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現在、全国の書店で話題の1月末にミシマ社から刊行されたばかりの本、『モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く』の作者、尹雄大(ゆん・うんで)さんを来たる2月11日(火祝)にお呼びしてお話を伺います。

☆速報 2月7日に、わずか発売1週間で『モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く』の増刷が決定しました!おめでとうございます!


「人に迷惑だけはかけなさんなよ」そう大人に言われ続けて育った私たち。
そんな私たちは、他人をすぐに「迷惑」だとラベリングするし、自分が人に迷惑をかける行為をそれを「ワガママ」だからだと自制します。
尹さんは、私たちが迷惑やワガママを許せない心理の背後にある「怒り」の感情について、葛藤と克服の物語について迫っていきます。
尹さんは、私たちがほとんど無意識のうちに手中にしている判断基準や価値観について鋭くメスを入れるので、そういう価値基準の中で生きてきた私たちの心の中には抵抗や煩悶、憤りが生じることもあるかもしれません。自分の大切なものにケチをつけられたような感情が生まれる人もいるかもしれません。
でも、そういう日ごろは見ないようにしている自分の弱さがあぶり出されることでようやく腑に落ちることもあると思います。約2年ぶりの尹さんとの時間が良いものになりますように。


〇尹雄大トーク『モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く』刊行記念トーク福岡 出演:尹雄大 進行:鳥羽和久

◇日時 2月11日(火祝)15:00~17:00
◇チケット販売:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/:またはとらきつね店頭にて
◇会費 2,700円(学生1,000円)
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※学生さんのみ電話・メールでの予約が可能です。(学生さんのみ当日の支払い可。一般の方々は事前にチケットをご購入下さい。)
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※質疑応答あり
※トーク終了後に尹雄大さんの書籍販売、サイン会あり※キャンセル不可(払い戻しはできません)

◇プロフィール尹雄大(ゆん・うんで)
1970年神戸市生まれ。物書き。政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した体験をもとに身体論を展開している。主な著書に『やわらかな言葉と体のレッスン』(春秋社)、『体の知性を取り戻す』(講談社現代新書)、『増補新版 FLOW 韓氏意拳の哲学』(晶文社)、『脇道にそれる』(春秋社)など。



・・・・・・・

尹雄大『モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く』(ミシマ社)、たくさん気になるフレーズがあります。少し書き出してみたいと思います。


どこかに正解があるはずだと、手にしたものをすぐさま放り投げるのではなく、摑んだ失敗や間違いを余すことなく体験し、それを徹底して味わってみる。それがこの世界のわけのわからなさを「わけのわからないもの」としてまるごと理解するたったひとつの道なのではないでしょうか。

言葉を覚えたての幼子が飽きもせず「なぜ?」を連発するのはどうしてでしょうか。それはおそらく答えを欲するのではなく、ただ問うているからでしょう。

「正しくあらなければならない」という考えは葛藤の存在を示しています。「そうでなければいけない」と言えば言うほど明らかになるのは、当人が決して現状に満足していない様子です。

正義を問うことが対立を生むのだとしても、それのいったい何が問題なのでしょうか。

自信が持てないのは何かが欠如しているからではなく、「自信がない」という設定を自らに許しているからではないか、ということでした。

「迷惑かもしれない」という配慮は、他者への気遣いでも繊細さでもなく、客観性の名の下に相手をコントロールしたいという欲望の表れだとは言えないでしょうか。

意識は過去に囚われ、これまでのことを後悔しても決して取り戻せない。一歩も前に進まない。焦りは募り、変わりたいという思いは空転する。絶望感でいっぱいになります。ですが、身体はそうなっていません。毎日を新たに生きたがっています。いや増す絶望感をよそに、身体は生に向けて歩みを続けています。

自分が無視してきた体感にフォーカスしていくと、長年かけて育てた感性が実は社会に合わせていたことや、わかって欲しかったけど理解されなかった経験があったのだと気づきます。

いろんな方の話を聞いて思うのは、弱さやダメなところがあるから問題なのではなく、それらを認められない、認めるわけにはいかないというその人の切実さがつまずきになっている、ということです。

わからなさを知ろうとすることがわかるということであり、共感に投資することが自己の理解の道のりではないはずです。


少しだけ抜き出そうとしたら、たくさんに。。。

著者は1章において「複雑な世の中であるからこそ白黒つけられないところに留まる足腰の強さはあったほうがいい」と言います。この本は、そういった足腰の粘り強さを頭で理解する以上に体得していくこと、「覚束ない足取りでも」(「おわりに」より) それを留まることなく続けていくことを呼びかけるために書かれたものだと感じました。


「人に迷惑だけはかけなさんなよ」そう大人に言われ続けて育った私たち。そんな私たちは、他人をすぐに「迷惑」だとラベリングするし、自分が人に迷惑をかける行為をそれを「ワガママ」だからだと自制します。そのような迷惑やワガママを許せない心理の背後にある「怒り」の感情、そして葛藤と克服の物語を通して、私たちが何を切実に手に入れようとしてきたのか、この本は詳らかにしていきます。


かつて作家の吉本ばななさんが尹さんの文章のことを次のように言いました。


この人の描く言葉は

他のだれとも違う彼だけの速度。

だから信用できるしほっとする。


そのころ(5年前)以上に今回のこの本の尹さんの文章は、余分なものが削ぎ落されていると感じます。理屈だけで読もうとすると、うまく読めなんじゃないかという気もします。読む方も試されているなと感じるのです。


尹さんの2018年の著書『脇道にそれる』(春秋社)の中にあった「私は現実ではなく、現実らしさを望んでいたのだった」という一節を思い出します。共感という道筋で他者の価値観に依存し、私を見つけようとしたところで、その私には根が全くなく、決して安心できない。それでも、私たちは「わかるよ」と頷きあって慰め合う。尹さんはそのことを「現実らしさ」と呼び、私たちが「現実らしさ」から抜け出すために、自分自身に立ち返ることを呼びかけます。


さて、いよいよ尹雄大さんのとらきつねでのトークイベントの開催が4日後となりました。

尹さんといっしょに本の内容について(上にあげたフレーズについても)いろいろと話してみたいと思います。参加者の皆さまには、お話しを聞きながら自分が何を感じるか、その内観を味わっていただきたいと思います。

ご意見や感想、質問などを伺う時間やサイン会もありますのでぜひお楽しみください。


尹雄大『モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く』刊行記念トーク福岡開催のお知らせ_d0116009_02405620.jpg


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by terakoyanet | 2020-02-07 02:41 | とらきつね | Trackback | Comments(0)

今年もせまい空間にたくさんのディープなゲストが来てくださり、皆さまとめくるめく時間を過ごすことができました。
ご参加いただいたすべての皆さま、ありがとうございました。

今年もありがとうございました。_d0116009_01362321.jpg

1枚目左上から
宇野常寛さん Planets vol.10 刊行記念 宇野常寛ゼミ 遅いインターネット計画(福岡開催)
若松英輔さん 若松英輔トーク 悲しみが言葉をつむぐとき(福岡開催)
鳥羽和久 & 高校生たち(仁藤匠・永戸基就・竹内鈴) 平成のこどもたち(おはなし:鳥羽和久)
石川直樹さん  石川直樹 20年の旅 ~新刊3冊刊行記念トーク 福岡~
冬にわかれて & 坂口恭平 冬にわかれて 福岡公演 ゲスト 坂口恭平
冬にわかれて(寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎 ) 冬にわかれて 福岡公演 ゲスト 坂口恭平
植本一子さん・武田砂鉄さん 武田砂鉄トーク「令和日本の気配と、違和感の居場所」/ 植本一子トーク「『台風一過』と、新しい家族のかたち」
坂口恭平さん・石川直樹さん 石川直樹 フィールドワーク2019 / 坂口恭平 死ぬまで作り続けたい


今年もありがとうございました。_d0116009_01363107.jpg


2枚目左上から
坂口恭平さん 冬にわかれて 福岡公演 ゲスト 坂口恭平
吉田晃子さん・星山海琳さん 親と子会議『不登校になって伸びた7つの能力』出版記念トーク福岡
遊びに来てくださった 田尻久子さん、鹿子裕文さん
齋藤眞人さん・鳥羽和久 齋藤眞人×鳥羽和久クロストーク「いいんだよ」は魔法の言葉ー君は君のままでいいー刊行記念
坂口恭平さん、末井昭さん 自殺会議・福岡 坂口恭平×末井昭トーク
寺尾紗穂さん、坂口恭平さん 寺尾紗穂+鳥羽和久トーク 「今、誰が悲哀を抱えながらかっこ悪くも勇猛に吶喊しうるのだろう」
島崎智子さん 悲しみは誰のもの 話し手 島崎智子 聞き手 鳥羽和久
中岡祐介さん 本をつくり、届けること ~タラブックスと三輪舎の本づくり



来年もマイペースでのイベント開催になりますが、どうぞ宜しくお願いいたします!

