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2018年 07月 18日

とらきつね一般書ランキング(6/9-7/17)

とらきつね一般書ランキング(6/9-7/17)


(1) 1 親子の手帖 鳥羽和久 鳥影社
(ー) 2 勉強の哲学 来たるべきバカのために 千葉雅也 文藝春秋
(ー) 3 ゲンロン8 特集 ゲームの時代 東浩紀編 genron
(再) 4 子どもと一緒にスローに暮らす 藤田ゆみ アノニマ・スタジオ
(ー) 5 どもる体 伊藤亜紗 医学書院
(ー) 6 主よ一羽の鳩のために 須賀敦子 河出書房新社
(2) 7 脇道にそれる 尹雄大 春秋社
(ー) 8 謎床 松岡正剛,D チェン 晶文社
(4) 9 猫はしっぽでしゃべる 田尻久子 ナナロク社
(ー) 10 おしっこちょっぴりもれたろう ヨシタケシンスケ PHP研究所


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by terakoyanet | 2018-07-18 03:10 | とらきつね | Trackback | Comments(0)
2018年 07月 03日

写真家・津田直さんのトークイベント「僕の生き方、写真家としての今」を開催します。

今年、太宰府天満宮での写真展「辺つ方の休息」、三菱地所アルティアム(天神イムズ)での写真展「エリナスの森」など、福岡に住む私たちに、異国(フィンランド・リトアニア)の親密な世界を魅せてくださった写真家・津田直さんのトークイベントをとらきつねで初開催いたします。

今回は2部構成のトーク。

第1部では、津田さんに、自らのこれまでの生き方を振り返る話をしてもらいます。
美術館でもギャラリーでもないとらきつねで津田さんがお話しをするのですから、そこには「何か」があるわけです。

今回のイベントを開催するにあたり、津田さんから様々なお話を伺いました。津田さんのこれまでの道程は一筋縄ではないものでした。心の内に大切な何かを抱えたままサバイバルする津田さんの少年時代に、私は脳天を撃たれました。
これは皆さんに話を聞いてもらわねば、そう思い、写真家・津田直にアップグレードされる前の津田さんのことを話してくれるよう、お願いしたのです。

第2部では、津田さんに写真について話していただきます。いろいろな写真を見るのではなく、ある1枚の写真が津田さんによってどのように撮られ、どのように作品になるのか、そして私たちはその写真をどのようなふるまいで見るのか。もちろんそこに一定の正解があるわけではありません。写真というツールで世界と向き合ってきた津田さんが語る写真は、そのまま世界の話、私たちの話になってしまう、その必然にワクワクと胸を躍らせてほしいのです。
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津田直「僕の生き方、写真家としての今」 
7月21日(土) 開場16:40 開演17:00

第1部 知っている世界 < 知らない世界 17:00~18:20

第2部 一枚の写真からつないでゆく 18:30~20:00



〇参加費 
[前売券]
3,000円/学生1,500円 (1部・2部共通/学生の方は予約時にお申し出の上、学生証を持参してください。学生券は店頭販売のみ。)/小学生以下無料
[当日券]
3,400円/学生1,800円(*満席必至のイベントです。完売により当日券が出ない可能性があります。)


〇チケットのご購入について
(1)とらきつねBASEにてご購入(チケットレスシステムです。メールにて予約番号をお伝えしますので、当日お名前と併せてお伝えください。)
(2)とらきつね店頭でお支払い・ご購入
*一度ご購入いただいたチケットの払い戻しはできかねます。ご了承ください。
*(1)(2)のお支払い方法がどちらも不可能な方だけ、お問い合わせフォームよりお知らせください。

