのように、走者たちがバトンを渡すたびに見る者の高揚感は高まる。この本は、まさにそんな感じだ。(その高揚感をそのままに、4人目にバトンを渡そうとする所作だけ最後に確認して、もう文章を書き始めてしまった。)

島田さんがこの本の冒頭に言葉を綴ったのは、きっとこの本にとっての幸運だ。島田さんの言葉の中に、ひとつの「全体」の話があった。これは、私が思うに本が持つ最も根源的な力だ。こんな話から始まるこの本はすごいと思った。そしてこの本もそのままで、ひとつの「全体」を体現するものになっているんじゃないか、そんなことを考えた。

島田さんの言葉でもうひとつ印象に残ったのは、「具体的な読者のために仕事をしたい」という話。私自身、何か文を書いているときに、一般とか大衆とかいう言葉がピンとこない。具体的な読者しか、逆に想定できない。だから島田さんの言葉に勇気をもらった。具体的な読者、目の前のあなたに向けて書いていることが、どこかで見知らぬ誰かとも、少しだけ交わることを信じたいと思う。


矢萩多聞さんの中1で学校をやめてインドから日本の友だちに何百通も手紙を送ったという「ビョーキな趣味」の話を読んでいると、子どものころに私も何かを人に伝えたいという強いビョーキの衝動を持っていた時代があったことに気づかされた。小学校時代は毎日新聞を書いて、初めは壁新聞として貼りだしていたけど、それでは物足りなくなって、新聞を毎日学校の印刷室で刷ってクラスのみんなに配るようになった。(よく先生が認めてくれたものだと思う。)中学では毎週寝不足になりながら原稿を書いて、給食時間に図書館アワーという全校放送を1年間続けた。1年間続けた最後の日、給食の終わりかけの時間に教室に戻ってきた私に対し、担任の村石先生が、一年間、こんなに内容のある素晴らしい放送を続けられるものではない、みんな拍手を!とクラスのみんなに拍手を求めてくれたことは忘れない。どこかで自分の趣味でやっているだけ、という引け目のような気持ちが巣くっていたから、先生が認めてくれたことで、どれだけ救われたか。そんな少年時代のことを思い出した。

矢萩さんの言葉で印象に残ったのは、この章のタイトルにもなっている「女神はあなたを見ている」。この言葉は、きっとこの本がこの世に生まれた意味そのものを示しているので、ここで説明してしまっては余りにもったいない。物事を大切にいとおしむことを知っている矢萩さんの文を通して、この本を読む人に、この言葉を味わってほしいと思います。


そして3人目のバトンは校正者の牟田都子さん。「ものを知っている」というよりも「調べ方を(人よりも多少)知っている」という校正の仕事の本質の話、しかしその校正という行為自体は「読む」というよりも「耳をすます」ことであるという話。
私も昨年初めて本をつくって、校正の方と、そして自分が書いた得体の知れぬ言葉と、格闘し、会話をした。そうか、校正というのは、こんなにあったかくて、真剣な仕事なんだと、そこには確かに血の通った会話があったと、牟田さんの言葉を読んで、改めて深く噛みしめた。
私は本を書きたいとか、本を出したいとかそんなことではなくて、究極にはこういう会話がしたいだけなんだ、そのことが、次の本のことについて考えているこのタイミングで確認できてよかったと思う。


普段、感傷的すぎることは恥かしいと思い、自分のことについては極力書かないようにしているのですが、この本は、あまりに自分に寄せて読むことができる本なので、前半を読んだだけですが、つい長文を書いてしまいました。

とらきつねには昨日入荷しました。ぜひ手にとって読んでみてください。

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by terakoyanet | 2018-09-15 04:08 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)