寺子屋ブログ by 唐人町寺子屋

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2018年 09月 15日

『本を贈る』を読む。

本を手に持ったとたんにびんびんと伝わってきた。この本は、本を心底愛している人たちによって作られている本だということが。

何て、本らしい本。
凛と角ばっていて、ページをめくりやすくって、言葉のひとつひとつがしっかり目に飛び込んでくる。


私はいまこの本を読み始めてわずか45分。
本のはじめから120ページ、編集者の島田潤一郎さん、装丁家の矢萩多聞さん、校正者の牟田都子さんの3人の文章を読んですぐにパソコンの前に座って文章を書き始めたところだ。(つまりまだ全体の半分も読み終わっていない。だから、まだ読み終わっていない人が書いているという留保つきで、この文章を読んでください。いっしょに「読み始め」の感覚を味わってもらえたら。)

本というのは読んでいると途中で弛緩することがあるのだけど、この本はちょっと違う。本を愛している人たちが意図せぬうちに絶妙なチームワークを生み出し、言葉のリレーを繰り広げる。まるで、運動会のリレーのように、走者たちがバトンを渡すたびに見る者の高揚感は高まる。この本は、まさにそんな感じだ。(その高揚感をそのままに、4人目にバトンを渡そうとする所作だけ最後に確認して、もう文章を書き始めてしまった。)

島田さんがこの本の冒頭に言葉を綴ったのは、きっとこの本にとっての幸運だ。島田さんの言葉の中に、ひとつの「全体」の話があった。これは、私が思うに本が持つ最も根源的な力だ。こんな話から始まるこの本はすごいと思った。そしてこの本もそのままで、ひとつの「全体」を体現するものになっているんじゃないか、そんなことを考えた。

島田さんの言葉でもうひとつ印象に残ったのは、「具体的な読者のために仕事をしたい」という話。私自身、何か文を書いているときに、一般とか大衆とかいう言葉がピンとこない。具体的な読者しか、逆に想定できない。だから島田さんの言葉に勇気をもらった。具体的な読者、目の前のあなたに向けて書いていることが、どこかで見知らぬ誰かとも、少しだけ交わることを信じたいと思う。


矢萩多聞さんの中1で学校をやめてインドから日本の友だちに何百通も手紙を送ったという「ビョーキな趣味」の話を読んでいると、子どものころに私も何かを人に伝えたいという強いビョーキの衝動を持っていた時代があったことに気づかされた。小学校時代は毎日新聞を書いて、初めは壁新聞として貼りだしていたけど、それでは物足りなくなって、新聞を毎日学校の印刷室で刷ってクラスのみんなに配るようになった。(よく先生が認めてくれたものだと思う。)中学では毎週寝不足になりながら原稿を書いて、給食時間に図書館アワーという全校放送を1年間続けた。1年間続けた最後の日、給食の終わりかけの時間に教室に戻ってきた私に対し、担任の村石先生が、一年間、こんなに内容のある素晴らしい放送を続けられるものではない、みんな拍手を!とクラスのみんなに拍手を求めてくれたことは忘れない。どこかで自分の趣味でやっているだけ、という引け目のような気持ちが巣くっていたから、先生が認めてくれたことで、どれだけ救われたか。そんな少年時代のことを思い出した。

矢萩さんの言葉で印象に残ったのは、この章のタイトルにもなっている「女神はあなたを見ている」。この言葉は、きっとこの本がこの世に生まれた意味そのものを示しているので、ここで説明してしまっては余りにもったいない。物事を大切にいとおしむことを知っている矢萩さんの文を通して、この本を読む人に、この言葉を味わってほしいと思います。


