寺子屋ブログ by 唐人町寺子屋

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2018年 06月 02日

忘れ得ぬ日(航空高校唐人町修学旅行)

航空高校唐人町の修学旅行7日目の5月5日、ロンドンの中心街ソーホーで英語学校の授業を終えたNくんと、郊外の町に遊びに行きました。

いくら憧れのロンドンとはいえ、ずっと市街地にいると心が荒みますから、適度に郊外で遊ぶのが長く滞在する際に必要なことです。

ヨーロッパはこの時期、日がとても長いので(日没は21時前後)、学校の授業が終わる15時半以降からでも、十分に日帰りトリップが可能です。こんな機会を逃す策はありません。ということで、Nくんと南部の白亜海岸にハイキングに出かけました。

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今回の旅行中は、偏西風の機嫌がよくて、天候にとても恵まれました。
この日の夕日が忘れられません。

無計画のため帰りの足がなくなり、携帯も圏外。
たまたま出会ったイーストボーン在住の家族に近くの駅まで送ってもらいました。
とてもハートフルな家族で、こういうささやかな時間が大切な思い出として心に残るものになります。

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Nくん、その翌日には、単独でイーストボーンの隣町ブライトンに行き、私の二十年来の友人Nigelに会って、1日いっしょに遊びました。
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パブに行ったり、素敵なシンガー!?のパフォーマンスを見て、彼女と写真を撮ったり、楽しい時間を過ごしたようです。
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ありきたりの修学旅行では決して出会えなかったことをたくさん経験したでしょう。
多様性という言葉の意味を肌で感じたでしょう。
その土地に行って、その土地の人に出会うというのは、かけがえのないことです。


高校に通うのが苦しいと思っている子もいるかもしれません。
でも、いまの私たちにはたくさんの選択肢があって、ひとつのレールにとらわれる必要なんてないのです。

いま苦しんでいる子どもがそのことに気づいてほしいし、子どもだけでなく、そばにいる大人こそが、脇道にそれる勇気を持ってほしいと思います。
本校(航空高校唐人町)の修学旅行は、子どもたちに脇道のおもしろさを垣間見せる機会になったと思います。



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by terakoyanet | 2018-06-02 08:27 | 行事・イベント | Trackback | Comments(0)
2018年 05月 09日

アイルランドの風

イギリス滞在の際には、2日間だけ休暇をもらい、隣国のアイルランドを訪れました。

訪れたのはアイルランドの中でも西岸に位置するキラーニー(Killarney)。
アイルランドの西岸は、年間を通して偏西風が吹き付けますから、天候が不安定な地域です。
とは言っても、周辺の海水温がさほど高くないこと、アイルランドの土地の標高が高くないことから、分厚い積乱雲が発達することはないので、しとしとと小さな粒の雨が降ったと思ったら、晴れ間が見える、その繰り返しです。

1日目は14キロのトレッキング、2日目は70キロのサイクリングをして、春のアイルランドの風と雨と太陽とを満喫しました。


サイクリングはアイルランド極西のカテドラル、聖マリア大聖堂からスタート。
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森に入ると新緑が小さな雨粒を浴びて輝いていました。

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森林の多くは湿地帯です。木々はある程度大きくなると、自分自身の重さに耐えられなくなり倒壊します。
こうして死と再生が繰り返されます。
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美しい滝もありました。"Torc Waterfall"
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30km峠道を上り下りして走行して辿り着いた展望台。天気が悪くても、素晴らしい眺めでした。 "Ladies View"
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あちらこちらに、小さな教会や古城があります。
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人生で初めてU字谷(氷食谷)の底を自転車で走りました。
借りた自転車は長距離に適しないシロモノで、Black ValleyとGap of Dunloe という2つの谷の間の峠がとても苦しかったです。
途中でチェーンが外れ、手は真っ黒、油まみれに。でも、すごく楽しい時間でした。
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by terakoyanet | 2018-05-09 10:22 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)
2018年 05月 08日

修学旅行はロンドンへ。

毎年、自分たちで行き先を決める旅行を実施している本校の単位制高校コース(航空高校唐人町)の修学旅行。
今年の行き先はロンドン!