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by terakoyanet | 2019-12-29 01:52 | とらきつね | Trackback | Comments(0)

坂口恭平とオノラリア

今日はいよいよ坂口恭平さん、末井昭さんのトークイベント当日です。

以下は、坂口恭平さんの「いのっちの電話」は、神から「召命」を受けた中世の人たちと同じ働き方なんです、という話。

・・・

一昨日に高校生たちと読んだ村上陽一郎さんの『科学者とは何か』は、医師や法曹家(弁護士)がお金をもらって仕事をする意味について、その根っこを再考することができる面白い文章だった。


西洋中世における医師や法曹家の仕事は、木こりやパン焼き、肉屋などの一般的な職業とは、本質的に異なるものだったそうだ。それは、医師や法曹家の仕事が単に「知的」な職業だからというからではなく、彼らだけが神の「召命」によってその仕事をしていたからである。


何故なら、そうした仕事は、この世で「苦しんでいる人々」に、救いの手、助けの手を差し伸べるものだからである。身体の病いに苦しみ、精神の不安に苦しみ、そして社会的な正義を犯されて苦しんでいる人々に対して、神は、特別に才能を与え、自分の意図を実現する手先になってくれるべき人々を用意し、それらの人々の手を借りて、助けと慰め、正しさと補いとを、与えようとした。したがって、神は、彼らに常に呼びかけているのである。「苦しんでいる人々のために、(私があなたに与えた)その才能を使いませんか?」と。
『科学者とは何か』村上陽一郎


西洋中世における医師や法曹家の仕事は、聖職者たちと同様に、神の「召命」に従って人を救うことであり、神に対する責任を負って働くことを是としていた。一方で、現在の医師や法曹家(弁護士など)は単なる世俗的なエリートの職業となった。だが、苦しんでいる人間を助けようとする点は今も昔も変わらないので、現在の医師や法曹家たちは、神ではなく、患者や依頼人に対して直接に信義的、道義的責任を負うようになる。


現在、私たちは医師や弁護士に規定の金額を支払うことで契約関係を結び、その対価として彼らから治療やサービスを受ける。(だからこそ現在の医師や弁護士には規定の金を払ってくれた契約者に対して責任が生じるのだ。)しかしこの方法は、神の召命に基づいて仕事をしていた時代の医師や法曹家には馴染まない。だから、翻って西洋中世のころの医師らの報酬について見てみると、そこには「オノラリア」という習慣があった。


医師が患家を訪れる。医師は背中に口の開いた袋を背負っている。診療・治療が終わって、「ではお大事に」と患者もしくはその家族に背を向ける。袋もそちらを向く。患家の人は、そこへいくばくかのお金を入れる。次々と患家を周っている間に、医師には、誰が幾ら入れてくれたか判らなくなってしまう。
『科学者とは何か』村上陽一郎


「オノラリア」は医師に対する「報酬」として、神との誓約に基づいてなされる仕事への尊敬と名誉の承認という意味合いを帯びていた。だから、その金額は払う側の医師に任せられるという特殊な性格を持っており、だから例えば「袋に手を入れて、払うふりをして払わない」という今では倫理的に正しくないと思われる行為さえも、それが尊敬と名誉の承認という振る舞いでさえあれば、それは何の問題もないのである。


この話を読んで真っ先に思い出したのが、今日とらきつねにゲストでやってくる坂口恭平さんの「いのっちの電話」である。彼は8年もの間、希死念慮のある人たちからの電話を無償で受け続けている。彼は自分の仕事が、お金という対価に対するサービスを履行するという形になじまないことを知っていて(それどころか彼は「金を使うと不幸になる」とか「基本的に金稼ぎしてるやつは全員怪しむようにねw」とか発言している)自分がどれだけの仕事をしたかということを、実際にいくらもらったかということと関係なく自分の帳簿につけている。これはまさに西洋中世の「オノラリア」の精神と同じであり、きっと当時の医師たちは、袋に思ったほどお金が入っていなかったとしても、それを不服と思うことはなかったのではないか。


坂口さんへの長年の謎として「死にたい人たちと話していて自分が擦り減ってしまわないのか、そしてそれは割に合う仕事なのか」というものがあったのだが、この問いは「オノラリア」によって説明が可能である。

彼が希死念慮のある何千人もの人たちと関わって擦り減らないのは、彼が自分は特別な仕事をしているという自覚を持っていて、だから戦略的に相談者と直接の契約を結ばないという形を選び取っているからだ。(直感的な感覚をそのまま戦略に変えることができるのが彼の確かな賢さだと思う。)じゃあ、彼が誰と契約を結んでいるかと言えば、それは「神」ではないだろうが「今はフリードリヒ・ニーチェにむかっているんだ」(『まとまらない人』)と言っているくらいだから、神とは全く異なる、それでいて神の似姿をした何かなのだろう。

「割に合う仕事なのか」という問いについては、彼にとってお金は報酬にならず、自らの召命を果たしているという自覚がある限りは、周囲の僅かな「仕事への尊敬と名誉の承認」があればそれが報酬なのだから、割に合わないということはない、という回答になると思う。(だから、私たちは「オノラリア」としての賛辞と承認を彼にもっともっと与えたほうがいいと思う。報酬が足りないとき、坂口さんは自分で自分をほめているので、それで事足りている可能性もあるが。)


ということで、「坂口恭平とオノラリア」のお話は以上です。今日のトークが楽しみです。



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by terakoyanet | 2019-12-11 15:12 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)

【11月22日情報解禁】
親と子会議~『不登校になって伸びた7つの能力』出版記念トーク福岡

6刷のベストセラーになった『小さな天才の育て方・育ち方』に続く新刊『小・中・高に通わずに大学へ行った私が伝えたいー不登校になって伸びた7つの能力』を9月に刊行したばかりの吉田晃子(よっぴー)と星山海琳(まりん)の親子。よっぴーはいわゆる子育ての「常識」にこだわらなかったし、まりんはほめられるわけでもなく叱られるわけでもなくただそのままに育って大きくなった。

親と子の話を通して皆さんに感じてもらいたいのは、けっして子育ての正解ではなくて、子育てってこんなに面白くて豊かなんだなぁという子育ての本来性であり、子育てにかかわらず人と人とが関係を結ぶことのかけがえのなさです。子どもはもともと偉大な存在なのに、そういう子どもの豊かさに出会うことなく子どもの可能性をはじめからつぶしてしまう大人にならないように、親と子どもの双方からお話しを聞いてみたいと思います。聞き手はとらきつねの鳥羽和久(著書に『親子の手帖』など)。

19:00~19:40 親の場合 吉田晃子×鳥羽和久
19:40~20:20 子の場合 星山海琳×鳥羽和久
20:30~21:00 親と子(オヤトコ)会議 吉田晃子×星山海琳×鳥羽和久