[会場詳細]
福岡市中央区唐人町1-1-1成城ビル1F とらきつね


〇津田直 プロフィール
写真家。1976年神戸生まれ。世界を旅し、ファインダーを通して古代より綿々と続く、人と自然との関わりを翻訳し続けている。文化の古層が我々に示唆する世界を見出すため、見えない時間に目を向ける。2001年より多数の展覧会を中心に活動。2010年、芸術選奨新人賞美術部門受賞。大阪芸術大学客員教授。主な作品集に『漕』(主水書房)、『SMOKE LINE』、『Storm Last Night』(共に赤々舎)、『SAMELAND』(limArt)、最新作に『Elnias Forest』(handpicked)がある。
http://tsudanao.com
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今年開催された津田直さんの写真展、三菱地所アルティアム「エリナスの森」、太宰府天満宮文書館「辺つ方の休息」、行かれた方も多いと思います。

私もどちらの展示にも出かけたのですが、本当に素晴らしかったです。
身体が別の世界に赴いてしまう、特別な感覚がありました。

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今回のトークイベント、写真に興味がある人だけでなく、面白い大人に、不思議な魅力をもつ大人に会ってみたい方、全てにお勧めいたします。7月3日現在、お席にさほど余裕がありませんので、お早めにどうぞ。




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by terakoyanet | 2018-07-03 20:42 | 行事・イベント | Trackback | Comments(0)
2018年 06月 26日

ブックレビュー 2018年6月

私たちは、自分が正しい道を歩んでいると信じていたいし、そうでなければならないと思っている。でも、その「正しさ」についてちゃんと考え抜いているのかな、「正しさ」さえも私たちが自分が生きるために必死に作り込んだストーリーでしかないかもしれない。尹雄大さんの新刊『脇道にそれる <正しさ>を手放すということ』を読むと、そのことに気づかされ、考えさせられます。

共感によって手に入れようとした安心には、根がまったくない。それでも互いに「わかるよ」と頷きあっている関係さえあれば、たとえ中身が紛いものであっても「自分は孤絶していない」という手応えは確かに感じられる。私は現実ではなく、現実らしさを望んでいたのだった。(本文より)

私は私であることを恐れ、常に何者かになろうとする。自己実現とは、ありのままの自分になるという意味ではなく、常に評価される何者かになろうとしていまの自分を超えようとすることを指す。その何者とは、「理想」でありやがて達成されるであろう自己だ。いずれも像でしかなく、現実ではない。よくできた贋物でしかない。(本文より

第 1 章で、読者の胸を刺す<贋物である私>の指摘から始まるこの本は、第 4 章のべてるの家、しょうぶ学園といった、脇道にそれることを厭わない人たちへの取材を通した話で終わる。そういうこの本もひとつの「ストーリー」であり、それを欲する私たちもまた、自らの「ストーリー」に寄与するものとしてこの本を望んでいる。この本に出会った人が、自分のストーリーを大切に抱えながらも、「正しさ」や「信念」といった呪縛から解き放たれることを願っています。

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熊本・橙書店の店主、田尻久子さんの本、『猫はしっぽでしゃべる』。橙書店といえば、創刊以来とらきつねで販売させてもらっているアルテリの版元でもあります。

熊本地震のあと、移転した橙書店に行ったとき、以前と同じ匂いがする、と安心した人は多いでしょう。本の中にも「同じ匂いがする」と言って涙ぐむ人が出てきます。(決して湿っぽくはならないのですが。)地震の前も後も変わらずに営業を続ける書店員田尻さんの日常が淡々と綴られます。

いつも橙書店で執筆をしている坂口恭平さんのことが書かれた章があります。これを読んだあとに、本に付属している小冊子の坂口恭平さんの文章を読むと、心を深く動かされます。

田尻さん(恭平さんは久子ちゃんと呼ぶ)は何もジャッジしない、いつも「それでいいよ」「大丈夫」と言う。それは単に「否定」の対極にある「肯定」ではなくて、あなたの存在を無償で受け入れるからあなたは好きにしなさい、そういった、自分の存在に確かな囲いを与えてくれる場所としての「橙書店」が明らかになる場面です。人に救いを与えるというのは、本当はこういうことなんだろうな、そう感じます。
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写真集としては異例ともいえるロングヒットで24刷が決まった(おめでとうございます!)川島小鳥写真集『未来ちゃん』。

