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オアハカのアレブリヘ

先日、イラストレーターの日高あゆみさんからイラスト↓をいただいたときに
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私がはっと思いだしたのが、メキシコのオアハカで出会ったアレブリヘ。アレブリヘは民芸品というくくりで語られることもありますが、世界的に知られる作家もいて、トライバルな感性を生かした現代のアートと言えるものだと思います。そのデザインの精緻さと美しさに、私はすっかり虜になってしまいました。

オアハカの郊外にあるサン・マルティン・ティルカヘーテ村には、アレブリヘのよく知られた工房がいくつもあります。工房はいろいろで、あまり魅力を感じない「お土産品」といった風情の作品が並んでいるところもあれば、強い生命力を放つ作品が所狭しと並んでいる工房もあります。モノはいくつかしかないけれど、そのいくつかが素晴らしい場所もありました。数年前にアレブリヘの職人であるおじいさんが亡くなってから、急に廃れてしまったように見える工房もありました。

観光客を受け入れて、制作体験をさせてくれる工房もあります。

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私は日本国内でも、たとえば窯元での色つけ体験・ろくろ体験などにあまり意義を見出さない人間なのですが、海外に行くと積極性が増すようで、少しだけ作業をやってみました。

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いくつかの工房を訪れましたが、やはり印象に残っているのは、サン・マルティン・ティルカヘーテ村を訪れた人が必ず訪れる、世界的に知られるハコボ&マリア・アンヘレス工房。

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ハコボさん、マリアさんとも制作中でしたが、日本から単身でやってきた私を大歓迎で迎えてくれました。
マリアさんは辞書を駆使してまで私に制作に関するさまざまなことを教えてくれました。

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ハコボ&マリア・アンヘレス工房は、オアハカ市の中心街にギャラリーをもっていて、ここも必見です。
村まで出かける時間がない人はここだけでも十分に楽しめます。

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デザインが細やかで、しかも天然染料を使った染色やはちみつによる接着などによる伝統的な製法による制作を行っていますから、決して値段は安くはありません。(でも小さいものなら手に届く価格です。)

メキシコの美は緻密です。私はアレブリヘに刻まれた文様の細やかさを見ながら、前日に見た聖堂内のめくるめく日の緻密さを思い出し、くらくらと目眩を覚えていました。この緻密さの由来を肌で感じたいから、またそのうちメキシコに行くことになると思います。

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by terakoyanet | 2019-10-17 01:21 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

現在、三菱地所アルティアムで開催中の「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」(企画協力Tara Books, ブルーシープ) に行ってきました。

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タラブックスは南インドの玄関口といわれるベンガル湾に面する大都市チェンナイ(旧名マドラス)を拠点とする出版社。『夜の木』『水の生きもの』をはじめとするハンドメイド本で世界的に知られています。

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今回の展示では『夜の木』の外国版のあらゆる表紙を見ることができたり、これまでタラブックスが出してきた本について、実物を手に取りながらその魅力に触れることができたりするのですが、私が特に心を揺さぶられたのは本の元になった原画の数々。トライバル・アートは、ややもすれば過去のもの、伝統的なものをいまの時代に再現したものと考えられがちですが、とんでもない、この絵はいまここに生きている絵なのだということをまざまざと見せつけられる思いがします。


展示に行かれた方は、ぜひ会場で上映されているビデオ類も見ていただきたいです。ある動画ではシルクスクリーン制作の行程を知ることで、いかに1冊1冊に手間がかけられているかということがわかって驚愕するし、別の動画では代表のギータ・ウォルフ、V・ギータや彼女だちといっしょに制作をしてきたアーティストたちの魅力と哲学をその言葉と表情からうかがい知ることができます。

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これらの展示を通して私たちは、タラブックスの新しい魅力に気づかされることになります。展示の中の文章にも書かれているとおり、タラブックスを有名にした(そしてここ日本でも人気がある)ハンドメイド本は、タラブックスの出版物のうち2割を占めるに過ぎません。つまり、タラブックスの魅力はハンドメイド本に留まりません。ハンドメイド本は確かに美しい。でも私たちはすぐにハンドメイド「だから」すごい、と話を顚倒させてしまう。ハンドメイドというのはあくまで良いものをつくりたいという意志の自然な発露でしかないのに、いつのまにかハンドメイド自体に価値を置いてそれに権威づけをしてしまう。考えてみたら世の中の「ブランド化」というのもすべてそういった心象のもとにつくられている。でも、タラブックスはそういった欲望に大切なものを奪われないように慎重に仕事を続けているし、私たちタラブックスが好きな人たちもその猥褻な動きを警戒すべきだと思うのです。