私は旅程の前半しか参加できませんでしたが、生徒はとても大切な時間を過ごしています。

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朝7時5分。気温8℃。快晴のロンドン


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20時15分、夕暮れ時のロンドン


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Beacy Head にて

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Birling Gap の夕日



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Brightonで案内役のNigelとTくん



旅の前半は英会話学校に通いながら、空き時間に市内や郊外の観光をし、旅の後半は、イギリス内を好きなように動くフリープラン。
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ロンドンキャストによるレ・ミゼラブルを5列目で鑑賞する幸運にも恵まれました。素晴らしくて震えました。


大英博物館やナショナルギャラリー、ロンドンアイなどの観光ももちろん楽しいのだけど、その隙間にある時間の中で、海外の人たちの言動から見える文化の違いをつぶさに見ることがいかに子どもに刺激を与えるかということを強く感じました。

ブライトン在住のNigel(以前、福岡に彼が住んでいたときからの友人)は、パブや音楽パフォーマンスに連れて行ってくれて、生のイギリスを体感させてくれました。派手な観光地よりも、こういう人々の暮らしを体感した日のほうが、ずっと大切な記憶として残るものです。

また、生徒の帰国後に報告できればと思います。




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by terakoyanet | 2018-05-08 06:57 | 雑感・授業風景など | Trackback | Comments(0)
2018年 01月 13日

センター地理Bでムーミンの問題が出題。

本日のセンター試験の地理Bで、ムーミンがフィンランドのアニメーションだとわからなければならない問題が出た!と、大きな話題になっています。
ムーミンがフィンランド、小さなバイキングビッケがノルウェーのアニメーションだなんて、地理Bで失点した覚えのない私も、即答はできかねます。しかも、それ、いくら?を表すフィンランド語とノルウェー語を選ぶ問題も出たとのこと、この話題を最初に聞いたとき、まさか!そんな問題が!?受験生がわかるわけないだろ!?と驚きました。
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問題を見てみると、確かに出題されています。
しかし、よく見ると、この問題はよく練られた良問です。

まず、注目すべきは、「ノルウェーとフィンランド舞台にしたアニメーション」という出題文です。
よく見ると、タのムーミンの奥には針葉樹林が描かれており、そして、チの小さなバイキングビッケの奥には文字通りバイキング船が描かれています。つまり、タは針葉樹林が代表的な景観の国であり、チはバイキングが活躍した海洋国であることがわかります。

これまでの地理の学習で地図帳とにらめっこしてきた受験生は、フィンランドは低湿地が広がる文字通り森と湖の国であること、そして、ノルウェーは大西洋に面した海洋国であること(また、沿岸は偏西風の影響で高緯度なのにかかわらず温帯(Cfb, Cfc)であること)を知っているはずです。また、詳しく地誌を学習した受験生は(当校の地理Bの授業ではもちろん出てきました)ヴァイキングがスカンディナヴィアの北部で活躍したことを学んでいるはずです。(ヴァイキングは世界史にも出てきますが。)
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ですから、針葉樹林が見えるタはフィンランド、ヴァイキングのチは海洋国のノルウェー舞台にしている絵であると答えることができるはずです。
(フィンランドはボスニア湾に面していますが、海洋国とは到底言えません。なぜならば、フィンランドの船舶は、デンマーク他の領海である、スカゲラック海峡、カテガット海峡を通らなければ大西洋に出ることができませんから。フィンランドは、地政学的に極めて不自由な位置にある国です。)

冷静に考えれば、ムーミンはどこの国のアニメーションでしょう?なんて問題が出るわけがないのです。
背景の仕掛けに注目することが大切な問題です。

そして、言語をA・Bから選ぶ問題。ノルウェーの文字、フィンランドの文字なんてわかるか!?と絶望的な気持ちになる受験生の気持ちが容易に想像できます。しかし、問題をよく見てください。Aの言語は上のスウェーデン語とそっくりです。(発音がわざわざカタカナで書いてあるところが、受験生への優しさであり、ギフトであることに気付きましたか?) でも、Bの言語は共通点が全く見当たりません。この時点で、ちゃんと学習してきた受験生たちは、はっとするでしょう。ある大切な事実を思い出すのです。