子どもというのは私たち大人とは別の世界に住んでいて、その世界はきっと宇宙より広いんだ。そのことを思い知らされる本です。

未来ちゃんがこうして確かに存在した一瞬を思うと、思わず涙が出るほど心揺さぶられるし、そしてたったいまも日本で、世界中で、きっと未来ちゃんが元気に駆け回っているのだろうということを信じることができます。そして、未来ちゃんがいる限り、私たちも絶望なんてしてられない、そう思うのです。

ナナロク社の本を多数入荷しました。『未来ちゃん』もサンプル本とともに展開中です。ぜひお手にとってみてください。

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失ってみてはじめて分かったことだが信頼は、生きることの基盤をなしている。自己への信頼も、他者との信頼の間に育まれる。心を開いてくれる他者と出会えたとき人は、他者との間だけではなく、自己との新しい関係をも結ぶことができるのはそのためだ。

心を開くとは、他者に迎合することではない。そうしてしまうと相手だけでなく、自己からもどんどん遠ざかってしまう。むしろ、心を開くとは、自らの非力を受け入れ露呈しつつ、しかし変貌を切望することではないだろうか。(本文より)


日経新聞に連載されたエッセイが単行本になった若松英輔さんの『悲しみの秘儀』。一冊の本のことを「誠実な読み物」と呼ぶのは、無粋で野暮なことだとわかっているけれど、それでも、これほど誠実さが身にしみる文章というのは、なかなか出会えないのです。悲しい(愛しい、美しい)生の中に生きる、全ての大人たちのために綴られた文章
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昨年、哲学者の中島義道さんをお呼びしたイベントの際に、ある来場者の方から、「高橋源一郎さんは、呼ばれないんですか。」と尋ねられました。彼女にとって、中島義道さん、高橋源一郎さんのふたりが、長年のアイコンらしく、また、随分毛並みの違うお二人が好きなんですね、なんて話をしたのを覚えています。高橋源一郎さん、お話ししてもらったら、そりゃあもう、面白いでしょうね。

高橋源一郎さんの新刊、『 お釈迦さま以外はみんなバカ 』 ( 集英社 ) を入荷しました。古今さまざまな本を題材に、さまざまに繰り広げられる四方山話。唸ったり笑ったりしているうちに、心がほどけてくる面白い本。松岡修造のどこがすごいのか、なんて話も、気軽なのに説得力のある言葉で綴られています。そして、本のどこから読んでも楽しいのが、また、ありがたい。攻めたタイトルも好きです。
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by terakoyanet | 2018-06-26 02:00 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 06月 20日

とらきつね 2018年上半期 雑貨&ステーショナリー ランキング

とらきつね 2018年上半期
雑貨&ステーショナリー ランキング(12/17-6/19)🏔

(-)1 元永彩子+山口和宏 カッティングボード
🌱(1)2 ブローチ各種 クリコットロイカ
(-)3 TOJIN トート 大濠公園M,L🌱
(-)4 TOJIN トート 唐人町商店街M,L🌱
(2)5 とうじんポストカードセット🌱
(5)6 サファリ万年筆 LAMY
(9)7 おやさいクレヨン スタンダード mizuiro
(6)8 とうじんポストカード 大濠公園🌱
(7)9 ポチ袋 かみ添
(3)10 ポストカード 翁長ノブ子

【通販再開!】
🌱マークは通販(とらきつねBASEにて)も行なっています。


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by terakoyanet | 2018-06-20 12:36 | とらきつね | Trackback | Comments(0)
2018年 06月 10日

とらきつね一般書ランキング(4/23-6/8)

本校の1Fとらきつねが書店を兼ねるようになってから、これまで以上にたくさんの方が立ち寄ってくださるようになりました。近所の方たちや学校の先生たちもたびたび立ち寄ってくださっています。