そして3人目のバトンは校正者の牟田都子さん。「ものを知っている」というよりも「調べ方を(人よりも多少)知っている」という校正の仕事の本質の話、しかしその校正という行為自体は「読む」というよりも「耳をすます」ことであるという話。
私も昨年初めて本をつくって、校正の方と、そして自分が書いた得体の知れぬ言葉と、格闘し、会話をした。そうか、校正というのは、こんなにあったかくて、真剣な仕事なんだと、そこには確かに血の通った会話があったと、牟田さんの言葉を読んで、改めて深く噛みしめた。
私は本を書きたいとか、本を出したいとかそんなことではなくて、究極にはこういう会話がしたいだけなんだ、そのことが、次の本のことについて考えているこのタイミングで確認できてよかったと思う。


普段、感傷的すぎることは恥かしいと思い、自分のことについては極力書かないようにしているのですが、この本は、あまりに自分に寄せて読むことができる本なので、前半を読んだだけですが、つい長文を書いてしまいました。

とらきつねには昨日入荷しました。ぜひ手にとって読んでみてください。

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by terakoyanet | 2018-09-15 04:08 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 07月 18日

とらきつね一般書ランキング(6/9-7/17)

とらきつね一般書ランキング(6/9-7/17)


(1) 1 親子の手帖 鳥羽和久 鳥影社
(ー) 2 勉強の哲学 来たるべきバカのために 千葉雅也 文藝春秋
(ー) 3 ゲンロン8 特集 ゲームの時代 東浩紀編 genron
(再) 4 子どもと一緒にスローに暮らす 藤田ゆみ アノニマ・スタジオ
(ー) 5 どもる体 伊藤亜紗 医学書院
(ー) 6 主よ一羽の鳩のために 須賀敦子 河出書房新社
(2) 7 脇道にそれる 尹雄大 春秋社
(ー) 8 謎床 松岡正剛,D チェン 晶文社
(4) 9 猫はしっぽでしゃべる 田尻久子 ナナロク社
(ー) 10 おしっこちょっぴりもれたろう ヨシタケシンスケ PHP研究所


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by terakoyanet | 2018-07-18 03:10 | とらきつね | Trackback | Comments(0)
2018年 06月 26日

ブックレビュー 2018年6月

私たちは、自分が正しい道を歩んでいると信じていたいし、そうでなければならないと思っている。でも、その「正しさ」についてちゃんと考え抜いているのかな、「正しさ」さえも私たちが自分が生きるために必死に作り込んだストーリーでしかないかもしれない。尹雄大さんの新刊『脇道にそれる <正しさ>を手放すということ』を読むと、そのことに気づかされ、考えさせられます。

共感によって手に入れようとした安心には、根がまったくない。それでも互いに「わかるよ」と頷きあっている関係さえあれば、たとえ中身が紛いものであっても「自分は孤絶していない」という手応えは確かに感じられる。私は現実ではなく、現実らしさを望んでいたのだった。(本文より)

私は私であることを恐れ、常に何者かになろうとする。自己実現とは、ありのままの自分になるという意味ではなく、常に評価される何者かになろうとしていまの自分を超えようとすることを指す。その何者とは、「理想」でありやがて達成されるであろう自己だ。いずれも像でしかなく、現実ではない。よくできた贋物でしかない。(本文より

第 1 章で、読者の胸を刺す<贋物である私>の指摘から始まるこの本は、第 4 章のべてるの家、しょうぶ学園といった、脇道にそれることを厭わない人たちへの取材を通した話で終わる。そういうこの本もひとつの「ストーリー」であり、それを欲する私たちもまた、自らの「ストーリー」に寄与するものとしてこの本を望んでいる。この本に出会った人が、自分のストーリーを大切に抱えながらも、「正しさ」や「信念」といった呪縛から解き放たれることを願っています。

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熊本・橙書店の店主、田尻久子さんの本、『猫はしっぽでしゃべる』。橙書店といえば、創刊以来とらきつねで販売させてもらっているアルテリの版元でもあります。

熊本地震のあと、移転した橙書店に行ったとき、以前と同じ匂いがする、と安心した人は多いでしょう。本の中にも「同じ匂いがする」と言って涙ぐむ人が出てきます。(決して湿っぽくはならないのですが。)地震の前も後も変わらずに営業を続ける書店員田尻さんの日常が淡々と綴られます。