そう。それは、フィンランドの言語は周りの国とは違う、という事実。
ヨーロッパは、ゲルマン・ラテン・スラブの3大語族が席巻するなかで、フィンランド語とハンガリー語(マジャール語)は例外的にウラル語族であるというのは、地理Bの必須項目です。(正確には、エストニア語やサーミ語など、他にもウラル語系はありますが、「フィン&マジャール=北アジア地域と同じウラル語族である」は必須なのです。)

ですから、スウェーデン語に近いAがノルウェーの言語、異なるBがフィンランドの言語ということで正解が出ます。(実はBのトナカイもなにげにヒントです。フィンランドはサンタクロースの国。サンタの乗り物はトナカイです。ノルウェーにもフィンランドにもトナカイはいますが、トナカイのソリが活躍するのは、山がちなノルウェーではなく、土地が平坦なフィンランドでしょう。)


ーーーー

受験生の皆さん、一見突飛に見える問題が出ても、ちゃんといままで学習したことの範囲から問題は出題されています。自分の知識が自ずと応用される快感を感じながら問題を解き進められるようになればたいしたものです。


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北極海を中心に据えて世界を見ると、ヴァイキングの世界が目の前に広がります。
写真は、レイキャヴィク(アイスランド)のヴァイキング博物館に展示されていた地図。


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by terakoyanet | 2018-01-13 23:59 | 雑感・授業風景など | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 11日

新しい旅のすすめ その2

テクノロジーの進歩によって私たちの行動の選択様式が変容を遂げたいま、旅の方法にも大きな変化が生まれています。Google MapやGPSに依存した新しい旅のかたちは、そんなのは本来の旅じゃないと揶揄されがちですが、しかし、新しい技術を自分ができる範囲で存分に使いこなしながら、新しい旅のかたちを発見していくというのは、存外に楽しいものです。

昨年オスロに行ったとき、私はこの街について事前に何も下調べをしていなくて、ムンクの絵とオペラハウスさえ見たら、あとはのんびりと近くの低山を歩きたいと思いました。そのときに活用したのはグーグルマップです。
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どんな湖かわからないけれど、とりあえず地下鉄で〇〇駅まで行けば、徒歩10分で湖に着くらしい。
そしてその湖とそこから西に5kmのこの湖の間に細い道がある。これ、トレッキング用の道じゃないかな。
さらにその湖からは登山道っぽい道がある…。

何の確証もない状況で、グーグルマップだけを頼りに歩き進めていくと、ピカピカに磨き上げたような鏡のような透明度の湖があったり、ちゃんと整備された道が確かにそこにあって人が楽しげに歩いていたりして、初めての場所なだけに緊張感がありつつも、それがいやでもほぐれてしまう瞬間というのがあって、それがとてもかけがえのないものに感じられるのです。
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この日は結局、地下鉄の料金を払っただけで、そのあとはグーグルマップを頼りにオスロ市内を一望する低山のてっぺんにたどり着いて、ガイドブックがなくても存分に楽しい時間を過ごすことができました。
(そのあと地球の歩き方やロンリープラネットなどのガイドブックを見ても、この美しい低山のことは全く載っていなくて、まさにグーグルマップが運んでくれた縁なのだと感じました。)



先月、アメリカとメキシコを訪れたときは、Uberをさかんに活用しました。
Uberは、海外を訪問する人たちにとっては革命的なアプリです。
乗車場所、降車場所を予め指定できるし、支払いはすべてクレジット決算だから、これまでのタクシー利用に比べて圧倒的にストレスフリーです。
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海外に行くときには身の安全の担保が課題になると思うのですが(特に女性は)その意味でもUberはあまりに革命的発明です。メキシコはこれまでタクシーは危険だと言われ続けていました(もともと言われすぎだったと思います)が、長年、国が総がかりで対策を講じても達しえなかった安全性への懸念を、Uberというひとつのアプリが、経済や治安の問題をある意味で飛び越える形でひとつの解決の道しるべを示したということは、手ばなしですごいことだと思います。