とらきつねでは不定期に一般書の売り上げランキングを発表しています。(ただし学習参考書は集計対象外。)


とらきつね一般書ランキング(4/23-6/8)


(1) 1 親子の手帖 鳥羽和久 鳥影社
(-) 2 脇道にそれる 尹雄大 春秋社
(-) 3 子どもと一緒に読みたい絵本 玄光社MOOK
(-) 4 猫はしっぽでしゃべる 田尻久子 ナナロク社
(10) 5 「ユマニチュード」という革命 イヴ・ジネスト他 誠文堂新光社
(7) 6 星の王子さま バンド・デシネ版 ジョアン・スヴァール 池澤夏樹 サンクチュアリ出版
(-) 7 もう ぬげない ヨシタケ シンスケ ブロンズ新社
(-) 8 良いおっぱい悪いおっぱい 完全版 伊藤比呂美 中公文庫
(-) 9 〈ほんとうの自分〉のつくりかた 榎本博明 新潮社
(-)10 あやとりの記 石牟礼道子 福音館書店

本日のとらきつねは12時オープン。(日曜のみ12時オープンです)
本棚の本たちは随時入れ替わっています。
1冊1冊大切に選んでいますから、雨の日にゆっくり読む本を探しにきていただければと思います。

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子どもが読書をしない、となげく親御さんがいらっしゃいますが、親が読書が楽しいと思って日々本を読んでいて、それが子どもに伝われば、自ずと読書が好きな子どもが育つことが多いです。(面白そうな本がずらっと並んでいる本棚があるとなお良いです。)

読書は何歳からでも始められるし、人生を濃密にする方法としてはとてもすぐれていると思います。
皆さんがよい本に出会えますように。


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by terakoyanet | 2018-06-10 10:26 | とらきつね | Trackback | Comments(0)
2018年 05月 21日

ブックレビュー 2018年5月

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鈴木潤『絵本といっしょに まっすぐまっすぐ』

まっすぐであったかい絵本ガイド。
メリーゴーランド京都の店長、鈴木潤さんによるこの本は、絵本と私たちの日常は繋がっている、そういう、何気ないけれど、なぜ私たちにとって、本が、絵本が、こんなに愛おしいのか、そのことを改めて教えてくれる本です。

絵本が好きな方なら、私がご紹介するまでもなくご存知かもしれませんが、メリーゴーランドは、四日市と京都にある子どもの本専門店。子どもと世界が穏やかに繋がるためのイベントや、毎月本が届くブッククラブなどの活動も知られています。この本に出てくる数々の絵本たち。絵本がかなり好きな方でもきっと新たな発見があります。思わず付箋だらけになってしまう人もいるかも。

この本では、鈴木さんの日常と、絵本の紹介がパラレルに進んでいくんです。そして日常の喜怒哀楽やささやかな思いや気づき、そういったものに絵本がそっと寄り添っている。そのシンクロニシティに思わずぞくぞくっとするのです。ページをめくるたびに、本はなんて柔らかで頼もしい存在なんだろう、そういう実感がふつふつと沸き起こるこの本は、間違いなくいい本です。帯文は詩人の谷川俊太郎さん。こちらの本、現在とらきつねの「子どもと本」のコーナーで展開中です。


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植本一子『降伏の記録』

それでも植本一子を全て肯定したい。私がこの本を読み終えたときの率直な感想です。

夫である石田(ECD)さんが癌になり、心身を壊していくなかで書かれたこの本。

本に綴られる内容、特に後半の内容というのは、何で書かなくてもいいことまで書くのか、人の気持ちを何だと思っているのか、人間としてどうなのか、そういった、さまざまな批判を呼んでいます。

