寺子屋ブログ by 唐人町寺子屋

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2018年 10月 03日

塾は勉強をする場所でありさえすればよい。 pt.2

ちょうど5年前の10月3日に、「塾は勉強をする場所でありさえすればよい。」という記事を書きました。
それを以下に再掲します。



・・・

道徳とか行儀とか、そういう付加価値(にすらならないが)を売りにする塾は詐欺以外の何者でもない。


Twitterでちょっとキツめの言葉を吐いたのは私のある知人。


昨今、「道徳」や「行儀」を教えることを「売り」にする塾が存在する。
中には「行儀のよさ」や「親孝行」をポイント化して、ポイントに応じて商品をあげるという、かなり悪趣味な塾も存在する。

私は「道徳」や「行儀」を塾で教えることも、それを「売り」にすることも嫌だ。
ましてや教室での「行儀」や家庭での「親孝行」に対して塾がポイントを付与するなんて、狂っているとしか思えない。そんなことは許されないとさえ感じる。


私は「道徳」や「行儀」自体を否定するつもりはないが、「道徳」や「行儀」といった社会の「常識」、または「社会」そのものに対して疑問を持った子どもたちに対し、その疑問を頭ごなしに否定するような、知性のかけらもない対応をしたくない。「頭ごなしに常識を押しつける人間も必要」という考えもあるかもしれないが、私は私自身の性質上、その考えに与することはできない。


私はかつて日本の村落に存在した寺子屋的学び舎に「道徳」や「行儀」を学ぶ場としての意義があったことを否定しない。最近読んだ宮本常一の本には、村落にとって寺子屋的学び舎がどれだけ生き生きとした意義をもったものであったかということが活写されていて、非常に興味深い。

しかし現在「道徳」や「行儀」を教えると謳う塾にとって、それらを教えることは、単に教室の「付加価値」を高めるための戦略でしかない。そこで教えられる「道徳」や「行儀」は、教える講師にとっても、教えられる子どもにとっても、決して必然性という纏いを帯びることのない空疎なものである。


このことに関連して、私がずっと心にひっかかっていることがある。
2007年に本校がN新聞に取り上げられた記事の本校の紹介のなかに、次のような一文があった。

「塾を勉強するだけの場所とは考えず、精神面の指導にも力を入れているのが大きな特徴。」

私は、こんなこと言ってないし!!精神面の指導とかしてないし!!と思ったけれど、声を大にして言うまでもないかと考え直し、当時、新聞社に抗議するようなアクションはとらなかった。

しかし、6年以上経った今になってもやはりこの文言は気になる。

私は、塾は勉強をする場所でありさえすればよい、と考える。
しかし、勉強を教えている過程で、不意に生徒と心が行き交う機会が訪れることがあるのだ。
そして、結果的に、生徒に精神的な影響を与えることがある。しかしこれは「結果的に」なのである。
はじめから「精神面の指導をするぜ!」とか絶対に考えていない。

夏合宿などの行事も、生徒たちの精神面の指導をするという大義のもと行っているわけではない。
第一に学習力向上のためであり、第二に教室環境(生徒―生徒間、生徒―講師間)を整えるためであり、そして子どもたちの屈託のないあの笑顔!が最高だから行っている。

本校がずっと生徒を集め続けることができるのは、精神面の指導といった「付加価値」のためではなく、単に「勉強をする場所」として優れた部分があるということを、生徒と保護者が認めてくださった結果だと思っている。
「付加価値」で勝負しようとするなんて、塾の指導力の弱小さを披歴するだけ。あくまで勉強をする場所としての完成度を高めなければ。

塾は勉強する場所でありさえすればよく、心や精神は結果的にあとからついてくる(ことがある)。
私はこのスタンスで塾を続けていくことが肝要だと考えています。




・・・

1Fにお店があったり、イベントが行われて行列ができたりするから、誤解されがちなのですが、いまもこのスタンスは全く変わっていません。お店やイベントは付加価値を求めて外付けしたようなものではなく、塾の仕事の延長上に自然発生的に生じたものです。

子どもと保護者にとって、塾というのはシンプルに、成績を伸ばす場所であればよいのです。
(通う子どもに聞けばわかりますが、)本校はそれをただひたすらに実行しています。

子どもと親の学力を向上させたいという気持ちを叶えるのが塾の仕事です。


おととい、けんすうさん(古川健介さん)


とつぶやいて、そう、確かに、と思いました。
AIが普及すると仕事がなくなる、そんな悲観的な話ばかりが聞こえてきます。
でも、そんなのはウソで、AIが普及すると、単にいまの仕事の質が変わるんです。