◇日時 12月4日(水)19:00~21:00
※トーク後に質疑応答・サイン会あり

◇ご予約
:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/
:または店頭にて

◇会費 2,000円
※学生割 500円(学生さんの予約はとらきつねまでメールや電話でご連絡ください)
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※キャンセル不可

◇プロフィール
吉田晃子(よしだ・あきこ)
1962年大阪生まれ。一男一女の母。口唇口蓋裂の先天性形態異常で生まれ、成人するまでに何度も手術、入退院をくり返す。
大学卒業後、入社した会社を3日で辞め、放浪の旅に出る。帰阪後は自営業を営み、その後フラワーアレンジメント、室内装飾のコーディネーター、飲食店の経営などをする。第一子は先天性心臓疾患で、再三にわたり、生死の境をさまよう。自らの障害、入院していた時間、放浪、 息子の障害、子どもの学校に行かない選択とその後の日々は、根本に立ちかえって物事のあり方を見直すことを教え「デモクラティックス クール・フリープレイスなわて」の立ち上げおよびスタッフ勤務を経て、コミュニティ「デモクラティックフィールドのらねこ」に携わる。
現在は「AI‐am」共同経営の星山(娘)と、ブログ「オヤトコ発信所」を中心に、お母さんの集うオンラインサロンや、講演、勉強会、講座 などの活動を行う。2016年、星山とともに上梓した『小さな天才の育て方・育ち方- 小・中・高に通わず大学へ行った話』(セルバ出版)は第 6刷(2019年8月現在)に。

星山 海琳(ほしやま・まりん)
1996年大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部文芸学科卒業。小学校へ入学してすぐ、学校教育への数々の疑問がわき、学校への魅力を感じなくなる。自分に合ったより魅力的な教育を探し「デモクラティックスクール・フリープレイスなわて」で6歳から11歳を過ごす。
デモ クラティックスクール(サドベリースクール)で過ごした日々から発想を受け、11歳のとき、コミュニティ「デモクラティックフィールドのら ねこ」を創立。その後、教育・子育てに関心や悩みのある方々の相談やサポートなどのほか、詩や絵画、写真など自身の創作活動にも励む 。
17歳の夏、とつぜん大学へ行くことを志す。高等学校卒業程度認定試験を受けることを決め、約2か月半の期間で、全8教科の勉強を小学校 1年生のレベルからはじめる。九九や四則計算など小学校算数を約20時間、数学を約12時間で修了。ほか7教科とともに、高認試験に合格。
志望校である大阪芸術大学を受験、現役入学した。

鳥羽 和久(とば・かずひさ)
1976年、福岡県生まれ。
株式会社寺子屋ネット福岡代表取締役。
大学院在学中の2002年に中学生40名を集めて学習塾を開業。2010年に航空高校唐人町(単位制高校)開校。現在、教室で150名超の小中高の生徒を指導する傍ら、本屋と雑貨の店「とらきつね」の運営や及び文化イベントの企画を行う。
近年は、子育てや旅に関するエッセイ執筆や、全国の学校等での講演も多数。著書に『親子の手帖』(鳥影社)など。来年の春に新刊『子どもの声を聴く(仮題)』(ナナロク社)を刊行予定。



【満席】
自殺会議・福岡 坂口恭平×末井昭トーク

「死にたい人は死ぬ前に一度でいいから、僕に連絡して」と呼びかけて希死念慮に苦しむ人々との対話「いのっちの電話」を自らの携帯電話(090-8106-4666)で続ける坂口恭平さんと、『自殺』(講談社エッセイ賞受賞)・『自殺会議』においてキレイゴトのない言葉で正面から哀しくておもしろい「自殺」を描いた末井昭さんによる自殺会議。これは、必聴、必見です。笑って泣いて、悲しみも喜びもごちゃ混ぜにした人間賛歌をお持ち帰りください。この日は大人気おむすびひばりさんが出店します!

◇日時 12月11日(水)19:30~21:30
※トーク後に坂口恭平さん、末井昭さんのサイン会あり!

◇ご予約
:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/
:または店頭にて

◇会費 3,800円
※学生割 1,000円(学生さんの予約はとらきつねまでメールや電話でご連絡ください)
※困っている人割 1,000円(先着5名/お金を払う余裕はないけど参加したい方は、参加したい理由を書いて、以下のお問い合わせフォームからお送りください。おふたりとも切羽詰まった人を助けたいと思っています。)
https://my.formman.com/form/pc/bzDGovvrrWXWHS7P/
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※キャンセル不可

◇坂口恭平(サカグチ・キョウヘイ)プロフィール
1978年、熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年に路上生活者の住居を撮影した写真集『0円ハウス』(小社)を刊行。以降、ルポルタージュ、小説、思想書、画集、料理書など多岐にわたるジャンルの書籍、そして音楽などを発表している。2011年5月10日には、福島第一原子力発電所事故後の政府の対応に疑問を抱き、自ら新政府初代内閣総理大臣を名乗り、新政府を樹立した。躁鬱病であることを公言し、希死念慮に苦しむ人々との対話「いのっちの電話」を自らの携帯電話(090-8106-4666)で続けている。12年、路上生活者の考察に関して第2回吉阪隆正賞受賞。14年、『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞受賞、『徘徊タクシー』が第27回三島由紀夫賞候補となる。16年に、『家族の哲学』が第57回熊日文学賞を受賞した。現在は熊本を拠点に活動。2023年に熊本市現代美術館にて個展を開催予定。

◇末井昭(スエイ・アキラ)プロフィール
1948年、岡山県生まれ。デザイン会社やキャバレーの看板描きなどを経て編集者となり、セルフ出版(現・白夜書房)の設立に参加。『NEW SELF』『ウィークエンドスーパー』『写真時代』『パチンコ必勝ガイド』など話題の雑誌を次々と創刊する。白夜書房取締役編集局長を経て、2012年に白夜書房を退社。現在はフリーで執筆活動などを行なう。著書に、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(ちくま文庫)、『絶対毎日スエイ日記』(アートン)、『自殺』(朝日出版社)、『結婚』(平凡社)、『末井昭のダイナマイト人生相談』(亜紀書房)、『生きる』(太田出版)、『自殺会議』(朝日出版社)などがある。2014年、『自殺』で第30回講談社エッセイ賞を受賞。2018年、『素敵なダイナマイトスキャンダル』が映画化(監督・冨永昌敬)。


【本日情報解禁】
「いいんだよ」は魔法の言葉ー君は君のままでいいー刊行記念
齋藤眞人(立花高等学校校長)× 鳥羽和久(寺子屋ネット福岡)クロストーク


一人の子どもを粗末にする時 教育はその光を失う
(立花高等学校創始者 安部清美)

2019年12月18日に梓書院から刊行される『「いいんだよ」は魔法の言葉ー君は君のままでいいー』。本の舞台は福岡市東区和白丘にある立花高等学校。
立花高校では不登校生や発達障がいのある子どもたちの積極的な受け入れを行っており、現在、立花高校に通う生徒の約8割は不登校経験者です。

「環境の変化についていけない」
「周りの生徒たちや先生となじめない」
「自分のポジションが見つからなかった」
「いじめや無視」
「親子関係をめぐる問題」
さまざまなきっかけで、不登校となった子供たちが、
立花高校では、いきいきと活動し、かけがえのない個性と才能を遺憾なく発揮しています。

彼らの心を開いた、立花高校の教育の真髄とはいったいなんだったのでしょうか。「できないことを嘆くより、できることを認めよう」立花高校の目指す「寛容の精神が醸成される社会」とは。

いま全国から注目を浴びる立花高校の教育の在り方、子どもとの関わり方について、全国から講演依頼が絶えない齋藤眞人校長から話を伺います。

お話しの相手は、寺子屋ネット福岡の鳥羽和久館長。
鳥羽さんは、学習塾での指導を通して小学生から高校生まで多くの子どもたちと関わりながら、単位制高校のシステムを活用するなどして大人が設定した一本道のレールになじめない子どもたちの寄り道を提供する活動を行ってきました。
2018年に出された『親子の手帖』(鳥影社)では、学力と差別、不登校、いじめ、発達障害など、子どもを取り巻く問題に対して大人がどのようなアプローチができるかを丹念に問い、大きな反響を呼びました。