でも、この本に綴られている内容を通して私たちが痛烈に知りうることは、自分を愛すること、人を愛することは、わからないことと矛盾ばかりだということ。正解なんていつまでもたどりつけるものではないこと。自分自身の足元を掘り下げれば、当然醜いものが現われ出ることだってあるし、それがいわゆる社会的常識や社会倫理から逸脱する可能性だってある。正直で率直と言ってしまえばまるで美しいことのようだけれども、そうではなくて、この本を読んだときの違和感に当てられる感覚というのは、それ自体がほんとうでまっとうで、それは、白昼堂々と虚言・妄言が繰り返されるこの世の中で、信頼に足るわずかなことのうちのひとつ、そんな気がするのです。

『降伏の記録』は単体で読むことも可能ですが、彼女の『かなわない』『家族最後の日』を読んだあとに読むと、読後感に拡がりが増します。『かなわない』と『家族最後の日』は苦しい育児をしている方にも読んでほしいです。
植本一子の3部作『かなわない』『家族最後の日』『降伏の記録』はとらきつねにてお取り扱い中。

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佐々木正美『子どもへのまなざし』【発刊20周年】


子どもにとって自分が本当に愛され、たいせつにされていることが、実感できるように育ててあげることが、まずもって非常に重要なことです。

子どもは親を信じているから反抗しているのだと、認識していればいいのです。いわゆる反抗期は、三歳前後、就学前後、それに思春期にありますが、この時期は同時に、子どもが急速に成長や発達をする時期です。

教育とか育てるということは、私は待つことだと思うのです。「ゆっくり待っていてあげるから、心配しなくてもいいよ」というメッセージを、相手にどう伝えてあげるかです。子どもにかぎらず人間というのは、必ずよくなる方向に自然に向いているわけです。


児童精神科医の佐々木正美さんによる子育て本の新しい古典『子どもへのまなざし』(福音館)は発売から今年で20周年を迎えました。決して色褪せることのない子育ての基本的な考え方が、心に留まる読みやすい言葉で綴られています。


佐々木さんのまなざしの確かさに触れてみてください。子どもに心を向けるというのはどういうことなのか、丁寧に詳細に書かれた唯一無二の本です。とらきつねの「子育ての本」のコーナーで展開中。


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須賀敦子『須賀敦子詩集 主よ 一羽の鳩のために』

今年没後20年の須賀敦子。イタリア留学中の1959年、須賀敦子が30歳当時に書いていた詩が発見され、このたび纏められました。

彼女がエッセイで見せる硬度はそのままに、でも、その詩たちは眩しいほどに瑞々しい。
静かに自らの魂を見つめ、そして、ある光を希求する日々のゆらぎがそのまま封じ込められた一冊です。池澤夏樹の読み応えある解説も。

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石川直樹『極北へ』

ぼくの知らないところでシロクマがアザラシに食らいつき、浜で動けなくなって死ぬ。誰かがぼくの携帯電話を鳴らし、そこでは昼夜を問わず忙しく働いている人がいる。そういう世界に生きていることを、ぼくは孤高の島の上であらためて知る。

石川直樹さんの文章を読むときに、心臓が脈打ち、呼吸が苦しいと感じるのは、生と死の間隙に憑りつかれた彼の営為とその息遣いが、私たち自身に駕り移る(のりうつる)からに他ならない。「極北」には生の営みの極限がある。その隣には常に死が横たわっている。石川直樹さんの新刊『極北へ』は、そのような「極み」をこの目で見極めたい、そんな人に読んでほしい本です。

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『現代思想 総特集 石牟礼道子』

石牟礼文学の総力特集。初期の未発表作品も収録されています。

石牟礼文学というのは、闘争の話ではなくて、水俣病という苦しみの話でもなく、「この世界でうまく生きられないように感じている人」すべての人のもの(赤坂真理 さん)

同郷の渡辺京二 さん、伊藤比呂美さんや、金時鐘 の「光州詩片」の一部を引用した姜信子さんをはじめ、エッセイを寄せた人たちの文章に魂が宿っていると感じさせるのは、石牟礼さんの命の欠片が私たちの世界の片隅にずぶりずぶりと刺し込まれている証左でしょう。