いつも橙書店で執筆をしている坂口恭平さんのことが書かれた章があります。これを読んだあとに、本に付属している小冊子の坂口恭平さんの文章を読むと、心を深く動かされます。

田尻さん(恭平さんは久子ちゃんと呼ぶ)は何もジャッジしない、いつも「それでいいよ」「大丈夫」と言う。それは単に「否定」の対極にある「肯定」ではなくて、あなたの存在を無償で受け入れるからあなたは好きにしなさい、そういった、自分の存在に確かな囲いを与えてくれる場所としての「橙書店」が明らかになる場面です。人に救いを与えるというのは、本当はこういうことなんだろうな、そう感じます。
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写真集としては異例ともいえるロングヒットで24刷が決まった(おめでとうございます!)川島小鳥写真集『未来ちゃん』。

子どもというのは私たち大人とは別の世界に住んでいて、その世界はきっと宇宙より広いんだ。そのことを思い知らされる本です。

未来ちゃんがこうして確かに存在した一瞬を思うと、思わず涙が出るほど心揺さぶられるし、そしてたったいまも日本で、世界中で、きっと未来ちゃんが元気に駆け回っているのだろうということを信じることができます。そして、未来ちゃんがいる限り、私たちも絶望なんてしてられない、そう思うのです。

ナナロク社の本を多数入荷しました。『未来ちゃん』もサンプル本とともに展開中です。ぜひお手にとってみてください。

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失ってみてはじめて分かったことだが信頼は、生きることの基盤をなしている。自己への信頼も、他者との信頼の間に育まれる。心を開いてくれる他者と出会えたとき人は、他者との間だけではなく、自己との新しい関係をも結ぶことができるのはそのためだ。

心を開くとは、他者に迎合することではない。そうしてしまうと相手だけでなく、自己からもどんどん遠ざかってしまう。むしろ、心を開くとは、自らの非力を受け入れ露呈しつつ、しかし変貌を切望することではないだろうか。(本文より)


日経新聞に連載されたエッセイが単行本になった若松英輔さんの『悲しみの秘儀』。一冊の本のことを「誠実な読み物」と呼ぶのは、無粋で野暮なことだとわかっているけれど、それでも、これほど誠実さが身にしみる文章というのは、なかなか出会えないのです。悲しい(愛しい、美しい)生の中に生きる、全ての大人たちのために綴られた文章
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昨年、哲学者の中島義道さんをお呼びしたイベントの際に、ある来場者の方から、「高橋源一郎さんは、呼ばれないんですか。」と尋ねられました。彼女にとって、中島義道さん、高橋源一郎さんのふたりが、長年のアイコンらしく、また、随分毛並みの違うお二人が好きなんですね、なんて話をしたのを覚えています。高橋源一郎さん、お話ししてもらったら、そりゃあもう、面白いでしょうね。

高橋源一郎さんの新刊、『 お釈迦さま以外はみんなバカ 』 ( 集英社 ) を入荷しました。古今さまざまな本を題材に、さまざまに繰り広げられる四方山話。唸ったり笑ったりしているうちに、心がほどけてくる面白い本。松岡修造のどこがすごいのか、なんて話も、気軽なのに説得力のある言葉で綴られています。そして、本のどこから読んでも楽しいのが、また、ありがたい。攻めたタイトルも好きです。
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by terakoyanet | 2018-06-26 02:00 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 06月 10日

とらきつね一般書ランキング(4/23-6/8)

本校の1Fとらきつねが書店を兼ねるようになってから、これまで以上にたくさんの方が立ち寄ってくださるようになりました。近所の方たちや学校の先生たちもたびたび立ち寄ってくださっています。

とらきつねでは不定期に一般書の売り上げランキングを発表しています。(ただし学習参考書は集計対象外。)


とらきつね一般書ランキング(4/23-6/8)