画一的な価値を求める社会からこぼれる子どもたちに対して、君のままでいいんだよとエールを送り続けるふたりによる子どもと教育を考えるトークです。梓書院及びとらきつねによる共催イベント。


◇日時 12月21日(土)17:00~19:00


◇ご予約
:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/
:または店頭にて


◇会費 2,000円
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※『「いいんだよ」は魔法の言葉』『親子の手帖』の書籍販売あり
※キャンセル不可(払い戻しはできません)


◇プロフィール

齋藤眞人(さいとう・まさと)
1967年宮崎県生まれ。宮崎県の公立中学校の音楽教員を経て、2004年に教頭として立花高校へ赴任。2006年から校長を務める。
日々学校で多くの生徒たちと触れ合いながら、教育関係者から一般企業まで数多くの講演依頼を受け、年間100本以上の講演活動も行っている。生徒からは「校長ちゃん」の愛称で親しまれる。

立花高等学校 (たちばな・こうとうがっこう)
福岡市東区和白丘にある私立高校。一時は全校生徒が3名という絶体絶命の危機に瀕しながら、現在では定員数を超える500名以上の生徒を抱える。全国から不登校生や発達障がいのある子どもたちを積極的に受け入れており、立花高校に通う生徒の約8割は不登校経験者。全日制と単位制を組み合わせ、出席を一歩ずつ自分のペースで積み上げられる「パイルアップシステム」(パイルアップ:積み上げる)や「できないことを嘆くより、できていることを認め合う」教育方針が近年注目を集めている。

鳥羽和久(とば・かずひさ)
1976年福岡県生まれ。株式会社寺子屋ネット福岡代表取締役。
大学院在学中の2002年に中学生40名を集めて学習塾を開業。2010年に航空高校唐人町(単位制高校)開校。現在、教室で150名超の小中高の生徒を指導する傍ら、本屋と雑貨の店「とらきつね」の運営や及び文化イベントの企画を行う。
子育てや旅に関するエッセイ執筆や、全国の学校等での講演も多数。著書に『親子の手帖』(鳥影社)など。来年の春に新刊『子どもの声を聴く(仮題)』(ナナロク社)を刊行予定。

寺子屋ネット福岡(てらこやねっとふくおか)
福岡市中央区唐人町にある学習塾・単位制高校・書店・雑貨店・イベントスペースの総称。いつもキャンセル待ちが続く教室には、市内の約40の小中高から150人以上の生徒が通っている。無時間割や国語塾などの特色ある授業により、全県1位の模試成績をとる生徒を毎年のように輩出する進学塾である一方で、中途退学者のセーフティネットとしての単位制高校や、地域の人たちや子どもたちの寄り道の場所としてのとらきつねを運営する。



12月に行われるとらきつねのイベント情報_d0116009_14503133.jpg
とらきつねでは、イベント開催を記念したフェア開催中です。


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by terakoyanet | 2019-11-25 14:57 | お知らせ | Trackback | Comments(0)

データ奴隷の時代に

AIが人類を超えるとされるシンギュラリティが、西暦2045年問題としてまことしやかに語られています。
でも、私は「超える」という言葉自体に恣意的で限定的な意味合いを感じています。シンギュラリティが起きるということを文字通りには信じていません。

しかし一方で、データを蓄積したAIが世界のありようを変えること自体は、間違いなく近未来に次々に起こってくるでしょう。
例えば、現在実用化が進められている乗用車の自動運転化が実現すると、ほとんどの道路渋滞が解消されることが予見されています。まず、交通事故が著しく減少します。そして、渋滞の原因の多くが、上り坂やトンネルで必要以上に減速するといった人間の認知行動の誤りに起因しているため、データを蓄積した乗用車の自動運転によって適切なスピード管理がなされれば、渋滞は極端に少なくなると考えられています。

このように、データを用いれば、人々の行動や意志決定、その誤りをある程度正確に予想できるため、それに従って人々の行動を適正化することが可能です。そして、このことを応用させれば、健康や貧困、環境などの人類全体の問題さえも解決できるようになるかもしれないと考えるのは、いまや決して極論ではありません。
こうして、データに基づいて人々の行動を変え、人類を導いていくことができることを前提にした具体的な動きが次々と出てくるのが、これからのAI社会の展望です。

しかしこの動きが進んでくると、「それらのデータ利用は果たして人類にとって幸せなことなのだろうか?」といった、倫理に関わる議論と検証が活発に行われるようになるでしょう。人が選択するより、データに基づく選択のほうが正しいという趨勢が強まれば、人は決断し、選択する必要がなくなっていきます。

この事態は、人々に「我々の生きる目的を奪うのか?」という抵抗をもたらすでしょう。だって、決断しなくてよい、選択しなくてよい、というのは、目的を達成するというミッションを自らの生きがいにしてきた人たちからすれば、耐えがたいことなのではないでしょうか。

イェール大の経済学者、成田悠輔さんは、フォーブス・ジャパンのインタビュー https://forbesjapan.com/articles/detail/26062 で、「目的を機械的に生み出すことができれば、決断し選択するための労力や時間を節約し、過去の選択に後悔して苦しむこともない。自分探しと自己責任の終わりなきアリ地獄を脱却できる。」と話します。これまでの世界は、人々が設定した「目的」を達成するためにデータ活用をしてきた。しかしこれからは、「目的」自体をデータ(AI)が発見してゆく未来が訪れると成田さんは語ります。彼はこの状態を「幸福なデータ奴隷」状態と呼び、目的さえも機械がデータから判断し選択すれば、人々は日常の小さな判断から解放され、真の幸福が訪れると言います。
「目的を機械的に生み出すことができれば、決断し選択するための労力や時間を節約し、過去の選択に後悔して苦しむこともない。自分探しと自己責任の終わりなきアリ地獄を脱却できる」と彼が言う「幸福な」未来は、何か不気味なものにも感じられます。でも私は、普段からゲーム的世界ですでに自足している子どもたちを見ながら、この未来は、あながち間違っていないのではないか、と考えるようになってきました。ビッグデータに支えられるような未来はおぞましい、人としての歴史が終わる、そう考える人は、もしかしたら単に自分自身が育った世界観以外を認めることができないだけなのかもしれません。

いまやデータが世の中を席捲しています。私たち自身はすでにデータの奴隷になっています。ネットでAmazonを開けば「あなたへのおすすめ」商品が表示され、コンビニに行けば「顧客の購買行動」として私的な買い物の情報がビッグデータに組み込まれる。インスタグラム(instagram)では#(ハッシュタグ)をつけることで、自ら進んでデータの素材になり、データを通して欲望される主体になることを願う。こうして私たちは、いまや自らがデータの素材であり、そしてデータの素材と化した他者を欲望して生きています。でも、大人たちは何を守ろうとしているのかそのことに自覚的であろうとしません。

もし私たち大人が、自分が育ってきた価値観に縛られて盲目になり、結果として無自覚な「不幸なデータ奴隷状態」に陥っているとすれば、初めからデータという便利な乗り物を乗りこなしてしまう新しい子どもたちは、「データ奴隷」というよりは「データの申し子」であり、データ世界の中でマインクラフトなど一からの創造を手掛けてゆく彼らは、眩しい存在にさえ感じられるのです。

私がいまこんな話をする気になったのは、世の中の現実がゲーム化、AI化してゆく流れをことさらに悲観的に語る言論が多く存在するからです。しかし、これらの流れは、倫理性を高次のものにしていくという人間の間断のない営みには決して逆行しないと私は考えています。時代が悪くなった、人はすぐにそう言いますが、良くなったところもたくさんあります。私たちの目の前には相も変わらず無限の可能性が広がっています。これは簡単には動かしようのないことです。