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安野光雄『はじめてであう すうがくの絵本』

お子さんが4・5歳くらいになったらお家の絵本棚に置いておいて、自分から読み進め始めたらチャンス。クイズを解く気持ちで一緒に読んでみてください。

数学っていまいちなじまない、そう思っている親にこそおすすめです。ああ、そうか、数学ってこういうふうに私たちの周りに存在しているのか、と実感できるんです。それを子どもと共有する喜び。

決してこの本を使って、数学を教育しようなんて思わないでほしいんです。子どもがこの絵本から受け取っているものをそのままに信じてあげてください。

この本には数学の本来性がぎゅっと詰まっています。1〜3巻まで読めば、基礎的な数の概念が身につく構成になっていることには、思わず唸ってしまいます。

そして何より安野光雄さんの絵の奥深い可愛らしさ。
全ての子どもが数学と幸福に出会えますように。





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by terakoyanet | 2018-05-21 08:05 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 05月 01日

森田真生『数学する身体』を再読。

ロンドンに向かう飛行機の中で、先ごろ文庫版が出たばかりの、森田真生『数学する身体』を再読しています。
この本は、私の中では過去10年に出た本のうち、最も刺激を受けたもののひとつです。


不安の中に、すなわち間違う可能性の中にこそ「心」がある、そのことを知り抜き、数学を通して「本当の心」に辿り着こうとしたチューリング。
物理的な「個」の肉体の中に閉じ込められた「心」の本来の広がりを、数学を通して取り戻そうとした岡潔。

2人の数学者を通して見えてくるのは数学の真理のようなものというよりは、ふだん私たちが閑却の彼方に置いている、思考という営みを続ける私たちの身体の生成と動きそのものの姿。そして、むしろ私たちが日々求める真理のようなものが、いかに特殊で限定的な思い込みであるかということをまざまざと知らされるのです。驚異的なほど腑に落ちる本。


数学なんて無理、そう思う方でも大丈夫です。本に登場する、虚数も解析関数もわからなくていいんです。
わからないところは読み飛ばしても、この本の核心は掴めます。
だってこの本は、数学という名をまとった、哲学の、生き方の本ですから。まさにいま読むべき本です。

大人に、そして高校生に、ぜひ読んでほしい。
数学は、単に計算を扱う学問ではないよ。

現在、とらきつねで取り扱い中です。

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by terakoyanet | 2018-05-01 07:14 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 17日

『親子の手帖』お取り扱い店舗一覧(4月17日現在)

重版出来の『親子の手帖』。お取り扱い店が全国に拡大中です。

それぞれの街のお知り合いの方にお伝えください。

ここにもあったよという情報もお知らせいただければ幸いです。



◎4月17日現在のお取り扱い店 (*在庫状況はお店にご確認ください。)

【東京】
・荻窪 本屋title
・吉祥寺 ブックスルーエ
・吉祥寺 ジュンク堂書店 吉祥寺店
・世田谷 本屋B&B
・多摩 ジュンク堂書店多摩センター店

【埼玉】
・大宮 ジュンク堂書店大宮高島屋店

【新潟】
・笹口 ジュンク堂書店新潟店

【岐阜】
・岐阜 ジュンク堂書店岐阜店

【静岡】
・静岡駅前 戸田書店 静岡本店
・鷹匠 MARUZEN&ジュンク堂書店静岡店
・鷹匠 水曜文庫

【愛知】
・栄 丸善 名古屋本店
・栄 ジュンク堂書店ロフト名古屋店
・東山公園 ON READING

【京都】
・河原町丸太町 誠光社
・河原町三条 丸善京都本店
・四条河原町 メリーゴーランド京都
・四条通り ジュンク堂書店京都店
・一乗寺 恵文社 一乗寺店
・浄土寺 ホホホ座

【大阪】
・茶屋町 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店
・堂島 ジュンク堂書店大阪本店
・松屋町 TORI FOOD by トリ風土研究所