ただし、Uberが万全というわけではありません。乗車場所が大きな施設の場合には、待ち合わせがうまくいかなくなるときもありますし、キャンセル料のリスク等もあります。また、小さな町にはドライバーがいないので、そこまで行けても帰れないなんてこともあります。またネットが不安定な場所、繋がらない場所では、Uber自体が使えなくなるので、それに頼ろうとしていた場合、途方に暮れることもあるでしょう。
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メキシコシティではタクシーは一切使わずにUberに頼りきり


新しいテクノロジーによってどんどん便利になり、新しい旅の可能性が広がっていきます。でも一方で、どれほどに便利になろうとそれで万全ということには決してなりません。自分がいる場所の環境を思い通りパーフェクトにコントロールすることなんて土台無理なことですし、何よりも、変化しやすい自分自身の身体そのものに万全を期待することができないのです。しかし、だからこそ私たちはいつまでも旅を楽しむことができます。どれほどに新しいテクノロジーにより、旅の可能性が広がろうとも、一寸先の未来は誰も手中にできない。だからこれからも旅は続きます。


今日は旅の達人、石川直樹さんがとらきつねに来訪します。
石川さんは、新しい道具を使うことに躊躇がない一方で、その身ひとつで自らの知恵自体を道具に変えて世界を横断してきた、柔らかい身体=思考の持ち主。とにかく楽しみです。



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by terakoyanet | 2017-10-11 09:11 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)
2017年 09月 04日

弱者を他者に仕立てること

昨年、ノルウェーのオスロを訪れたときに驚いたのは、路上生活者の数の多さである。街中を歩いていると、夏でもひんやりする空気の中に、表情に乏しい大柄な男性たちが座っている。初乗り550円の地下鉄の改札を多くの人が次々とくぐり抜けるすぐ隣に彼らが佇んでいる姿を見たとき、世界最富裕国ノルウェーという無意識の期待感に冷や水を浴びせらた気分になった。しかし、ノルウェーと言えば、世界に名だたる社会福祉先進国である。さらに、一人当たりのGDPは日本の2倍を超える数字であり(これは、バブル期に一人当たりのGDPで世界トップ3に入った記憶を残している人たちにとってはいささか衝撃的な数字である)世界最富裕国という称号に、数字上の偽りはない。

日本では10年前、20年前より、路上で生活している人たちを見ることが随分少なくなった。あのとき地下鉄にいたおじさん、おばさんたちはいまどうしているんだろうと考える。日本の路上生活者は統計上でも減少しているそうだ。それには支援団体の努力のおかげもあるだろう。しかし、日本の高齢化と貧困化はかつてより悪化しているのではないか。貧困する社会の中で、路上生活者の数を減らすことに一体何の意味があるのか。私は世界最富裕国の首都を歩きながら考えた。

私はいまメキシコの世界遺産の街、サンミゲル・デ・アジェンデにいる。メキシコで最も美しいと言われる、スペインのコロニアル建築に埋めつくされたこの街にも、路上で生活する人たちをあちらこちらで見かける。
昨日の夕方は、ある老夫婦らしき二人が路上に座っていた。擦り切れたカセットテープのような輪郭に乏しい音楽が小さなラジカセから流れていて、老父は弦が3本しかない小さなギターをその音楽に合わせるように1本ずつ弾いており、老婆の方は、その隣で左手の肘から上だけを動かしてマラカスを鳴らしながら、右手にはお金を入れてもらうための小皿を抱えていた。演奏には何の技巧もなく、そこには貧しさだけがあるように見えた。

しかし、貧しい二人は、そのとき確かに街に包まれていた。多幸感に包まれるその街に、彼らが存在していることに矛盾はなかった。彼らは間違いなくそこにいてもよい存在であり、だからこそ彼らの拙い演奏は、街の音に心地よく紛れていた。

日本で路上生活者の問題を語るときに余所余所しさがつきまとうのは、彼らがはじめから私たちの仲間ではないからだ。弱者ははじめから存在を否定されていて、その否定自体は省みられることなしに、それを解決すること、抹殺することに力が傾注されている。ユニバーサルデザインという言葉が踊る中で、まん中に手すりをつけるベンチがたちまちに広がる世の中の本体、そして、弱者を他者に仕立てようとする自分自身の本性について、深く考えさせられる滞在になりました。


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by terakoyanet | 2017-09-04 15:20 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)
2017年 07月 05日