(1) 1 親子の手帖 鳥羽和久 鳥影社
(-) 2 脇道にそれる 尹雄大 春秋社
(-) 3 子どもと一緒に読みたい絵本 玄光社MOOK
(-) 4 猫はしっぽでしゃべる 田尻久子 ナナロク社
(10) 5 「ユマニチュード」という革命 イヴ・ジネスト他 誠文堂新光社
(7) 6 星の王子さま バンド・デシネ版 ジョアン・スヴァール 池澤夏樹 サンクチュアリ出版
(-) 7 もう ぬげない ヨシタケ シンスケ ブロンズ新社
(-) 8 良いおっぱい悪いおっぱい 完全版 伊藤比呂美 中公文庫
(-) 9 〈ほんとうの自分〉のつくりかた 榎本博明 新潮社
(-)10 あやとりの記 石牟礼道子 福音館書店

本日のとらきつねは12時オープン。(日曜のみ12時オープンです)
本棚の本たちは随時入れ替わっています。
1冊1冊大切に選んでいますから、雨の日にゆっくり読む本を探しにきていただければと思います。

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子どもが読書をしない、となげく親御さんがいらっしゃいますが、親が読書が楽しいと思って日々本を読んでいて、それが子どもに伝われば、自ずと読書が好きな子どもが育つことが多いです。(面白そうな本がずらっと並んでいる本棚があるとなお良いです。)

読書は何歳からでも始められるし、人生を濃密にする方法としてはとてもすぐれていると思います。
皆さんがよい本に出会えますように。


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by terakoyanet | 2018-06-10 10:26 | とらきつね | Trackback | Comments(0)
2017年 12月 30日

2017 BEST TRACK 1 (KOREA/JAPAN)

2017年のおすすめトラック、日本/韓国編。10曲を選びました。それにしても、今年も豊作でした。(毎年豊作ですが。)


● Maison book girl / faithlessness
ハマる変拍子が今年もまた。



●柴田聡子 / ゆべし先輩
今年読んだ植本一子さんの本の中にもでてきてたけど、この人、本当に天才だな!



●Qiezi Mabo loves PUNPEE - Qiezi Mabo Forever  
ふざけてるけど、一周まわって衝撃的にかっこいい。



●PAELLAS - P House Feat. ENNE
今年いちばんハマった曲。かっこいいけどヤボいからちゃんと温度がある。


●BTS (방탄소년단) / Go Go (고민보다 Go)   
今年はBTSの年でしたね。来年はさらに加速しそう。




●HYUKOH (혁오) / Leather Jacket  
ヒョゴはまずボーカルがすばらしい。音もおもしろい。動画はネバヤンとの対談。




● IU(아이유) / Palette(팔레트) (Feat. G-DRAGON)  
まさに今年を代表する曲。




●寺尾紗穂 / 私の怪物
胸をえぐる曲。寺尾さんの音の世界がまた一段深化した。
●Shinichi Atobe - Regret  
Susumu Yokota 氏の不在を嘆いていた時に、すっと胸に入ってきたのが彼の音でした。



●電気グルーヴ / トロピカル・ラヴ  
ひさびさにすごいトラックきましたね。



他にメジャーどころでは、以前も書いた、オザケン、コーネリアスの復活。そしてスピッツ30周年に伴う「振り返り」のためのエモい新曲”1987”。さらに、くるりにしか聞こえなかったネバヤンの夏の名曲Surely、そして今年この曲が出たことに必然しか感じなかった(だって今年は「家族」がテーマですもん)星野源の"Family Song"など、たくさんいいものがありましたね。来年も楽しみです。


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by terakoyanet | 2017-12-30 11:28 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2017年 12月 20日

2017年 BEST ALBUM

毎年のように綴っている、独断と偏見で選んだ今年のベストアルバム。2017年はこの9作を選びました。


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NUUAMM - w/ave (JAPAN)



Lana Del Rey - Lust For Life (US)



大森靖子 - kitixxxgaia (JAPAN)