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インド・チェンナイのタラブックスにて(2018年9月)


私が昨年、チェンナイでギータ・ウォルフさんから話を聞いたとき彼女は、「ハンドメイドにかかわらず、新しい本の形、その可能性を探求している」と話していました。タラブックスは決してただ美しい本をつくっているだけではなく、それを通して世界の色と表情を少しずつ変えていくことに果敢にチャレンジしている出版社です。本のラインナップには、例えば教育に関するもの、女性や少数者(マイノリティー)の権利向上に関するものが多くあります。また、その制作物だけでなく、タラブックスという会社自体が、社内の一人ひとりの尊厳を大切にするという理念のもと運営されていて、そのことが社内で働いている人たちや制作に関わるアーティストの人生に明るい光を照射していることは、いくら強調してもしきれないくらいすごいことだと私個人は思います。(私自身、小さな会社を経営する人間として、会社で働く人の尊厳を守り、その人生を明るくすることがいかに大切なことかを頭では理解しているつもりです。でもほんとうにそれは一筋縄ではいかない大変なことだと思います。)

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訪問した日には、本の制作をしている工場に案内してもらい、働いている方々からさまざまな話を伺いました。


時間をかけて会場をめぐればいろいろなことが心に浮かんでくる展示になっています。会期は10月6日まで。ぜひ足をお運びください。


とらきつねでは10月2日(水)にタラブックスの展示を記念したトークイベントを開催します。今日・明日中にお知らせと予約を開始しますので、もうしばらくお待ちください。



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by terakoyanet | 2019-09-12 08:36 | 好きなお店 | Trackback | Comments(0)

若いころより旅が楽しくなった。そう感じるのは、旅の焦点が絞られてくるからではないでしょうか。
自分の興味の対象を心の深いところで理解して、それを羅針盤にして動いてみる。そうやって新しいものに出会うという楽しみ方は、年を重ねた人のほうがきっとうまくいくのでしょう。

私の今回の旅は、工藝風向さんでメキシコのブリキ絵に出合い、小野一郎氏(尾形一郎氏)の「極彩色メキシコ巡礼」(晶文社)を読む機会に恵まれなかったら、実現していたかどうかは疑わしいものです。そうやって、自分が出合った人やものに導かれ、自分がカトリックの家に育ったという過去の境遇と、現在の出合いの経験とが撹乱し、それによって生じた熱量に導かれた形で実現したのが、今回のメキシコ訪問でした。


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聖母の被昇天教会にある聖クリスト礼拝堂



予備知識を携えて出かけたはずなのに、メキシコのゴシック聖堂に圧倒され、魅了される旅になりました。
メキシコの聖堂は「祈り」の空間そのもので、その祈りの深さに、度々心を揺さぶられることになりました。

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受難のモチーフが多用された聖像たちはグロテスクですらあります。
しかし、その聖像たちを見たときに、私はこの祈りの強度をいつか確かに感じたことがある、そう気づかされました。どうしようもなく深い親近性が心の奥底からふつふつと湧き出てきたことを忘れることができません。

カトリックの数ある教えの中で、メキシコのこの地の人たちの心を捉えたのは、やはりキリストの受難です。
命を賭して人間に救いをもたらしたイエスの苦難は、苦しめば苦しむほど霊的な存在になることができるというメッセージを人々に与えました。切り落とされた自分の首を持つ聖人像は、自己犠牲の最たる姿を表すものでしょう。

カトリックは、北アメリカの古代信仰を否定する形で受容されたのではなく、古代信仰の分厚い地層の上に積みあげられる形で、この地で受け入れられました。カトリックの教会堂はしばしば古代遺跡の基礎の石盤の上に建てられているし、それらの遺跡の石がそのまま教会堂の建築に利用されています。

聖堂の血なまぐさい聖像たちは、アステカ時代の自己犠牲や生贄のデモンストレーションの残滓であり、同時に、カトリックと植民地支配を受容したこの地の人々の苦難をイエスの受難に託した姿そのものです。それはあまりに苛烈な表現であり、本来、祈りというものがいかに凄絶なものであるかということを、いま一度思い知らされるものです。
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しかし、この聖堂から祈りの苛烈さだけを抽出して読み取るのは、人々の暮らしを見る目をむしろ誤らせてしまうことになるでしょう。メキシコのブリキ絵を見ていると、ささやかな日々の暮らしの中に祈りがあること、神への信仰と周囲への愛情が穏やか結びついていることを感じさせ、温かい気持ちになります。
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今回ご紹介した聖堂があるトルコルーラは、オアハカ市から車で50分ほど東に進んだところにある町で、日曜日には大きなマーケットが開かれることでも知られています。
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メキシコのゴシック聖堂の記事、旅の記憶が消えていかないうちに、改めて書きたいと思います。