家族がよかっただの悪かっただの、いったい何を言っているのか。家族は永遠に変わらないし、変えればいいというものでもない。かといって、それが運命だなんておおげさに考える必要もない。ただ、その目の前の現象を確認することからしか私にはできないのだ。 坂口恭平『家族の哲学』毎日新聞出版

この文章での「家族」は、「時代」と置き換えても「人間」と置き換えてもよいでしょう。シンギュラリティによって世界が変わるわけではなく、人間が変わるわけでもないのに、私たちはいったい何を言っているのでしょうか。私には彼がそう言っているようにも聞こえます。

では、これからの私たちがもし次に向かうべき主体があるとするならば、それはどのような姿をしているのでしょうか。これについても坂口恭平さんは面白いことを書いています。

私は機械のように生きたい。機械のように誰とも共感などせず、喜びを分かちあったりせず、ただ観察し、検査を続けたい。可能性だけを見たい。可能性以外には目を向けたくない。そして、この行動自体に理路整然としたものを求められてもこちらは返す言葉がない。論理的に動こうとすると、社会が重く見える。勝手にやらせてもらうのが一番だ。
私の目をただ利用してくれ。
それ以外に私は何も求めていない。
はっきりと言おう。
この世界は可能性で満ちている。そこに意味など求めないかぎりは。
私は私の仕事だけを徹底して実践していく。それだけが喜びなのだ。それができればもう死んでもいいのである。統合された人間というようなものを想像することこそが罪なのだ。そんなものが存在していると理解したところで、誰が幸福になりえるのか。
幸福とは、あなたが動いているということだ。機能を持っていることだ。
機能さえあればいいではないか。統合した人間らしさというものを私は認めない。
人間はそういうものではない。植物を見ればそれがすぐにわかる。
人間を、何かの役に立たせる、などという妄想が作り出した社会という名の監獄からの目で見たくないのだ。それでいい、とすべてをよしとするような母性の視線で私は見守っていたい。  坂口恭平『家族の哲学』毎日新聞出版

宮沢賢治はかつて「私の幻燈はこれでおしまいであります。」(『やまなし』)と、自身をひとつの機械になぞらえました。その機械は、世界を写し出す機能を持っています。そしてその機械は、ひとつひとつの現象に、意味や答えを見出すことを退けます。それを象徴する言葉が「クラムボン」です。それは意味や答えによって統合を目指すのではなく、統合によって何かの役に立たせることを企図するのではなく、ただそうなっている、そのことをただ観察するための機械です。
機能しかない機械は、はじめからゲームに参入しません。ゲームのような仕掛けがなくても、それだけで植物のように自足しているのです。

はたしてこのような主体が実際に存在しているのでしょうか。私たちは仕掛けがなくては、企図がなくては、到底生きてはいけないのに。

でも私たちは、誰もが現象を写す「幻燈」を持っています。たとえいま「社会という名の監獄」に囚われていようと、私たちには身体があり、歌があります。そのことを忘れてしまわない限り、それらが幻燈となり、世界を写します。
耳を澄まして風の声を聞くだけで、世界はいつも偶然性にさらされていていることを知ります。世界は私が知っているものだけでできているのではない。そのことを実感し、謙虚になることができます。

・・・

坂口恭平さん、いよいよ明後日、写真家の石川直樹さんとともに、とらきつねにやってきます。(チケットはSOLD OUT)

新刊『まとまらない人』は副題「坂口恭平が語る坂口恭平」が示す通り、坂口恭平による坂口恭平の解説書であり、取り扱い説明書です。彼に耐性のない人はもしかしたら、何、自分語りしてるの?と思うかもしれません。でも、それは、そう思う人が自分自身に臭みを感じて言っているだけで、坂口恭平というフィクションを理解していないだけです。

『まとまらない人』の中の坂口恭平は、現象を写し出す「幻燈」として、ときに異界の入り口を窺う「子ども」になり、ときにあらゆる人を引き寄せてしまう「酋長」になります。彼の声が湧き水のように読む人たちを潤したとき、彼はいつの間にか私たちにとっての「環境」になります。これが彼の企図するところなんじゃないかと私は考えています。






by terakoyanet | 2019-11-18 06:08 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)

【満席になりました 11/11】
自殺会議・福岡 坂口恭平×末井昭トーク が来たる12月11日(水)に開催されます。
すでにチケットはSOLD OUT直前ですが、必要な方に届きますように。

「死にたい人は死ぬ前に一度でいいから、僕に連絡して」と呼びかけて希死念慮に苦しむ人々との対話「いのっちの電話」を自らの携帯電話(090-8106-4666)で続ける坂口恭平さんと、『自殺』(講談社エッセイ賞受賞)・『自殺会議』においてキレイゴトのない言葉で正面から哀しくておもしろい「自殺」を描いた末井昭さんによる自殺会議。これは、必聴、必見です。
笑って泣いて、悲しみも喜びもごちゃ混ぜにした人間賛歌をお持ち帰りください。


◇日時 12月11日(水)19:30~21:30 とらきつね(福岡市中央区唐人町1-1-1成城ビル1F)にて
※トーク後に坂口恭平さん、末井昭さんのサイン会あり!

◇ご予約
:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/
:または店頭にて


◇会費 3,800円
※学生割 1,000円(学生さんの予約はとらきつねまでメールや電話でご連絡ください)
※困っている人割 1,000円(先着5名/お金を払う余裕はないけど参加したい方は、参加したい理由を書いて、以下のお問い合わせフォームからお送りください。おふたりとも切羽詰まった人を助けたいと思っています。)
https://my.formman.com/form/pc/bzDGovvrrWXWHS7P/
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※キャンセル不可

◇坂口恭平(サカグチ・キョウヘイ)プロフィール
1978年、熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年に路上生活者の住居を撮影した写真集『0円ハウス』(小社)を刊行。以降、ルポルタージュ、小説、思想書、画集、料理書など多岐にわたるジャンルの書籍、そして音楽などを発表している。2011年5月10日には、福島第一原子力発電所事故後の政府の対応に疑問を抱き、自ら新政府初代内閣総理大臣を名乗り、新政府を樹立した。躁鬱病であることを公言し、希死念慮に苦しむ人々との対話「いのっちの電話」を自らの携帯電話(090-8106-4666)で続けている。12年、路上生活者の考察に関して第2回吉阪隆正賞受賞。14年、『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞受賞、『徘徊タクシー』が第27回三島由紀夫賞候補となる。16年に、『家族の哲学』が第57回熊日文学賞を受賞した。現在は熊本を拠点に活動。2023年に熊本市現代美術館にて個展を開催予定。
『自殺会議・福岡』坂口恭平×末井昭トーク開催!_d0116009_14192390.jpg

◇末井昭(スエイ・アキラ)プロフィール
1948年、岡山県生まれ。デザイン会社やキャバレーの看板描きなどを経て編集者となり、セルフ出版(現・白夜書房)の設立に参加。『NEW SELF』『ウィークエンドスーパー』『写真時代』『パチンコ必勝ガイド』など話題の雑誌を次々と創刊する。白夜書房取締役編集局長を経て、2012年に白夜書房を退社。現在はフリーで執筆活動などを行なう。著書に、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(ちくま文庫)、『絶対毎日スエイ日記』(アートン)、『自殺』(朝日出版社)、『結婚』(平凡社)、『末井昭のダイナマイト人生相談』(亜紀書房)、『生きる』(太田出版)、『自殺会議』(朝日出版社)などがある。2014年、『自殺』で第30回講談社エッセイ賞を受賞。2018年、『素敵なダイナマイトスキャンダル』が映画化(監督・冨永昌敬)。
『自殺会議・福岡』坂口恭平×末井昭トーク開催!_d0116009_08014631.jpg

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by terakoyanet | 2019-11-10 08:00 | とらきつね | Trackback | Comments(0)