Fever Ray - Plunge (SWEDEN)



EPIK HIGH - WE'VE DONE SOMETHING WONDERFUL (KOREA)



IBEYI - Ash (FRANCE/CUBA)



寺尾紗穂 - たよりないもののために (JAPAN)



PAELLAS - D.R.E.A.M. (JAPAN)



Mac DeMarco - This Old Dog (CANADA)




エレクトロニクスと音楽は年々ますます親密になっていきます。この時代にこんな音楽と出会えてよかったと思います。後日、ベストトラック編を。




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by terakoyanet | 2017-12-20 12:23 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2017年 08月 16日

沖縄で訪れたおすすめの場所2

今回の沖縄訪問で出かけた場所のなかで特におすすめのスポットを挙げる前記事の続きです。


〇タコス専門店 メキシコ 宜野湾市伊佐
私は普段、を好んで食べるほうではないのですが、こちらのタコスはもう、毎日食べてもきっと飽きない、そう思わせるほど美味でした。
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〇月苑飯店 沖縄市久保田
日本で最初にできた(正確に言えばできた当時はアメリカ占領下だから「日本で」と言ってよいのか)ショッピングセンター、プラザハウスに設立当時からある老舗広東料理店。古き良き中華料理店の雰囲気のなか、上質の料理を堪能できます。沖縄の人たちの大切な日にも利用されるお店です。
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プラザハウス内の写真館では「琉米文化写真展」が行われており、興味深い写真が一堂に並んでいました。
プラザハウスはまさに琉米文化の聖地とも呼べる場所です。
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〇Shoka: 沖縄市比屋根
海が見える住宅街の中にある気持ちの良い店。ARTS&SCIENCEなどの素敵な洋服やアクセサリーが並んでいます。沖縄でいま一番ときめくお店かもしれません。
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〇喜色 名護市饒平名(屋我地島)
場所がわかりにくいですが、とにかく料理が丁寧で美しく、心が満たされます。
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〇Restaurant L LOTA 今帰仁村古宇利(古宇利島)
最近、急激に観光客が増えた古宇利島にあるカフェレストラン。店内からのこの眺めは最高のご褒美。
それにしても、古宇利島にはハート岩よりいいものがたくさんありますよ。
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〇カベール岬 南城市知念久高
初上陸の久高島。カベール岬は沖縄の祖神、アマミキヨが降り立った聖地として知られる場所。
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南城市は過去にグスク巡りをしたことがあります。すごく楽しいのでおすすめです。
次回は今回予約が取れなかった「料理 胃袋」に行きます。


〇聖クララ教会(与那原カトリック教会) 与那原町与那原
占領時代に建てられた素晴らしい意匠の教会堂。
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私たちの住む福岡も、変化が目まぐるしい街と言われますが、沖縄は、それとは少し違った意味で変化が大きな場所です。
宜野湾のD&DEPARTMENTの向かい側では、普天間基地の部分返還による大工事が行われていました。
市街地に隣接するこれほど広大な土地が一挙に開発されるというのは、基地返還という特殊事情でしか起こりえず、そういった外的要因によって街の暮らしが一変することがあるという意味で、政治の波にいつまでも翻弄され続ける沖縄は内地とは随分異なる特殊な事情を持っている場所です。しかしこのことをむしろ可能性と見る人たちがたくさんいることも事実です。
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今回、沖縄の計り知れない魅力を改めて知りました。
沖縄時間というのが存在することも再確認しました。
今度は夏以外の過ごしやすいときに出かけようと思います。


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by terakoyanet | 2017-08-16 00:29 | 好きなお店 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 25日

福岡で食べる夏の麺

昨日の昼はひさびさに恵味うどん(薬院3丁目)でとりおろしうどんをいただきました。
とりおろしうどんは恵味うどんの看板メニューともいえるうどん。
初代店主の恵味おばちゃんがまかないで作ったものが、いまや人気店の代名詞的メニューに。
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こちらは通年のメニューですが、暑い夏に、つるつるしこしこの冷たい麵を、生姜やごま、大根おろしなどが入った熱いスープに浸して食べるのは実に最高なんです。