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by terakoyanet | 2017-09-12 10:53 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

アムステルダムに着いた夜。
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妻はまだ時差ボケで辛そうだし、また明日の夕方にはドイツ方面に移動になるし、明日の午前は近場に出かけよう。そう思ったときにふと浮かんだのがユトレヒトでした。
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ユトレヒトはアムスから約30キロ南下した場所にあります。列車で30分弱で到着。雨上がりの涼やかな空気。ユトレヒトと言えば、ディック・ブルーナの町。
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ディック・ブルーナ ハウスはきっと小さなお子さんと行ったら特に楽しい場所。
小さい子たちがナインチェ、ナインチェ(ミッフィーのこと)と言いながら走り回っています。

それにしても、ミッフィーというキャラクターはあまりに隠喩的で、そのデザインはあまりに簡潔に完璧で。

うさ子さんについて、閉ざされたように見えるその口について、
キャラメルを万引きしてしまうような弱い心を持ったうさ子さんについて、
一見、幾何学的な曲線ながら、よく見ると点画のように浮かび上がってくるその輪郭について、
考え出したらきりがありません。

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ユトレヒトは静かな町ですが、オランダを代表する鐘楼であるドムトールン付近は活気があります。(ハウステンボスのドムトールンのモデルです。)
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またそのうち続きを書きます。


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by terakoyanet | 2017-02-20 06:54 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

見どころの多い町ではテーマを決めてそれに基づいて巡るというのが、旅を楽しむコツのひとつだと感じています。ローマではさまざまなバジリカ、聖堂を巡り、モザイク美術を堪能しました。ほぼすべてのスポットが徒歩と地下鉄で廻ることができてありがたいと思いました。

◇サンタ・コスタンツァ霊廟(Mausoleo di Santa Constanza)4世紀
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◇サン・アグネス教会(Basillica di Sant'Agnese) 7世紀
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◇サンタ・プデンツィアーナ教会(Santa Pudenziana al Viminale) 4世紀
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◇サンタ・プラッセーデ教会(Santa Prassede all'Esquilino) 9世紀
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◇サン・ゼノーネ礼拝堂(Sacello di San Zenone) *サンタ・プラッセーデ教会内 9世紀
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その2に続く



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by terakoyanet | 2016-10-05 17:57 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

鈴木大拙館

先日、国語の授業で登場した鈴木大拙、昨日とらきつねで行われた青花の会でも講師の高木さんの口から一度だけ鈴木大拙の名が上がりました。

金沢に行ったとき、鈴木大拙館を訪れました。
海外の方ばかりお越しになっていたのがとても印象的でした。

先日インドネシアに行ったときも、鈴木大拙が好きなオランダ人に会いました。
私たちには全く別の生き方の可能性があるんだ。この本はそのことを私に示してくれた。
彼は私にそう言いました。
鈴木大拙館の設計は谷口吉生氏。
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空間には、とても良い気が流れていました。
そういった話をしたいところですが、私はなんとなくこういう空間に「しつらえられた感」のようなものを感じて落ち着かなくなってしまいます。整然としすぎているのです。
もっともこのように感じるのは私個人の問題です。
鈴木大拙の著作をゆっくり読むことができる空間もあり、深閑としたなかで心を整えるのに良い場所なのではないでしょうか。



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by terakoyanet | 2015-10-04 11:33 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

障害者アートについて

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とらきつねで、ひまわりパーク六本松さんのアート部門、PEECEPLANTさんの作品の取り扱いを始めました。
私は今回の販売開始にあたり、障害者アートを取り扱うということについて、いくつかのことを考えましたので、それについて記したいと思います。


私は9年前にこちらのブログに「障害者とは何か」という文章を書いたことがあります。私がそこで話したことは、「障害者なのに●●ができてすごい」という視点に対する強い違和感です。

私は障害者アートについても、障害者なのにこんな絵が描けてすごい、そんな視点があってはつまらないと思います。同様に、それが反転した、障害があるからこそ個性のある、感性の強い作品が描けるという視点もあまり好きにはなれません。