【満席になりました 11/6】
石川直樹+坂口恭平トーク 福岡 開催!_d0116009_14190698.jpg
写真家の石川直樹さん、作家の坂口恭平さんが、福岡初共演!
おふたりのダブルトークイベントを11月20日(水)に福岡・とらきつねにて開催します。
石川さん、坂口さん、どちらも4度目のとらきつねですが、揃い踏みは初!です。

石川直樹さん、坂口恭平さん、どちらも現在、中学・高校の教科書に登場する子どもたちにもおなじみのふたり。ぜひ皆さんにご参加いただきたいイベントです。

〇石川直樹 フィールドワーク2019(19:00~20:20) 
K2, Gasherbrum II,そしてYukon River。石川直樹さんが2019年に遠征した各所での写真と話をじっくり伺う機会になります。11月10日発売の写真集『Gasherbrum II』(SLANT)刊行直後のトークになります。(11月22日には小学館から写真集『まれびと』が発売になります。)

〇坂口恭平 死ぬまで作り続けたい (20:40~22:00)
躁鬱病であることを公表し、希死念慮に苦しむ人々との対話「いのっちの電話」を自らの携帯電話(090-8106-4666)で続けている坂口恭平さんによる、死なずに生き延びるためのトーク。11月18日『まとまらない人』(リトルモア)刊行直後のトークになります。

石川直樹さん・坂口恭平さんは大の仲良しなので、ふたりの絡みもご期待ください! 
イベント終了後(22:00~)石川直樹・坂口恭平サイン会開催!
※11月5日現在、すでに3分の2の座席が埋まっているため、当日券が出る可能性はほぼありません。



◇ご予約
:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/
:または店頭にて


◇会費
:石川直樹・坂口恭平の片方に参加の方3,000円
:両方に参加の方4,000円
※学生は1,000円(2つで2,000円・予約はとらきつねまでメールや電話でご連絡ください)
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※キャンセル不可

◇会場
とらきつね
福岡市中央区唐人町1-1-1成城ビル1F
092-731-0121

◇石川直樹 プロフィール
1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。最新刊に、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズの7冊目となる『GasherbrumⅡ』(SLANT) 、水戸芸術館や初台オペラシティをはじめ全国の美術館を巡回した個展と同名の写真集『この星の光の地図を写す』(リトルモア) など。10月4日~12月1日、鹿児島県・霧島アートの森にて個展『島は、山。island≒mountain』を開催。
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◇坂口恭平プロフィール
1978年、熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年に路上生活者の住居を撮影した写真集『0円ハウス』(小社)を刊行。以降、ルポルタージュ、小説、思想書、画集、料理書など多岐にわたるジャンルの書籍、そして音楽などを発表している。2011年5月10日には、福島第一原子力発電所事故後の政府の対応に疑問を抱き、自ら新政府初代内閣総理大臣を名乗り、新政府を樹立した。躁鬱病であることを公言し、希死念慮に苦しむ人々との対話「いのっちの電話」を自らの携帯電話(090-8106-4666)で続けている。12年、路上生活者の考察に関して第2回吉阪隆正賞受賞。14年、『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞受賞、『徘徊タクシー』が第27回三島由紀夫賞候補となる。16年に、『家族の哲学』が第57回熊日文学賞を受賞した。現在は熊本を拠点に活動。2023年に熊本市現代美術館にて個展を開催予定。
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背景画=坂口恭平
坂口恭平近影=石川直樹


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by terakoyanet | 2019-11-05 14:27 | とらきつね | Trackback | Comments(0)

国語の伸ばし方

植本一子さんは去年の夏、私たちが日本財団の取材を受けたときに撮影に来たのが最初で、その数ヶ月後にトークイベントに来てもらったのでとらきつねに来てくださるのは今回で3度目、そして武田砂鉄さんは今回初めてとらきつねにお越しになります。


その武田砂鉄さんが去年の12月にタモリ倶楽部に出演したときの動画があります。
この日のタモリ倶楽部は「受験業界震撼の問題企画!作者の気持ちを作者は解けるか!?」という企画で花園大学の大学入試問題国語の文章「鼻毛に背負わせすぎ」の著者である武田砂鉄さんが「作者の気持ちを作者は解けるか」どうかを試すためにタモリたちとともに問題を解き、えー!?作者なのに作者の気持ちの問題が解けないのか!?といういわばお決まりのオチに落ち着くという、ある意味予定調和の笑いの内容と言えると思います。

でも、タモリ倶楽部、タモリの笑いのいいところはそこに強引さがないところです。一方的な解釈を押し付けるようなことはしません。
実のところ、国語の入試問題で根拠なく「作者の気持ち」なんてものを答えさせる問題は絶対に出ません。この番組に登場する入試問題の作成者である今井隆介准教授(入試問題の素材に「鼻毛に背負わせすぎ」を選んだ時点で今井教授はきっと間違いない人!)も言っているとおり、解の根拠を説明できない問題は入試問題として不適合であり、出題者は論理的根拠があるという点において出題者としての責任を負って問題を作成しています。よって国語の問題を解くことは、作者というよりは、問題作成者との知恵比べ、がまん比べになります。
だからその意味で、国語を解くということがわかっていない人が「作者の気持ちを答えよなんてナンセンスだよ、そんなのわかるわけないじゃん」と言うのと同じような結論をこの番組が導き出していないことに安心しました。だってそれは端的に事実誤認だからです。この番組ではむしろ出題者の今井さんへの敬意が感じられたし、その一方で武田砂鉄さんのチャーミングさと「鼻毛に背負わせすぎ」という短編の面白みが存分に伝わってきました。こうやって、タモリの笑いというのは基本的にどの立場の人も傷つけない敬意を持ったものなので、安心して見ていられます。[その点、昨夜テレビであっていた「月曜から夜ふかし」は、取り上げられたケーキ屋さんが、そのセンスのなさを強調されるだけで終わっていて(マツコが私は好き、と言っていたがあんなものではフォローとしては弱すぎる)なんて一方的な編集なんだと憤ってしまいました。]

国語は伸ばしにくいと言われる科目ですが、きちんとポイントを押さえて学習すれば必ず伸びる科目です。
私たちの教室には、芥川龍之介や鷲田清一といった難しい内容の文章も果敢に読み解いていく小学生対象の国語の授業があり、中学生対象の国語力を伸ばすことだけに特化した授業「国語塾」があり(この授業はオプション料金が発生するのにかかわらず、当校の中学生の6割以上が履修しています)、センター試験や最新の入試問題を厳選して読み解く高校生対象の「現代国語」の授業があり(昨日の授業では2015年のセンターに出た大庭みな子の短編「紅茶」と、2018年の早稲田大社会科学部の問題に出た東浩紀の「ゲンロン0 観光客の哲学」を扱いました。ちなみに東浩紀さんの「ゲンロン0 観光客の哲学」の刊行記念読書会が2017年にとらきつねで開催されました 。こうしてとらきつねのイベントと大学入試、日ごろの授業はつながっています)、小・中・高のそれぞれの授業で子どもたち(計108名が履修中)が明確に国語の力を伸ばしており、その成果は歴然と日ごろの模試でも表れています。

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↑は先ごろ発表された夏の模試の平均偏差値。国語塾履修生(1学期から国語塾を履修している生徒)の平均、その他の生徒の平均です。
国語塾生は本人もご家族も勉強に熱心であることが多く、中2数学以外の全ての科目で国語塾履修生のほうが平均が高くなっていますが、やはり国語の平均偏差値は国語塾履修生が圧倒的に高いことがわかるデータになっています。中3に関しては英語(やここに載っていませんが社会)でも国語塾履修生が差をつけており、文系科目全体への好影響も伺える結果となっています。

当校で生徒たちに国語を解く上で何を意識づけさせているかをまとめると、以下のようになります。(以下がすべてではありません。一例です。)