【兵庫】
・明石 ジュンク堂書店明石店
・三宮 ジュンク堂書店三宮店
・三宮 ジュンク堂書店三宮駅前店
・西宮 ジュンク堂書店西宮店

【鳥取】
・湯梨浜 白線文庫(HAKUSEN内)

【広島】
・広島駅前 ジュンク堂書店広島駅前店
・本川町 READAN DEAT

【愛媛】
・松山 ジュンク堂書店松山店

【福岡】
・赤坂 ブックスキューブリック けやき通り店
・糸島 くらすこと
・うきは MINOU BOOKS & CAFE
・大牟田 TARAMU BOOKS & CAFE
・西戸崎 ナツメ書店
・天神 ジュンク堂書店福岡店
・唐人町 とらきつね
・唐人町 よくねる寝具店
・博多 丸善福岡店
・箱崎 ブックスキューブリック箱崎店
・桧原 福岡おもちゃ箱
・六本松 六本松蔦屋書店
・六本松 雑貨と古書 ハチジュウイチ

【長崎】
・長崎 ひとやすみ書店

【熊本】
・合志 HAYASHI(母野思)
・新町 長崎次郎書
・練兵町 橙書店


【鹿児島】
・鹿児島 ジュンク堂書店鹿児島店


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『親子の手帖』が置かれる絵本やさん メリーゴランド京都店



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うきはの minou books and cafe さんにもあります



Amazonでも部門上位をキープしています。(4月16日 1部門で1位、2部門で3位)ありがとうございます。

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初版と第2版、中表紙に大きな変化が。初版は透明感のある白でしたが、第2版は手帖という名に相応しいニュアンスのある茶色に。中表紙がこれだけ落ち着いた仕上がりになると、カバーを外して持ち歩くのもいいなと。元永彩子さんの絵も別の美しさを宿したように見えて嬉しいです。とらきつねでは初版と第2版、どちらもお買い求めいただけます。



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by terakoyanet | 2018-04-17 13:08 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 13日

『ユマニチュードという革命』

「ユマニチュード」は認知症高齢者に対するケアの方法として昨今、脚光を浴びていますが、この本を読むと、ユマニチュードというのは、決してケアの方法にとどまらない、人間同士の本源的な関係の結び方についての作法について語っていることに気づかされます。

そこでは、誰かをケアするときに必要と考えられている専門的な知識や技能が、むしろ思考停止を呼び込み、ケアをする相手との関係性を遮断しかねないという問題意識から、「よい扱い(ビアントレタンス)」という概念が提唱されています。
ケアの現場において必要なのは「適切な距離感」ではなく、「適切な距離感はない。ただ近づくだけ。」とイヴ・ジネストは言います。
それは、「関係性そのものに相手を尊重することがはじめから織り込まれている」から、あえて「相手を尊重しましょう」という必要のない関係性です。

ケアする側が気づかなければならないのは、ケアする側は権力を持っていて、患者や入居者を管理するという発想に陥りがちだということ。医者は「自分は患者を治せる」と思いがちですが、そうではなく「その人自らが治した」のです。そうでなければ、医者は同じ処置をしても治らなかった患者全てに対して「自分が患者を殺した」と言わねばならなくなりますから。
(かつて、塾生が不合格になったから坊主になった塾講師がいました。塾生が不合格になったことを「100%私の責任だ」と言って親や子どもに謝罪した塾講師がいました。[寺子屋にいたわけではなく、伝え聞いたことです。] 私はこれを聞いたときぞっとしました。不合格について100%私の責任だという人は、合格についても100%私の手柄だと言わなければならなくなります。これほど子どものがんばりを無視したものがあるでしょうか。子どもたちは自分自身の力で合格するのです。指導者は、自分が「権力者」になりがちであることに自覚的でなければなりません。)
ユマニチュードで可能なのはケアであり、キュア(治療)ではないことが明言されています。そしてケアとは「相手の能力を奪わない」ことだと言います。(学習指導においても、最も大切なことは、「相手の能力を奪わない」ことです。これを理解しているかどうかは、とてつもなく大きいです。)
自分が権力者だと気づき、その権力を脇に置くことが大切であるということが、この本では繰り返し語られます。