実際に障害のある方々と直接かかわりながら、アート活動への支援をしている方々は、それがあくまで「福祉」行為の一環であり、それが時に「アート」と矛盾するものであることに自覚的な方が多いと感じます。心と身体を使って、アート活動をする人たちと関わっているのですから。
障害者アートについて、或る錯誤に陥りやすいのは、私たちのような売り手であったり、それを買い求める人であるのかもしれません。「障害者」がつくるものはやっぱりイイネと、或るフィルターを通して、その作品を見てしまう。そして「障害者」の作る作品が分かる「私」自身が、さも「アート」の活動を担っているような錯覚を覚えてしまう。そういったことは多分に起こりえると思うのです。
フィルターがかかること自体は、或る意味仕方のないことです。それをしゃにむに否定しても何も始まらない。しかしそれを自覚しないことは、私は障害者の作品にも、その他の多くの「アート」たちにも失礼だと思うのです。「アート」自体が権威主義的な側面を内包していることは否めないとしても、まるでその側面だけを抽出したかのような露骨な消費のされ方はイヤなのです。やはり、アートはアートとして、そこにいてほしいのです。

ですから、私が障害者の方々の作品を扱うにあたってひとつ決めたルールは、好きなものを選ばせてもらう、ということです。それは、私自身が「目利き」の人間かどうかは横に置いておいて、一度、私自身が「好き」という視点(これもひとつのフィルターなのかもしれませんが)で選ぶという作業を通して、一度、障害者アートという枠から拾い出すことが必要だと感じたからです。障害者アートという障害者の支援の形に対し敬意を抱くこと、同時に、そこから意図せずに零れ落ちる強度を見ること。このふたつは矛盾していますが、矛盾をそのまま抱え込んだままに、それらに自覚的な活動をする人たちの躍動をこれからも見てみたいと心から願っています。

とらきつねに並ぶ作品たちを、ぜひ見に来て下さい。いま、工房まるの恵谷さんともお話しをしているところですから、さらにおもしろいものが並ぶことになると思います。




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by terakoyanet | 2015-10-01 06:23 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)

鹿児島のHANASAKAN Cafeヘ。

昨今の世相の不穏な動きに大地が怒ったのか、突如噴火警戒レベルが4に引き上げられた桜島。
レベル引き上げの前日、私は鹿児島市内にいました。

鹿児島大の工学部からトコトコと坂を登っていったところにある、HANASAKAN Cafe。
住宅街の道路の突き当たりにあるコンクリート打ちっぱなしの箱型の建物です。
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こちらのカフェは、Mizuho Oshiro ギャラリーに併設されています。
こちらのギャラリー、過去には村上隆や蜷川実花、荒木経惟、草間彌生、奈良美智といった人たちの展覧会が開かれるなど、鹿児島のアートの拠点として知られています。とらきつねでお取り扱いしている陶芸家、中里花子さんの兄、中里太亀さんの催しも複数回行われているそうです。

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天気がよければ内席とテラス席どちらか選ぶことができます。
幸い青い空が広がっていましたので、テラス席を選ぶことに。

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桜島と鹿児島市街を広く見下ろす高台に位置するカフェからの展望は素晴らしく
市街地の蒸し暑さが嘘のように心地よい風が吹いていました。

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食べ物も飲み物も場所になじむ穏やかな味。鹿児島に来て、いちばんほっとした時間でした。


隣にいた妻が、ハワイっぽい、キラウエア、と言い出したので、市街地と爆裂火口をもつ火山が同時に見える風景から、彼女がワイキキとダイヤモンドヘッドのことを言っていると察知し、キラウエアはハワイ島にあること、ワイキキとダイヤモンドヘッドがオアフ島にあることを解説したあとに、ハワイっぽく撮った写真。一瞬、アロハの風が吹いた気がしました。
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by terakoyanet | 2015-08-17 00:38 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

会田家の「檄」

話題の会田家。いつもふざけてて、てきとーで面白い会田さんですが、昨日発表された会田誠さんの文章はちゃんとしてて好きです。


「東京都現代美術館の「子供展」における会田家の作品撤去問題について」 会田誠


こんなことを子どもの中学生に言わせるなんて、という意見がネット上にあるけれども、こんなことこそ中学生に言わせるべきだと思います。
子どもに望むべきは傑出した高成績よりも、突出した批評精神だと私は思っています。