夏の麺といえば、私にとって決して外せないのが、杵むら(薬院2丁目)の冷やし南蛮うどん。
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つるつるの麺がさっぱりした冷ややかなスープにイン。カボスのさわやかな甘酸っぱさ、茗荷のエキセントリックな苦み、大根おろしのつんと立った辛み。これらが絡んで醸し出される旨みはもうたまりません。杵むらの冷やし南蛮を食べないと夏は始まらないのです。



そして最後にとらきつねでもお取引のある、美味しいごまだれで福岡にその名をとどろかすゴマカフェマルニさん(清川3丁目)の夏の看板メニューといえば、冷やし担々麺。
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白濁のまろやかなスープと、トンがった辛みのバランスがあまりに絶妙で、唸ってしまいます。
私にとって間違いなく一番の担々麺です。


世知辛い世の中とはいえど、麺は決して私たちを裏切りません。
むしむしとしたこの季節、ぜひ麺を食べて清々しい幸せを感じてください。



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by terakoyanet | 2017-06-25 12:43 | 好きなお店 | Trackback | Comments(0)
2016年 11月 21日

「この世界の片隅に」を観ました。

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少し前になりますが、キャナルシティのユナイテッドシネマで「この世界の片隅に」を観ました。
過去数年で一番好きな映画になりました。

戦中・戦後の広島市と呉市が舞台。話は思いのほかテンポよく進んでいきます。
最先端のアニメ技術が駆使されているわけではないけれど、海や山、町なみ、建物、軍艦、どれをとっても絵が素晴らしかった。素朴ながらもきらめく瀬戸内の風景、海の色も、夕日の色も、確かにこの色だ。そう思いました。

主人公のすずは「普通の子」。彼女は、ただ言われるがままに結婚し、結婚した先の苗字もあやふやなまま、夫の家のある呉に引っ越します。戦争が始まっても、空は、海は、変わらず美しい。飛ぶ蝶々を追うのも、蟻の行列を辿るのも楽しい。軍港に出入りする立派な軍艦を眺めるのも楽しい。夏には蝉がうるさく鳴くし、冬には雪が積もる。そこにはどんなイデオロギーもちょっかいを出す余地がなくて、ただ日々の小さな発見や驚きが、彼女の「右手」によって描き留められていくのです。

しかし、戦争の影響は次第に彼女たちの生活を圧迫します。そんな中で、すずがなけなしの食材を使っていろんな創作料理をこしらえるシーンが楽しい。私はたまたま先日、暮らしの手帖さんが編集した『戦争中の暮しの記録』を買って読んでいたから、彼女がやっている工夫の中身が詳しくわかって面白かったです。この映画の副読本としてぜひおすすめ。戦時中もこんなに普通だったんだ、そんな当たり前のことを改めて実感できるのは、今を生きる私たちにとってうれしいことで、なんだか元気が出てくるのです。

後半は悲しくてやりきれない話が続きます。私はこの悲しさが、映画を見た後もしばらく続いて、本当にずっとやりきれませんでした。この映画の最後の方に「救い」を感じる人もいると思うけれど、私はむしろ、この映画の、普通の女性が、何も選ばずに、ただ生きた、そしてたまたま悲劇に遭遇して、心がずたずたになって、大好きなはずの夫の声も聞こえなくなって、そして時間が経ってようやく少しずつ自身で心を取り戻していく、その必然としか現実としか言いようのない描写の中に、ただただ、人の悲しく美しい人生を感じました。これは戦争映画ではありません。人の生をそのまま扱った映画です。