1 まず大前提として、文章を読むことに深く集中すること。
2 決してフィーリング(感覚)で解かない。評論はもちろん、小説さえも論理的に解くこと。
3 問題を解くことは問題作成者との知恵比べと心得ること。
4 論説文・評論文など読みづらいものは、本文読解と設問を同時並行で読み進めて解いていく。
5 小説・随筆(比較的すいすい読めるもの)は、先に本文をすべて読んだ後に設問を解いてもよい。
6 設問で問われている内容は何か確認し、間違えないように印をつける。(「理由を答える」のか「考えて説明」するのか、「一文を探す」のか「部分を抜き出す」のかなど。
7 設問傍線部中(または傍線部直前)の指示語に〇をつけ、その指示語が何を示しているかを明らかにする。
8 本文中の接続詞(しかし・つまり・また、など)は文脈の転換点。注意を払う。
9 むやみやたらに本文に印をつけない。解くことを単なる「作業」に貶めないこと。印は必要な箇所に最低限つける。印をつける箇所を厳選すること自体が国語力アップの鍵。
10 選択問題というのは要はボケとツッコミである。出題者のボケに的確なツッコミを入れることができるかが勝負。各選択肢の、明らかに間違っている(ボケてる)箇所に線を引き×をつけ(これがツッコミ)、怪しいところには△をつける(ただし中途半端なツッコミはできるだけ避けたい)。※ボケにはパターンがあるので、そのパターンを授業中にしっかり確認をしています。
11 解くのに慣れてきたら、時間をはかって解く。


他にもありますが上のようなことを繰り返し繰り返しやっていくと国語力は着実に伸びていきます。内容が難しいときは、その内容について子どもたちが「そういう話だったのか!」と腑に落ちるような話をすることも大切です。集中して問題を解かせる→論理的な根拠をもとに問題を解説→最終的に子どもたちの心にすとんと落とし込む、これがうまくいったときは、思わず「今日はうまくいったー!」と叫びたくなることもあります。国語の授業は生モノで扱いにくいところもありますが、子どもたちのおかげでとても楽しく進行できていると感じます。そして、国語の授業で読んだこと感じたことが意識・無意識に子どもたちの将来の財産になることを、祈るような気持ちで密かに願っています。

最初にお話しした武田砂鉄さんのイベント、こちらを読んだ方はぜひご参加いただければと思います。ずばり面白くなると思います。(残席少ないので売り切れてしまった場合はご了承ください。)



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by terakoyanet | 2019-10-08 04:51 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)

この3ヶ月に書いたブックレビューのまとめ記事です。


いまから曖昧なことを書くことになりそうなので初めに言っておけば、これを読んでくださっている多数の人たちにとって、この本はかなり良い読み物です。熱くないのに心地よい温度があります。心の中の違和感という名のプチプチをひとつずつ潰してくれる感じがあります。つまりはオススメです。


武田砂鉄、又吉直樹。思索するふたりの応答が交互に収録されたこの本について、何か気の利いたことを書くのは難しい。なぜなら、これほどに作為のようなものが感じられない本はなかなかお目にかかれないから、それを読んだ後には、この本を目的的に紹介するという己れの作為に対して戸惑いを禁じ得ないからだ。

この本の主題を敢えてひとつ言えば「違和感」ということになると思う。違和感の矛先は社会や周囲の人たちにだけでなく、自分自身にも向かう。それが率直で正直で興味深い。ふたりの応答には相手に対する気負いがないのがいい。そしてふたりの言葉に対する繊細さと、それなのに言葉で遊んでしまうやわらかな知性が伺えるところがとても楽しい。内容は軽い体(てい)でそうでもない。自分の足元を根ほり葉ほりした人たちの独白(言葉)というのはやはり信頼できるし面白いなと思います。

それにしても、あるネット書店でこの本を「生産性の少ない会話」という理由でマイナス評価にしている人がいて驚いた。この本のタイトルは『無目的な思索の応答』なのに…。でも人は「無目的」の中にさえ生産性のような目的を求めてしまうのだろう。そのこともおそらくこの本には織り込まれている。

ーそして「普通」という主語を嫌がるくせに、その枠組みを設定しているのが自分であることにも困惑するのです。ー 武田砂鉄

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10月14日(月祝)開催の武田砂鉄さんのトーク(聞き手 鳥羽和久)、植本一子さんのトーク(聞き手 武田砂鉄)はどちらもすでに席が半分埋まっています。当日券は出ない可能性が高いと思いますので、チケットは事前にお求めください。






『在野研究ビギナーズ』(明石書店)ゲット。
この熱量のある本、大学の生協でこそ取り扱うべき。修士時代に出会っていたらむさぼり読んでいたはず。博士課程で勇気をもらえる(こんな言葉が出てくるなんて閉口してしまう)人も多いと思う。
いまは自分も在野研究者(のごく端くれ)だと思っているからただただ興味深い。

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アルテリ八号。
石牟礼道子さんの遺志を継ぐ柔らかながら強い意思をこれまで以上に鮮烈に感じさせます。
今号は「生きのびる者たちに罪はないのか」という石牟礼の問いかけと、60年間水俣病と闘い続ける坂本フジエさんの語りが紡がれた浪床敬子さんの「当たり前のこつじゃけ」から始まります。浪床さん、そしてその直後に載る齋藤陽道さんの文章(圧倒的に良いから読んでほしい)で強く感じるのは、私たちは隣にいる人の心さえわからないこと、どんなに願ってもその人にはなれないこと。でもだからこそその人を「全身で見聴きする者」として現象することで、私があなたになるという願いのゆらぎが「声」として私の心に宿り、それによって私は生かされるということです。
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『ロンドン・ジャングルブック』(三輪舎)バッジュ・シャーム 著 スラニー京子 訳
今夜、読みました。すごくよかったです。

タラ・ブックスの『夜の木』『世界のはじまり』などの作家のひとりであるバッシュ・シャームがロンドンの高級レストランから壁画の依頼を受けてロンドンへ。彼の感じたままに綴られる言葉たちは平易ながら真っ直ぐ本質だけを射抜いていて、何度もはっとさせられる。

私たちは物をそのままに見ているつもりで、すでに或るタブローを前提に物を見せられているのかもしれない。(それにしても、バッシュ・シャームの感性と私たちの概念との間に橋渡しをするような難しい仕事を、さも容易い仕事のようにやってのけている訳者には感服せざるをえない。)

この愛おしい本に挟まれているギータ・ヴォルフ(タラブックス)らの解説はこの本を深く理解する上で素晴らしい手引きになるもの。これを読んでもはっきりとその姿勢が書かれているのですが、この絵本は決してオリエンタリズムを愛でるような懐古趣味の作品ではありません。

バッシュ・シャームはロンドンで出会った人や物を、自らのルーツであるゴンド的世界観によって形象していくのですが、そこで生まれるのはまさに「新しい神話」と呼ばれるのにふさわしいもの。ページをめくるたびに、想像を超えた発想に驚愕し、美しい絵の世界に心が震えます。こんなふうに物を見て、それを絵にできるなんて、何て素敵なことだろうと思うと泣けてきます。これはまさに「民藝的」と呼びたくなる仕事です。

三輪舎さんといえば『本を贈る』『つなみ』が当店でも好評でした。一家に一冊あると、少しだけ心の豊かさが増す本というのがある気がするのですが、『本を贈る』や『つなみ』はまさにそれで、今回の『ロンドン・ジャングルブック』も、手に入れてしまうと一生大切にしたい、思わずそう言いたくなる本だと思います。ご自身へ、大切な人へ、スペシャルなプレゼントとしてもお勧めです。

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たぷの里は傑作絵本だと思います。
松谷みよこさんの古典的名作『いないいないばあ』のような「やみつき」を喚起するような普遍性を持ちながら、コミカルな深み(藤岡さんの作品の素晴らしさは、笑ったあとに、有限性の[私たち笑ってるけどそのうち死ぬよなというような]せつなさみたいな余韻が残ること)があるから、大人も深く楽しめてしまう傑作絵本だと思います。
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by terakoyanet | 2019-09-20 09:58 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)