そして「よい扱い」のための具体的な作法として語られるのが、その人の「いま」に注目すること。そして、眼差しを注ぐこと、話すこと、触れること、立位の援助をすることです。
それは、「自分は愛情を、優しさを受取るために人間として生まれてきた。」そのことをお互いが理解するための実践です。

私はこれらのユマニチュードの考えを人と人との関係性そのものの基礎、愛の作法と受け取りました。
私が先ごろ上梓した『親子の手帖』という本は、ユマニチュードの親子実践編ともいうべき内容を書いたつもりです。(この本ほどうまく書けていませんが。)

『ユマニチュードという革命』は構成が素晴らしく、ユマニチュードについて深く理解する教科書として抜群にすぐれています。
これほど哲学的な内容を、これほど簡明に書いた本があるでしょうか。
こちらの本は現在、とらきつねの「生き方の本」の棚に展開中です。

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by terakoyanet | 2018-04-13 09:26 | おすすめの本・音楽 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 11日

「大人にも読んでほしい入試に出る評論」のコーナーを設けました。

とらきつねに「大人にも読んでほしい入試に出る評論」のコーナーを設けました。

入試に出る評論を書く作家の中で、私が好きなのは、鷲田清一さん、内山節さん、河合隼雄さん、森本哲郎さん、中村雄二郎さん・・・といった人たちです。


家族とは葛藤のるつぼである。しかもそこから下りることを許さない関係である。(鷲田清一)

歴史は無意識のうちにおこなわれる「悪意」によって書き直されるのである。(内山節)

「羨ましい」という感情は、どの「方向」に自分の可能性が向かっているかという一種の方向羅針盤としての役割をもって出現してきているのである。(河合隼雄)

ヨーロッパの哲学史は、「自分」という実体へ向かっての旅だったといってもよい。それに対して日本人は自分という一個の人間を実体としてではなく、機能として考えてきた。(森本哲郎)



中学生、高校生たちは、日々、評論を通して世界を学んでいます。(本校では小6もこれらの評論を読みます。)私たちはなぜ生きるのか、どう生きるべきか、ということについて考え、家族のあり方、学校のあり方や、国家の成り立ち、経済活動と資本主義、地球環境と倫理、科学技術の可能性と限界など、あらゆる課題について、思考を逞しくしています。評論を読み込むことは、親や学校から受けた直線的な価値観に染まりがちな子どもたちの思考を、自由に羽ばたかせることに繋がります。多感なこの時期に世の中の新しい見方を知ることは、自分自身がもっと豊かな人生を選ぶことができるという可能性を知ることでもあります。だから、私はこの時期の彼らに、評論の良書を読むことを薦めたいと思います。

そして、中高生時代に必ずしも良い評論に出会えなかった大人たちにも、ぜひともこれらの本を薦めたいです。生き辛さを感じている人、自分自身の不確かさにいつもおびえている人、世の中のいびつさに心を痛めている人、子育てに悩む人、たった一度の人生をもっと豊かに輝かせたい人、もっと自分の知識を深いところまで掘り下げたいと願う人。そういった人たちに、評論の良書は大きなヒントを与えてくれます。
読む人の思考の質そのものを問うことで、その人の考え方や考える癖そのものにアプローチするので、読む人の生き方の姿勢、判断や人との関係性に対し、間接的に影響を与えることがあります。

中高生時代にとっつきにくい文章と思っていた評論文も、大人になると、軽妙なエッセイとして、自分の生活に引き寄せて読むことができるのが不思議です。そうやって自分が重ねてきた年輪のようなものを確かめることができるのも、評論を読む醍醐味ですね。
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by terakoyanet | 2018-04-11 13:12 | とらきつね | Trackback | Comments(0)