以下、「檄」の文面。

もっと教師を増やせ。40人学級に戻すとかふざけんな。先進国は25人教室がスタンダードだろ。少子化なのに。未来の資源に予算を回せ。教師を働かせすぎ。みんなが死んだ目をしているぞ。教師も生徒も。放課後部活に拘束しすぎ。部活をやってないヤツはダメという風潮。とにかく時間がない。もっとゆっくり弁当食わせろ。十分で食えって軍隊かよ。運動会が変。組体操やめろ。教科書に答が書いていない。回りくどい。読んでわからないものをつくってどーすんじゃい。教科書が独習者の邪魔をしている。教科書検定意味あんのかよ。カラーとかカサ増しいらん。かばんが重い。早くタブレット一つにしろ。特別支援教育がただの隔離政策みたいになっている。あの教室はまるでアルカトラズ。みんな同じように行動させられる。できない人間は目の前から消される。従順人間を作る内申書というクソ制度。いつまで富国強兵殖産興業のノリなんだ。素直な組織人間作って国が勝てる時代はとっくに終わってる。多様性の時代に決まってるだろ。個人の幸福を減らし、全体の国力も減らしてやがる。一致団結とかもう無理だから。オマエらのコントロールは吉とでないで凶と出るんだよ。オマエらの設定している学校なんてどうせ不完全。万人向けと思わずもっと謙虚になれ。道徳の時間まったくいらない。役人風情が無限の可能性を持った人の心に介入すんな。大学から哲学追い出すどころか中学から道徳追い出し哲学教えろ。美術が平均週一以下だと?バカにすんな。テメエら自身がバカになってるだろ。受験テクだけでT大行って、人生安全運転で官僚コースか。そんなやつらに舵取られるから日本は小手先の愚策連発でジリ貧コースなんだ。オマエらこそイケてる外国に行って小学校から勉強し直したらどうだ。
・・・



”受験テクだけでT大行って”以外は私もかなり真剣に同意です。

こんなこと言う人がいると知るだけで楽になる学生もいるでしょう。




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by terakoyanet | 2015-07-26 09:09 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)

ホテルオークラ東京の本館がまもなく取り壊されるとのことで、
東京オリンピックを間近に控える1962年に開業したこのホテルがもつ「日本的建築美の創造」を体現した同ホテルの取り壊しに対し、それを惜しむ声がやまないとのことです。(参照:ホテルオークラ取り壊しに世界が動いた ポール・スミス氏ら有名デザイナーが続々「待った」 マーガレット・ハウエル、〈ホテルオークラ東京〉解体計画に物申す!



本館ロビー
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吉野桜とオークラランタン
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ホテルオークラ東京は、他の東京のハイグレードなホテルに比べ、何といえばよいか、泊まり心地が特によいかといえば、いまやそうとは言えず(といっても全ての部屋がそうかどうかはわかりませんが) 断熱性と気密性の高いマンション暮らしに慣れた人たちにとっては、最近建てられたり改築されたホテルのほうが、その点(断熱性等)をフォローしているため身体がその部屋に馴染んで快適だと感じるのではないかと思います。

私の妻などはとてもその辺に身体が敏感なので、断熱性の高いホテルの部屋で羽毛布団で寝るときだけは、ぐっすり眠ることができることがあるけれど、そうでない環境では眠ることがあまりできていないように見えます。これはぜいたくだと言われても、一度慣れてしまうと身体がそうなってしまう人にとっては、何ともどうしようもありません。(ぜいたく化するのは何も精神だけではない。ぜいたく化することの本質はむしろ身体にあるように思われます。)

私自身はどんな環境でも眠ることができる「眠りの達人」です。雑踏のなかでも砂嵐のなかでも歩きながらでも眠ることができます。寒山で遭難して「今眠ると死ぬぞー!」と耳元で叫ばれながら、最初に死ぬ人間でしょう。
昨年モロッコのサハラに近い辺鄙な田舎の安宿に泊まった時には、同宿のヒッピー風の男性が奏でるシタールの音色を聞きながら「ようやく全ての雑踏から解放された」と私はすっかり悦に入っていたのですが、隣にいる妻は泣いていました。環境があまりに普段の生活と違うので、身体がついていかない不安で泣いていました。私は心底かわいそうだと思い、反省しました。

現在、私の妻のような都会暮らしの人が増えてきているとすれば、今回の建て替えは畢竟致し方ないのだろうかと思います。このままでは、ホテルオークラは、泊まり心地に高級感のない中途半端な印象のホテルになることを免れないし、高級ホテルと言われる割にはかなり割安な現在の価格設定を変えることはできないでしょう。

新しいオークラは、現在の「日本の伝統美」のイメージを携えたまま新しいステージに向かうことを目指しているようです。来年、東京に行くことがあれば、新生オークラに泊まってみて、妻に感想を聞いてみようと思います。



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by terakoyanet | 2015-04-15 11:16 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)