塾でも、子どもへの知識的指導の負担が少し減って、その代りに子どもたちのその都度の気持ちにこたえたり、AIの学習プログラムとの相性が悪い少数の子どもへのケアが充実したり、そんな未来が考えられるかもしれません。
いま、単に採算が合わないという理由で顧みられていない細やかな部分に、新たな価値が見出されるというのは、決して悪いことではないでしょう。

経営に求められていることは、一時しのぎにすぎない付加価値のアイデアを思いつくことではなく、いま、目の前で求められていることは何かを考え抜くということに尽きます。そうすれば、AIが普及して、仕事が変質していくさなかでも、柔軟な対応ができるでしょう。柔軟に対応するというのは、いま必要なことを見抜いて、変化を怖れずに行動するということです。私たちもまだまだ力不足ですが、そのことを大切にして、これからも仕事をしていきたいと思います。



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# by terakoyanet | 2018-10-03 10:21 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)
2018年 10月 02日

成功の方程式というのは確かに存在する

先日ある高校生の男の子に「成功の方程式というのは存在しますか?」と尋ねられて答えに窮したことがありました。
そのあと、一言ではなかなか答えを言い尽くせないこのことについて考えています。

私は、成功の方程式というのは確かに存在すると思っています。
凄い確率で全国大会に導くスポーツのコーチはいるし、学校が変わるたびに全国優勝に導く部活動の顧問もいます。そういう人は成功の方程式というものを持っています。本校も、中学生がこうやって学べば伸びるし合格しやすいという方程式を持っている。だからある程度の実績を積んできた。だから確かに成功の方程式というのは存在します。

成功の方程式が個々人にはまるかどうかは、その個人の周りの環境に依るところが大きいです。
だから、良い指導をする場所に子どもを預けたら、家庭の考えとかをを出さずにただ任せていた方がいい。
そういうわけで、成功の方程式によって実績を積んでいるコーチや顧問は、なるべく外部の雑音を遮断した状態で指導します。家族さえも有無を言わせないような独裁的な体制で指導することで、方程式の全てを教え子に伝えようとします。
しかし、これが行き過ぎると、本人や家族が指導者の暴力さえも肯定するということが起きることもあります。

成功の方程式を持っていて、その運用を徹底的にやる人もいれば、それに慎重な人もいます。(ちなみに、単に臆病だからその方程式を使わない人は、慎重とは言いません。)それは、「成功」を重んじるか、それとも、その個人の「人間」自体を重んじるか、ということに関わります。成功の方程式に従わせることが、必ずしも人間性を損なわせるとは限らないのですが、ほとんどの指導者がそういう誤りを犯していることも事実です。

私自身は、全ての個人と要素を成功に導く指導者よりは、高い確率で成功に導く指導者を目指しています。
全ては目指しませんが、あくまで、高い確率という部分にはこだわります。

また、成功した、していないに関わらず、そもそも成功自体に価値があるのか、という別の視点についても子どもたちに問いたいと思います。成功の有無によって、見えなくなるものがないようにしてあげなければ、これから長い人生が続く子どもたちが不幸になると思うからです。




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# by terakoyanet | 2018-10-02 10:58 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)
2018年 10月 01日

とらきつね一般書ランキング(8/27-9/30)

とらきつね一般書ランキング(8/27-9/30)*参考書の売上は除いています

(1)1 音楽のまわり 寺尾紗穂編
(2)2 親子の手帖 鳥羽和久 鳥影社
(3)3 アルテリ六号 (石牟礼道子追悼号)
(初)4 ユリイカ2018年9月号(濱口竜介特集)
(初)5 フェルメール 植本一子 ナナロク社
(再)6 「ユマニチュード」という革命 イヴ・ジネスト他 誠文堂新光社
(初)7 極北へ 石川直樹 毎日新聞出版
(初)8 本を贈る 若松英輔他 三輪舎
(再)9 猫はしっぽでしゃべる 田尻久子 ナナロク社
(初)10 定本 育児の百科(全)松田道雄 岩波文庫

1位の寺尾紗穂さん編『音楽のまわり』は再々入荷をしましたが、もう残りが少なくなっています。2位の『親子の手帖』は発売から半年間ずっと上位をキープ。ありがとうございます。

これまででもっとも多くの方に本を買っていただいたこの1ヶ月。5位初登場の『フェルメール』、8位初登場の『本を贈る』をはじめ、名著が続々と刊行されました。昨日トークイベントが行われた、石川直樹さん、津田直さんの関連本や写真集もたくさんお買い求めいただきました。

現在は「植本一子とナナロク社フェア」開催中。ナナロク社の本づくりのこだわりに、ぜひ仰け反っていただきたいと思います。そして、10月中旬からは「タラブックス フェア」が始まりますので、こちらもお楽しみに!


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# by terakoyanet | 2018-10-01 13:58 | とらきつね | Trackback | Comments(0)