読書の秋。とらきつねで10月に開催されるトークイベントのお知らせです。


来たる10月2日(水)に「本をつくり、届けること」と題したトークイベントを開催いたします。ゲストは三輪舎の中岡祐介さん。

現在、福岡市天神イムズの三菱地所アルティアムでタラブックス展(世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦)が開催中(10月6日まで)です。中岡さんはこの展示でも大きく取り扱われている『ロンドン・ジャングルブック』(タラブックスの日本版としては最も新しい書籍)、『つなみ』(インド洋大津波の惨状と奇跡を描いた悲しくも美しい絵巻)の日本語版発行元の三輪舎の代表を務めており、日本にタラブックスの文化を広めることに大きく貢献されています。

また、本好きの方たちはきっとご存知かもしれませんが、昨年出版された『本を贈る』は編集者、校正者、装丁、製本、印刷から、営業、取次、書店員まで、文字通り本が読者の手もとに届けられるまでの間に本に関わるあらゆる人たちの言葉を集めた本です。(とらきつねの前回のトークイベントのゲスト、若松英輔さんもこの本と帯に文章を寄せています。)人の心のバトンによって本がつくられることを体現したこの本は多くの人の感動を集め、すでに3刷のベストセラーになっています。

2014年の創業以来、「速さを求められる自転車創業の世の中」に対するアンチテーゼとしての三輪的(さんりんてき)活動を行ってきた中岡さんに、本をつくること、届けることについての話を、タラブックスとの仕事も関連付けながら伺ってまいります。(聞き手はとらきつねの鳥羽和久。このイベントにもしかしたらもう1名スペシャルゲストが登壇する可能性がありますが、現時点ではまだ未確定ですので、正式な案内は控えさせていただきます。)

本が好きな方、出版に興味がある方、オルタナティブな活動を通して社会を見つめ直したい方、タラブックスの本に魅了された方、自分の足で自分にできる仕事を始めたい方など、さまざまな人にとって刺激的な時間になることと思います。(鳥羽)



◇本をつくり、届けること ~タラブックスと三輪舎の本づくり

ゲスト:中岡祐介(三輪舎) 
聞き手:鳥羽和久(とらきつね)

日時:10月2日(水)開場19:00 開演19:30
(とらきつねの店舗は18時から開いています。)

会費:1000円(学生300円・高校生以下無料)
申込方法:とらきつね店頭、またはとらきつねBASEにて事前にご購入ください。オンライン購入・店舗購入のいずれもが不可能な方はご連絡ください。当日券がある場合は、当日に店頭受付もいたします。キャンセル不可。
お問い合わせ先:092-731-0121 tobacco2@jcom.home.ne.jp


中岡祐介(なかおか・ゆうすけ)
株式会社三輪舎・代表取締役。カルチュア・コンビニエンス・クラブに8年間勤務後、子どもの誕生を機に退社し、三輪舎を2014年に開業。〈おそくて、よい本〉をモットーに出版・編集した書籍に『本を贈る』、『つなみ』、『ロンドン・ジャングルブック』など。
2019年8月より横浜・妙蓮寺の石堂書店二階に事務所を移すとともに、本屋・不動産屋・出版社の三社で「まちの本屋リノベーションプロジェクト」を設立。生活のなかに本を取り戻すための活動を始めている。
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武田砂鉄トーク「令和日本の気配と、違和感の居場所」
植本一子トーク「『台風一過』と、新しい家族のかたち」
2つのトークイベントを同日開催します。

10/14 (月・祝) 17:20 ~ 18:50 
武田砂鉄トーク「令和日本の気配と、違和感の居場所」 聞き手 鳥羽和久

彼らは「国民」という言葉を、「国民一人一人」という使い方ではなく、「なんとなく全体がそう思っている感じ」くらいに設定してくる。(武田砂鉄『日本の気配』)
武田砂鉄さんは、芸能から政治まで現代日本の「ここが変だよ」という部分を広く批評してきた、というよりはもっとシンプルに自分自身の感覚を通した「違和感」を訴え続けているように感じています。私は著書を通して武田さんの感覚のようなものを信頼しているし、そのアウトプットの姿勢(というとちょっと固いな、彼の言葉から自ずと生まれるある状態のようなもの)が好きです。だからいま、武田さんが何を話してくれるかとても楽しみです。

ご予約:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/ または店頭にて
会費:3,000円(2つのトークに参加で4,800円)
※学生は1,000円(2つで2,000円・予約はとらきつねまでメールや電話でご連絡ください)
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※キャンセル不可




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10/14 (月・祝) 19:30 ~ 21:00 
植本一子トーク「『台風一過』と、新しい家族のかたち」 聞き手 武田砂鉄

今年、『かなわない』『家族最後の日』『降伏の記録』の3部作に続くエッセイ『台風一過』を発表した植本一子さん。そこに書かれていたことは、亡くなった石田さんのこと、日々大きくなっていく娘たちのこと、子育ての環境の変化、同居人ミツのこと、そしてこれからの新しい家族のかたちについて。
武田砂鉄さんは植本さんの古くからの盟友です。(植本さんの文章にもたびたび砂鉄さんが登場しますね。)植本さんが本を出すたびに、近くで彼女の声を拾ってきた武田さんに、植本さんのいまについてじっくり掘り下げて話を聞いてもらいたいと思います。このトークの後に、植本一子・武田砂鉄のサイン会を開催します。

ご予約:とらきつねBASE https://torakitsune8.thebase.in/ または店頭にて
会費:3,000円(2つのトークに参加で4,800円)
※学生は1,000円(2つで2,000円・予約はとらきつねまでメールや電話でご連絡ください)
※高校生以下無料、お子様連れ可能ですが託児施設等はございません
※チケットレス制です。ご予約の方に予約番号をメールでお知らせしますので、当日受付にて予約番号をお申し付けください。(チケットはございません)
※キャンセル不可





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[お知らせ]

☆植本一子 出張天然スタジオ福岡

10/13(日),14(月)に来福する植本一子さん。福岡で出張天然スタジオが開催されます。福岡にいながら東京と同じ価格で撮影してもらうまたとないチャンス。ファンの方たち、緊張しないでくださいね。きっと大丈夫ですから。ロケーションは大濠公園にて。お席に限りがありますので、早めにご予約を。
撮影料金は3万円、写真をデータにてメールで納品します。詳細はhttp://ichikouemoto.com/index.html にて。希望日・時間枠・名前(ふりがな)・住所・電話番号・撮影される人のプロフィール(家族構成・年齢など)・使用用途 を明記の上、info@ichikouemoto.com まで。

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植本一子(うえもと・いちこ)
1984年広島県生まれ2003年にキヤノン写真新世紀で荒木経惟氏より優秀賞を受賞。 写真家としてのキャリアをスタートさせる。広告、雑誌、CDジャケット、PV等幅広く活躍中。
2013年より下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。
著書に、『働けECD〜私の育児混沌記〜』(ミュージック・マガジン)、『かなわない』(タバブックス)、『家族最後の日』(太田出版),『降伏の記録』(河出書房新社)、『フェルメール』(ナナロク社・BlueSheep)、「台風一過」(河出書房新社)がある。


武田砂鉄(たけだ・さてつ)
1982年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年よりライターに。
著書に『紋切型社会―言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社、第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『芸能人寛容論―テレビの中のわだかまり』(青弓社)、『コンプレックス文化論』(文藝春秋)、『日本の気配』(晶文社)、などがある。最新刊は、又吉直樹との共著『往復書簡 無目的な思索の応答』(朝日出版社、東京新聞上で約1年半にわたって交わされた2人の往復書簡を収録。)
文化放送『ゴールデンラジオ』(隔週火曜)、TBS『ACTION』(毎週金曜)に出演中。cakes,女性自身,文學界,すばる,VERY,暮しの手帖,SPURなどに連載も多数。



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by terakoyanet | 2019-09-15 10:11 | とらきつね | Trackback | Comments(0)