杖立温泉のみちくさ市へ
2016年 11月 10日
2ヶ月に1度のペースで開催されている杖立温泉みちくさ市、本当は前日から宿泊して楽しみたいところですが、それはどうしても叶わないので、今回は早朝6時からN先生と出かけました。大分自動車道に入ってしばらくすると、目前にせまった山と山のはざまに雲海が広がっていて、初冬の朝の美しさをつくづくと感じながら杖立に向かいました。

日田インターからはR212号線を南下します。熊本地震の影響で4カ月もの間通行止めになっていた国道。複数箇所が片側通行であるなど、現在でも影響が残っています。到着直前に「ここのダムによって沈められた集落はどんな町だったんだろう・・・」などと言いながら通過した松原ダムが、まるで台湾の絶景地として知られる日月潭さながらの息をのむ美しさで、初冬の早朝に出かけることで出会えたさまざまな景色に顔をほころばせながら、インターから40分弱でいよいよ杖立温泉到着です。

普段の晴れた日のみちくさ市は、桜橋下の蒸し場前で行われているのですが、今回は11月となり外の寒さが厳しいため、「杖立温泉会館」が会場となっていました。こちらは杖立集落にかつてあった分校跡の木造校舎。

私もN先生も、小学時代に木造校舎を経験した世代なので、廊下の雑巾がけしたよねーなどと話しながら、ワクワクと会場へ。



地元旅館の料理人の方々(米屋別荘さん、旅館よろずやさん)が、地元の食材を最大限に生かしてつくった朝定食は予約制。当日に電話予約してみたのですが、定食完売で、私たちはアラカルト(写真)をいただきました。温泉水の蒸気を使ってつくられたお料理の数々。もう、本当に、お世辞なんていっさい抜きで、絶品!とてもとても美味しくいただきました。朝市でこれだけ本気のお料理が出るなんて素晴らしいです。

◎11月 みちくさ市の献立
(A定食)
小国原木椎茸と黒豚の焼売 竹の子芋と栗 銀杏の餡かけ 冬至南瓜豆腐
(B定食)
肥後赤鶏のつくねみたらし餡 阿蘇高菜ピリ辛出汁巻き卵 小国大根の風呂吹き 紅葉麩
(AB共通)
蒸し野菜サラダ(かぼちゃ・人参・いんげん・甘藷・厚揚げ) デュッセル特製ソーセージ 山菜おこわ 味噌汁
(アラカルト)
―――
こちらのみちくさ市は、2004年から杖立温泉に住み、住民の立場からまちづくりにかかわってこられた、九大の専任講師、田北雅裕さんとそのゼミ生たちが、杖立温泉観光協会、住民の方々と協同して運営なさっています。会場に入ったとたん、フレッシュな女の子たちが明るい笑顔で迎えてくれるのですが、彼女たちが、田北ゼミ生の子たちですね。(写真撮らせてもらったらよかったです。)
早朝からのイベントですから、前泊してイベントの運営に参加する彼女たち。日ごろ考えていること、研究していることの「実践の現場」を見ることで、きっといろいろな刺激を受けるでしょう。特別な場所で特別な空気を味わうことができている彼女たちを(かつて同じ学生だった者の目線で)とてもうらやましく思いました。

みちくさ市の会場では、いくつかのお店が出展されています。
今回の会場では、コーヒー(Carubon Companyさん)、ハンドクラフト(KIKORIさん)、お豆腐(小国のゆめさん)、パン(ASO DELIさん)などが出品されていました。

私が会場の物販で買ったものをひとつご紹介。
こちらはなんと地元のみねおばあちゃん(御年98歳!)が味噌からつくった「にんにくみそ」。
アツアツご飯にかけて食べましたが、最高でした。
みちくさ市に参加する人たちは、朝日を浴びた杖立川沿いに立ち上る美しい湯煙を見ながらこの会場を訪れるでしょう。そして、出される朝ご飯を通して、そして物販とそこにいる地域の人たちを通して、杖立の、小国の素晴らしいところを次々に発見していくでしょう。さらに、朝市に参加したあとには、それぞれが気持ちのよい朝風呂に入りに行くでしょう。
そういったこの土地ならではのよいところと自ずと出会えてしまう。この朝市の魅力はそこに尽きます。なんて楽しい朝。
このような有機的な循環を生み出すことは、決して一朝一夕の思い付きでは不可能で、この土地に住み、十年以上土地と直接にかかわってきた人だから可能になったことがあると感じました。そこらへんのことも、今度の11月23日にとらきつねのイベントに登壇する田北さんに伺ってみたいなと思いました。