古代ローマの遺跡、フォロ・ロマーノへ

昨年、ローマに行って、はっきりと自覚するようになったのは、いまも生きている遺産は面白いけれど、死んでる遺産は面白くないということです。

教会巡りがなぜ面白いかと言えば、その場所がいまそこに住む人々の生活と直接に関わっているのを感じるからです。その点、古代遺跡というのは老朽化した古い箱庭を見せられているようであまり面白くありません。

フォロ・ロマーノは世界遺産の凄まじい遺跡ですが、すでに死んでいるという意味では面白さに欠ける場所でした。

でも帰ってきてしばらく経ってそのとき撮った写真を見ると、すごいな、と思わせるのは、遺跡がすごいのか、それともいまの写真の技術がすごいのか。

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古代遺跡は死んでいる、と話しましたが、実はローマには、死んだ遺跡が人々の生活風景にそのままなじんでしまったという風変わりな愛おしい場所もあります。

そのうちご紹介したいと思います。


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by terakoyanet | 2017-07-05 12:59 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 14日

ローマのサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂

ローマの三大バジリカ、サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂。国東出身のペトロカスイ岐部は、3年もの年月をかけてローマに辿り着き、この荘厳な聖堂で司祭に叙階された。
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その後、彼が凄絶な殉教を遂げるまでの話は遠藤周作が幾度か描いた通りである。すでに「転んで」いたフェレイラ(沢野忠庵)に棄教を迫られても揺るがず、穴吊りになっても他の信徒を励まし続けたために、とうとう穴から出されてしまうなど、殉教者たちの中でも特に強靭な精神の持ち主だったことが知られる。
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「沈黙」から13年も経過した後に「銃と十字架」でペトロ岐部の生涯を描いた遠藤の内面について考える。「沈黙」に比べるとドラマ性に欠ける「銃と十字架」。でも一方でペトロ岐部の苦しみの生涯に、ただひたすらに寄り添おうとする筆致には迫力がある。
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ローマでの体験が、ペトロ岐部の強靭な生の支えになったことは疑う余地がない。彼の心の中の神は決して沈黙しておらず、最期の瞬間まで生き続けた。きっと彼は神を見たし、神を知っていたのではないかと思う。
そのことは私にとって、驚異であり、大いなる謎である。遠藤もこの謎を自らの掌に手繰り寄せたかったのではないか。そんなことを想像する。
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ローマのバジリカの中に座っていると次々に私と対話しようと近づいてくる人たちが現れては消えていった。そして、ペトロ岐部もそのうちの一人だった。

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by terakoyanet | 2017-06-14 09:28 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)
2017年 05月 22日

アッシジ巡礼

暑い日差しの中、アッシジ駅からとぼとぼと15分ほど歩き、丘陵上に広がるアッシジの街並みが見え始めたときには、自分でも思いがけないほど心の奥底が揺さぶられるのを感じました。
もともと私はアッシジに強い思い入れがあったわけではなく、そこに行こうと思ったのは、前月に帰省した際に父が行ったほうがいいよと言ったからというそれだけの理由でした。だから、この町が私を待ってくれていたような、まるでこの町を訪れることが、私の人生の中で必然として以前から決まっていたかのようなそんな感覚が自分に訪れたことはとても不思議でした。
喧騒のローマ市内から移動してきたことも関係しているのでしょう。空と緑がとても美しくて、丘陵の町は太陽を浴びて眩いほど輝いて見えました。
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50分ほど歩いたでしょうか。ようやくアッシジの町に着きました。地図で見ると駅から3~4kmほどの距離だったので楽勝かなと思ったのですが、日差しと坂道のせいで案外疲れました。(駅からは公共バスもあります。)
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とうとう憧れの町に着いた。すっかりそんな気持ちになっていましたので、いま私がこの場所にいるということ自体にいまいち現実感がなく、意識がやや朦朧としていました。

こんなときは食べたり人と話したりすることで現実感を取り戻すことができます。ということで、通りかかったレストランへ。
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観光地のレストランですから存外な出費になりましたが、とにかく凄まじく美味しいパスタ。
イタリアで食べるパスタは太陽の味がします。日本のパスタよりずっとアレンジが少なくて、素材の味だけなのに、なんでこれほどに美味しいんだろうと毎回ふるえるような感動があります。

