2019年 06月 25日 ( 1 )

北京郊外の万里の長城(慕田峪長城)に行きました。
市の中心部からタクシーで1時間強。(バスもあります。)
北京の喧騒から離れてこの辺りまで来ると、気持ちいい風がふいています。
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万里の長城が辺境の地にあるという印象がある人にとっては、このアクセスのよさは驚くべきことかもしれません。
万里の長城自体も、他の世界遺産同様に良くも悪くもテーマパーク化が進んでいますから、何の不自由もありません。
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長城まではロープウェイやリフトで行くことができます。下りはスライダーで下ることもできます。
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登って辿りついた長城からは、想像以上の素晴らしい景観が広がっています。
万里の長城と聞くと荒涼とした風景を思い起こすものですが、ここは豊かな緑に覆われています。
尾根を這うようにずっと東西に延びるその姿を追っていると、その先への好奇心がふつふつと沸き起こります。
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とは言っても、万里の長城は、ずっと1本の壁が続いているわけではない。
かつてフランツ・カフカが言ったとおり、それは「各所に空隙」がある建造物です。
空隙を埋めようと後からいくら継ぎ足していっても、いつまでも完成しない建造物、それが万里の長城。
いかにもカフカ的な恐ろしさを感じる話です。

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今度行くことがあれば、周辺をトレッキングしたら面白そうだなと考えています。



テーマパーク化といえば、東浩紀さんの新刊『テーマパーク化する地球』が面白いです。
最初は「テーマパークと慰霊」という文章で、中国の大連が出てきます。
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大連という都市自体が、はじめからテーマパークだった、という話。すごく面白いです。

大連をテーマパーク化した国として、ソ連と日本が出てくるのですが、ロシアの極東地方にある都市はそもそもほとんどテーマパーク的だなという実感があります。いまも「模倣の模倣」(東浩紀) という異物を持ち込んだ余所余所しさが甚だしい。ですから、ソ連は極東地方の開発で身につけたテーマパークのノウハウを大連に持ち込んだ感もあります。
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ハバロフスク

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『テーマパーク化する地球』については、数日前に別のところで以下のように紹介しています。文学論としても面白い本です。


東浩紀さんの新刊『テーマパーク化する地球』。タイトルからは想像しにくいかもしれないが、この本の大きなテーマのひとつは「文学」である (と思う)。

石牟礼道子の『苦海浄土』に「本人でさえいいたいことに気づいていない」当事者性を超える「心の中でいっていること」の語りを見出し、高橋源一郎の小説に「評論が拡張した結果としての小説」つまり「この小説こそが批評である」ことを見出す。

ほんとうの批評は、時代の変化の現実に向かい合い、新たな批評の文体を発明すべく悪戦苦闘しなければならない。東さんはこの問題意識から、文学であるからこそ批評でありえた作品に注目する。

そしてその意識は当然、彼自身の文体さえも揺さぶる。それはかつて二葉亭四迷が『浮雲』で見せた、文体の変化がそのまま哲学と概念の闘いの軌跡を示したあの現場を思い起こさせるものである。

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by terakoyanet | 2019-06-25 10:18 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)