朝食を食べ終わって外に出ると、朝霧が消え、青空が広がっていました。
杖立温泉の川沿いの景観と、温泉街らしい古い町並みは本当に魅力的で、もう心をつかまれてしまいました。
お風呂は、今回のみちくさ市でお料理を出された米屋別荘さんへ。(*入浴のお客様が不在のタイミングで撮影させていただきました。)



源泉が直下にある、迫力のある温泉でした。打たせ湯があり、蒸し風呂もあり、清潔感のあるすばらしいお風呂でした。筑後川水系の温泉は、肌になじむ泉質のお湯が多いのですが、こちらのお湯もやはり柔らかな感触のお湯で素晴らしかったです。

正午までに福岡に戻るというノルマがあった私たちは、後ろ髪をひかれる思いで再来を誓って魅力的な温泉地を去りました。
次回のみちくさ市は2月開催とのこと。楽しみですね。
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今回、私たちは時間がなくて行くことができなかったのですが、今回のみちくさ市の案内に載っていた「おすそわけ野菜のレストラン松原」さんもとても気になっています。
今回のみちくさ市では、来場者の方々がそのあとレストラン松原に行ってお食事をすれば、「小鹿田DE杖立プリン」をいただくことができる、という特典がありました。レストラン松原は杖立温泉から県境を超えたお隣の大分県日田市の中津江上津江地区にあるのですが、こういった、行政区を超えて協同してイベントを行う取り組みも、やわらかな実践をなさっている田北さんたちならではのアイデアだなと思いました。
レストラン松原では、この地区で暮らす高齢者の方々が自家用に育てた野菜を「おすそわけ」していただくことで、それを使用した料理を出されています。高齢者の見守りをかねたこのような取り組みのアイデア、とても面白いですよね。
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田北雅裕さん、坂口恭平さんが登壇するとらきつねのイベントは11月23日、勤労感謝の日に開催です。

定員のため、お申込み受付は終了しています。
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原鶴温泉で
2016年 05月 05日
原鶴温泉のなかでも入ったことのなかった2つのお湯に入りました。(光泉と佐藤荘に入りました。)
浴槽に入る前、シャワーを浴びている時点で、お湯がヌルヌルしていて、これはすごいやと思い、浴槽に入ると、とろけるような湯ごこち。原鶴温泉ってこんなにすばらしかったっけと驚きました。(特に、佐藤荘さんはうたせ湯もあり、浴槽は清潔で広く、もちろん源泉掛け流し。本当に素晴らしかったです。)
5月5日の祝日、各地が賑わっているのに、そしてこんなにいいお風呂なのに、浴槽を独占してしまったことに意外なうれしさを感じつつ、ほてった体にさわやかな風をあびながら、おまんじゅうがおいしそうな近くの小さなお店へ。
そのお店でまんじゅうを注文すると、近所の目元がきりっとしたおばあちゃんに「あんたどこから来たとね」と話しかけられ、そこから、私は大刀洗出身で、原鶴温泉の橋を渡って筑後川の河原までよく来ていたこと、そこで菜の花やつくしをとったこと、久しぶりに入った温泉のお湯がすばらしくて驚いたこと、おばあちゃんは近くの小さな民宿ホテルを運営していること、おばあちゃんの風呂もいいけど私が選んだ2件はお湯がおばあちゃんのところと同じで間違いなくいいお湯だということ、おばあちゃんのお孫さんは福岡市の小笹でなんやようわからんしゃれたものを売っていること、そんな雑談をしているうちに先日の地震の話に。
あーんた、ここはなーんも被害受けとらんのに、なんか知らんばってんキャンセルとかがでて大変やったとよ。原鶴は、ゴールデンウィークでも、いつもほとんどの宿が埋まってないんに、今回の地震は、弱り目にたたりよ。(原文ママ)
被災は大変ばってん、ここはもともと被災してるようなもんやけん(ここでおばあちゃんとまんじゅうやのおばちゃん大笑い)、あんた、湯布院とか人が来んとか言うばってん、同情できんとよ。あんたみたいな若い人が来たいって思うものがここにはなーんもなかやろ。私らはいいお湯につかれればよかばってん、若い人はそれじゃものたりんのやろうから。〇〇旅館は3年前、若い人に使ってもらいたいってがんばってきれいに改装したんよ。でも、ここに人が来んから改装してもだれも気づかん。改装したのに人が増えんとよ。かわいそかよ。
被災というのは、日常から突然突き落とされる恐ろしさがあり、それはもう耐えられないものだけれど、一方で、日常から困った状況にある、そんな温泉地でふとこぼれるような話が聞けたことが、今日一番心に残りました。
私が行政だったら、吉井の町並みと原鶴温泉をむすぶサイクルロードや韓国のオルレのようなあそびマップを作るのに、どちらもすごい遺産を持っているんだから、そんなことを頭でグルグルと考えながら、帰路に就きました。