宮崎駿などの巨匠でさえ、男性作家は女性を「美化」してしまう。その結果、彼らの作品を観た一部の女性たちは、その理想的な女性キャラを見て、女性という入れ物から自身が疎外されてしまったようで反発を覚えざるをえないのですが、この映画のすずさんはそういった女性キャラの副作用的なものがなく、ただの女性だったのが素晴らしかった。そして、すずに命を吹き込んだ、能年玲奈(のん)さん、彼女の作品に対するシンクロ率の高さに改めて驚愕。こんな映画、次はいつ出会えるのだろうか。そう思わせる作品でした。ぜひおすすめです。



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by terakoyanet | 2016-11-21 12:54 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)
2016年 05月 05日

原鶴温泉で

今日は原鶴温泉に行きました。車を運転できない私は、お金をかけたくなかったので、JR吉井駅で降りて、吉井の町をぐるぐるしたあと、観光会館で自転車を借り、この自転車は本当は吉井町内(うきは市)を周るためのものかもしれないけど、と思いながら、隣町の杷木町(朝倉市)にある原鶴温泉まで自転車で快走、わずか15分弱で温泉地に到着しました。

原鶴温泉のなかでも入ったことのなかった2つのお湯に入りました。(光泉と佐藤荘に入りました。)
浴槽に入る前、シャワーを浴びている時点で、お湯がヌルヌルしていて、これはすごいやと思い、浴槽に入ると、とろけるような湯ごこち。原鶴温泉ってこんなにすばらしかったっけと驚きました。(特に、佐藤荘さんはうたせ湯もあり、浴槽は清潔で広く、もちろん源泉掛け流し。本当に素晴らしかったです。)

5月5日の祝日、各地が賑わっているのに、そしてこんなにいいお風呂なのに、浴槽を独占してしまったことに意外なうれしさを感じつつ、ほてった体にさわやかな風をあびながら、おまんじゅうがおいしそうな近くの小さなお店へ。

そのお店でまんじゅうを注文すると、近所の目元がきりっとしたおばあちゃんに「あんたどこから来たとね」と話しかけられ、そこから、私は大刀洗出身で、原鶴温泉の橋を渡って筑後川の河原までよく来ていたこと、そこで菜の花やつくしをとったこと、久しぶりに入った温泉のお湯がすばらしくて驚いたこと、おばあちゃんは近くの小さな民宿ホテルを運営していること、おばあちゃんの風呂もいいけど私が選んだ2件はお湯がおばあちゃんのところと同じで間違いなくいいお湯だということ、おばあちゃんのお孫さんは福岡市の小笹でなんやようわからんしゃれたものを売っていること、そんな雑談をしているうちに先日の地震の話に。

あーんた、ここはなーんも被害受けとらんのに、なんか知らんばってんキャンセルとかがでて大変やったとよ。原鶴は、ゴールデンウィークでも、いつもほとんどの宿が埋まってないんに、今回の地震は、弱り目にたたりよ。(原文ママ)
被災は大変ばってん、ここはもともと被災してるようなもんやけん(ここでおばあちゃんとまんじゅうやのおばちゃん大笑い)、あんた、湯布院とか人が来んとか言うばってん、同情できんとよ。あんたみたいな若い人が来たいって思うものがここにはなーんもなかやろ。私らはいいお湯につかれればよかばってん、若い人はそれじゃものたりんのやろうから。〇〇旅館は3年前、若い人に使ってもらいたいってがんばってきれいに改装したんよ。でも、ここに人が来んから改装してもだれも気づかん。改装したのに人が増えんとよ。かわいそかよ。

被災というのは、日常から突然突き落とされる恐ろしさがあり、それはもう耐えられないものだけれど、一方で、日常から困った状況にある、そんな温泉地でふとこぼれるような話が聞けたことが、今日一番心に残りました。

私が行政だったら、吉井の町並みと原鶴温泉をむすぶサイクルロードや韓国のオルレのようなあそびマップを作るのに、どちらもすごい遺産を持っているんだから、そんなことを頭でグルグルと考えながら、帰路に就きました。


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佐藤荘の素晴らしい浴槽とお湯 隣には打たせ湯も



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by terakoyanet | 2016-05-05 22:05 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)