店の女性スタッフに「地震は大丈夫でしたか」と尋ねると、アッシジは揺れはしたものの被害はほとんどなかったとのこと。(※イタリア中部では2016年8月以降、複数回大きな地震が起きています。) アッシジも1997年の地震では聖フランチェスコ聖堂を始め、町の多くの建物やフレスコ画などの文化財が大きな被害を受けました。(現在では見事に修復されています。)

レストランで現実感を取り戻した私は、聖フランチェスコ聖堂に向かいました。
青空に白壁が映えて美しいです。
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聖フランチェスコ聖堂内部では、その空間に身を浸すことに専念したため写真を撮りませんでした。
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ジョットとその弟子たちが描いた聖フランチェスコの生涯を描いた28枚のフレスコ画は本当に素晴らしかったです。特に有名な「小鳥への説教」には心に染み入るような美しさがありました。(この画像のみWikipediaより) 私が聖フランチェスコという人物に特別な魅力を感じるのは、彼のエピソードのひとつひとつがどうしようもなく人間くさいところです。そうやって人間味があるからこそ、それが反転したときに私たちは彼の行いにはっとさせられ、その存在を特別なものと感じます。

アッシジでは、他にも、丘陵の一番高いところにある城郭(Rocca Maggiore)まで登ったり、小さな聖堂を訪れたりしました。小さな聖堂で一人跪いていると、不思議と小さい頃のいろいろな感情が蘇ってきました。

カトリックには「告白」という制度があって、自分が犯した「罪」を神父の前で詳らかにしなければなりません。(一般には「懺悔」と呼ばれているものです。) 告白という制度によって、人は自らの「罪」を常に問い続けなければならなくなります。四六時中、これは罪だろうか、また罪を犯してしまった、そういうことを考えながら、いつでも頭の隅に罪悪感を抱えたまま生活をすることになります。しかも、どれだけ「告白」をしたところで、自分の罪はなくなることがありません。告白を終えたとたんに罪が蘇生します。罪は行為だけでなく内面にも存在するものなので、心が罪を犯すことは避けがたく、いつでも罪悪感が心を絞めつけます。

質素な聖堂の中でそうやって小さい頃の罪の感情を思い出していたときに、ああ、これは幼い自分にとって、案外苦しいことだったのだな、と不意に気づかされました。そうやって、苦しいことだったと気づかされ、そして、苦しいと思っても良かったのだと気づかされたとき、長い間、心を絞めつけていた軛のようなものが解除されるのを感じました。

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アッシジを訪問する人は、聖フランチェスコ聖堂だけでなく、アップダウンの激しい町をてくてくと歩いてみてください。きっといろいろな発見がある良い時間になります。
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by terakoyanet | 2017-05-22 08:35 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 20日

ディック・ブルーナの町、ユトレヒト

アムステルダムに着いた夜。
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妻はまだ時差ボケで辛そうだし、また明日の夕方にはドイツ方面に移動になるし、明日の午前は近場に出かけよう。そう思ったときにふと浮かんだのがユトレヒトでした。
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ユトレヒトはアムスから約30キロ南下した場所にあります。列車で30分弱で到着。雨上がりの涼やかな空気。ユトレヒトと言えば、ディック・ブルーナの町。
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ディック・ブルーナ ハウスはきっと小さなお子さんと行ったら特に楽しい場所。
小さい子たちがナインチェ、ナインチェ(ミッフィーのこと)と言いながら走り回っています。

それにしても、ミッフィーというキャラクターはあまりに隠喩的で、そのデザインはあまりに簡潔に完璧で。

うさ子さんについて、閉ざされたように見えるその口について、
キャラメルを万引きしてしまうような弱い心を持ったうさ子さんについて、
一見、幾何学的な曲線ながら、よく見ると点画のように浮かび上がってくるその輪郭について、
考え出したらきりがありません。

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ユトレヒトは静かな町ですが、オランダを代表する鐘楼であるドムトールン付近は活気があります。(ハウステンボスのドムトールンのモデルです。)
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またそのうち続きを書きます。


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by terakoyanet | 2017-02-20 06:54 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)