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佐賀の七山温泉
2015年 06月 10日
絶景の連続、アイスランドの自然 その2
2014年 10月 24日
剥き出しの溶岩台地を苔が覆い尽くす大地。高所にきらめく氷河。溶岩が波に洗われてできた黒砂海岸。凄まじい流量の滝。各地で吹き上げる噴煙。陽光射す農園。そして世界最大の露天風呂、ブルーラグーンの写真も。
















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九重の秘湯―川底温泉・法華院温泉・長者原温泉・筌の口温泉―
2014年 09月 24日
中でも特に気に入ったのが川底温泉。


写真の浴槽は混浴。(※女性風呂は別棟にあり)
浴槽の底には丸石がしきつめられており、浴槽内を歩くと、まさに川の中を歩いているよう。
上段の浴槽の底からはやや熱めの温泉が湧出していて、それが段を下るにつれ温度が下がるしくみ。
現在こちらは旅館業を廃止していますが、この素晴らしい浴槽を残し、日帰り客を迎え入れているのはありがたいことです。鄙びた佇まいの中で清涼なお湯が肌になじむのを感じる時間は、他にかえがたいものです。
次に法華院温泉。こちらの温泉は、九州の登山好きには非常に有名です。
九重の長者原登山口から坊ガツル方面に歩いて約2時間の行程で到着する、九州で最も標高の高い場所に位置する温泉です。(※今日紹介する温泉の中で、唯一車では行くことができません。)
こちらの温泉に行く方には、ぜひともそこにたどり着くまでの行程を楽しんでいただきたい。太陽光を反射してきらめくタデ原に胸を躍らせながら足を進めてほしいと思います。

この看板の前まで来たときのうれしさといったら。

秘湯好きにはおなじみの「日本秘湯を守る会」の提灯。

湯の花が舞う、白濁の酸性湯は絶品。
しかし長湯は禁物です。だって帰りの行程がありますから、身体がダルくなってはしかたがないのです。

次に長者原温泉。
こちらは長者原登山口にある、長者原ヘルスセンター(食堂&売店)の2Fにあります。
行楽客・登山客でごったがえす長者原登山口にあるのですから本来は秘湯のわけがないのですが、

独りでした。
私が行ったときには誰も入ってきませんでした。
世間は夏休みで、1Fの売店がごったがえしていたのにかかわらずです。
1Fは人で溢れているのに2Fには私一人しかいない。
そのことが、この湯船のマル秘感を極度に高めていました。
きっとみなさん、もっときれいで広い温泉が周辺にはありますから、そちらに行くのでしょう。
でも私は、ここで十分、というか、ここ好きです。きれいすぎる温泉は余所余所しさが先だってしまいます。
登山を終えたばかりの身体を、登山を終えたその場所で、そのまま湯船に浸すことができるなんて、素晴らしいことです。湯加減も絶妙でした。

そして最後に九重大吊橋の近くにある筌の口(うけのくち)温泉。川底温泉や壁湯温泉などと並んで、九重九湯のなかでも特に素晴らしいと聞いており、以前から行きたいと思っていました。

こちら新清館は露天がとてもいいと聞いていましたが

確かに素晴らしかった。濃い緑に囲まれ、川のせせらぎが聞こえる風呂に入っていると、辺りの空気が親密さを湛えて身体の中に入り込んできます。
浴槽の周りは温泉の成分のために変色していて、それが温泉の力を感じさせ感慨深いものがあります。
泉質としては、久住の長湯温泉や七里田温泉などと同じ強烈な炭酸泉で、九重ではめずらしい泉質です。
改めて九重の温泉のすごさを思い知った夏でした。
秘湯は女性にとってはややとっつきにくい部分もありますが(身だしなみに必要な設備が整っていないなど)、機会があれば、その奥深い味わいをお楽しみください。
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佐賀の古湯温泉ONCRIヘ
2014年 06月 17日

リニューアル後、初めての訪問。


外観も内装も思った以上にスタイリッシュな仕上がりで、以前からの大幅な変化に驚きました。
イマどきの宿という感じで、女性に人気が出そうです。

レストランには窓が広く取られており、眩いばかりの緑が目の中に飛び込んできます。
座席の配置も絶妙で、プライベート感を味わいながら、ほっと穏やかな時間を過ごすことができます。



お風呂もやはりスタイリッシュ。とても清潔感があり、そのすがすがしさに心身が喜んでいることを実感できます。
ランチ、お風呂ともとても良い時間を過ごすことができました。
一方で私が思った本音をいくつか。
現在、古湯温泉を訪れる方のなかで、ONCRIのみの訪問・滞在で帰ってしまわれる方が多数いらっしゃるとのこと。これはあまりにもったいない。
私はONCRIを訪れただけでは、古湯温泉のよさの半分も味わったことにならないのではないかと思います。
ONCRIは循環湯ですが、古湯の温泉通りには幾つもの掛け流し湯を味わえる古い旅館があります。
古湯は「ぬる湯」にその特徴があります。
古湯のお湯のよさはとても繊細なもので、循環ではそのよさが半分も残りません。
循環ではお湯のよさがわからず「ただぬるいだけ」と感じる人もいるでしょう。
しかし、掛け流しのお湯に浸かればきっとそのよさを強く実感できます。
例えば砂の下の岩盤から源泉が湧き出てくる鶴霊泉のお湯は、湯の柔らかなぬめりが全身をつつみ、湯のなかで身体を泳がせるたびに、快さが全身をかけ巡ります。ぬる湯の気持ちよさは、お湯が身体になじむことにあり、まるでお湯と自分の身体が一体になったかのような特別な感覚を味わうことができるのです。その意味で、わたしはやはり古湯に来たら、掛け流しのぬる湯に入ることをお勧めしたいのです。
お食事の面でも、ONCRIのレストランはロケーションが素晴らしく、間違いなくおすすめですが、もっと気楽に格安で、季節ならではの食事をとることができる小さなお店が周辺には点在しています。
ですから、ONCRI以外の楽しみを知り、この地区の懐の深さを実感することで、印象深い訪問・滞在になるのではないかと思います。
佐賀の古湯温泉は、福岡から車でたったの1時間ほど。
交通機関を使う方は、本数は少ないですが、佐賀駅からバスが出ています。
バスの時間が合わない場合、少しお金がかかりますが、高速バス佐賀行きに乗って、高志館高校前で降り、そこに有明タクシーを呼んで(5分くらいで来ますよ)向かうことをおすすめします。
古湯温泉で、ぜひよい滞在を。
(ちなみにお隣の熊の川温泉も激おすすめですが、また次回。)

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川棚温泉交流センター
2014年 02月 22日
当日はカメラを持っておらず、スマホで撮った貧相な画像しかありませんが。


山口県には注目すべき現代建築が複数存在するのですが、こちらの建物もそのひとつ。
一見すると幾何学的で人工的に見える建物ですが、そのフォルムは周囲の山容と見事な符合を見せます。

床面がやや波打って見えるのがおわかりになるでしょうか。
これは刷毛目の扇形模様が無数に連続していることによる視覚効果なのですが、これにより建物自体がまるで生命を宿しているような印象を受けるのです。空間と時間が静止した、抜け殻のような箱もの空間とは一線を画する建築です。

センターの中にはコルトーホールと烏山民俗資料館があります。
私たちが訪れたとき、資料館では雛祭・雛人形に関する興味深い展示が行われていました。
コルトーホールの名はピアニスト、アルフレッド・コルトーからつけられたもの。

交流センターの外には、彼の没後50年を記念して?2012年にできたばかりのコルトーの銅像(青銅製)があり、響灘とそこに浮かぶ厚島(=孤留島)を見下ろしています。
ホールの外に佇むコルトーは何だか虚ろで寂しげに見えました。
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九州随一のクラシックホテル、雲仙観光ホテルへ。
2014年 01月 23日

昭和10年創業の「雲仙観光ホテル」は、雲仙地域が日本最初の国立公園に指定されてまもない時期に、日本の山岳リゾートの先駆けとして建てられた歴史のあるホテルです。(国の登録有形文化財、近代産業遺産等に指定されています。)
長崎はいまでこそ九州の端っこにある、交通の便が悪い田舎というイメージがありますが、大正・昭和の作家たちの文章を瞥見すれば、いかに昔の長崎はエスプリに富んだ土地だったかということが滔々と語られていて驚かされます。
このホテルが日本で初めて「観光」という名を冠して開業した昭和初期には、上海-長崎航路を通してたくさんの外国人が長崎に上陸していました。スイスのシャレーのような外観をもったこのホテルは、そのような外国人が温泉保養のために訪れる宿泊施設としての役割を果たしました。
このホテルのまず素晴らしいところは、施設自体にとってつけた不自然さがないこと。
雲仙の自然と共存する佇まいがあること。
そして「雰囲気」「イメージ」といった曖昧なもので誤魔化すことのない、「本当によいもの」がこのホテルには宿っているということ。床や壁の設えも調度品も質が高く、客室はウィリアム・モリスの壁紙が空間を穏やかに彩ります。
日本のレトロな宿は、建物が古いせいで夜の寒さ、隣の客室や廊下からの物音などが気になることが多いけれども、このホテルは近年に大改装を経たためか、「古いから仕方がないよ」というような雰囲気を対価に我慢しなければならないようなことが何もありません。



「食べものの味を味える人はその他のことも味えるのであって、私はエピキュリアンが長崎には多いような気がしてならぬ」(『切支丹の里』)と遠藤周作は言ったけれども、長崎の食の素晴らしさはいまでも健在。
雲仙観光ホテルのダイニングの食事も例に洩れず素晴らしく、長崎近海の海の幸、雲仙半島の山の幸が贅沢に使われ、繊細なアレンジを楽しめます。


箱根や軽井沢にも同等のホテルがあるけれど、雲仙という土地柄か、それらのホテルよりも格安に宿泊することができることも良いです。
ということで、エピキュリアンになりきって楽しめる雲仙観光ホテルはとてもオススメです。

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山陰の秘湯、岩井温泉
2012年 12月 11日

岩井温泉は山陰一古い歴史を持つといわれる温泉地で、その歴史は1200年と言われています。
JR山陰本線岩美駅からタクシーで6・7分とアクセスは良好です。(鳥取駅や岩美駅からバスもあり。)
温泉街には3軒の旅館と共同浴場があるのみで、静かな情緒を湛えています。
私が訪れたのは岩井屋。
岩井屋は今年で築76年(再建)になる木造の宿で、鳥取民芸の調度品が並んだ和の空間はとても素晴らしく、お湯は足元湧泉、お食事も山陰の新鮮な海の幸が美味しいという贅沢極まりないお宿。







この温泉で何よりもうれしいのが、「いい湯だな」とお湯自体に感動できること。
足元のすのこの下から湧出するお湯が、浴槽をめぐり、軟らかく身体になじむ気持ちよさは、他にかえがたいものがあります。
鳥取岩井温泉。山陰の温泉の実力をまざまざと見せつけられる思いがしました。
風情や料理を含め、一級の温泉地です。
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山鹿はいいところ。 ~カフェ天聴とさくら湯~
2012年 08月 19日

山鹿市の豊前街道沿いには古くからの白壁の建物がたくさん保存されていて、それらをリノベーションした素敵なお店が並んでいます。
友人のTくんとたまたま素敵なお店を見つけて入ってみたところ、なんと数日前にオープンしたばかりとのこと。こちらの「天聴」は江戸時代の酒蔵を改装して、何年も前からカフェのオーナーのお母様が駄菓子屋を開かれていたそうです。これまでも、ギャラリーやコンサートなどのイベントも催されていたようですが、カフェとしてオープンしたことで、さらにそちら方面の需要が高まりそうです。

お店に入ると蚊取り線香のほのかな香りが漂っていて、なんだか懐かしい気持ちに。
扇風機が夏の夜の涼しい風を私たちのテーブルまで運んできます。

本棚にはたくさんの絵本が置かれていました。地元の方々への貸し出しも行っているそうです。

メニューはドリンクが中心。
まだオープンしたてなので、今度行ったときにはまたメニューが替わっているかもしれないと、少し期待しています。

今後、山鹿の豊前街道散策の拠点として利用できそうな場所だと思いました。
山鹿といえば八千代座。

山鹿では11月に「さくら湯」がリニューアルオープンします。

今回のリニューアルオープンに伴い、「さくら湯」が往時の木造の外観を取り戻します。
これにより、山鹿温泉街の魅力はグンと高まるでしょう。
熊本県北部では、すでに平山温泉がブームになりましたが、私は次に来るのは山鹿ではないかと思っています。
平山も山鹿もなんといっても柔らかい泉質が素晴らしい。最高に身体になじむお湯です。
しかも山鹿には八千代座と豊前街道という財産があります。(豊前街道には灯籠屋さん、金物屋さんなど昔ながらのお店、古民家を改装した素敵なカフェやギャラリーが並んでいます。)
山鹿には湯布院や黒川が決して真似できないような、余所行きではない昔ながらの自然な表情があり、とても魅力的です。
さくら湯が開湯をむかえる11月以降にまた足をはこびたいです。
とてもいい時間になる予感がします。
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