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今年の10月4日から大分県の国東半島にて「国東半島芸術祭」が行われていましたが、その期間もいよいよ明後日11月30日までとなりました。
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会期中は6つのプロジェクト+1つの展示があり、パフォーマンスプロジェクトが行われる日もある中で、わたしは無理やり仕事の合間を縫って出かけたため、わずか2つのプロジェクトしか訪れることができませんでした。


大学時代、国東半島に初めて出かけたときの第一印象は「さびしい場所」。
国東半島では、阿蘇や九重のような、人に微笑みかけるような親和的な自然を見ることができません。

何の規則性もなくただ無雑作に山を覆う雑木林、延々と続く似たような田園風景。
そして盛夏の中で、国東半島の植物たちは、ただその暑さを身を縮めてやり過ごしているように見えました。

国東半島は瀬戸内に面しているために、山がちな地形のわりに雨量が少なく、九州山地の凄絶な生命力を持った森林を見慣れた人間からすると、生える植物、殊に森林たちが貧弱に見えるのです。

だから、そのような森林たちの間を縫って辿り着いた石仏たちも、ことさら繊細でか弱いものに見えました。
(その繊細さに惹かれ、その後2・3度足を運びましたが。)


日本全国の半島、殊に鉄道の便が悪い半島には、近代化後の開発を逃れた手つかずの自然や文化の足跡が残されています。国東半島はその好例で、神仏習合の神社や寺(跡地を含む)に向かう参詣道の石畳、それに寄り添うように佇む無数の石碑、石仏は江戸時代とそれ以前の姿をそのまま私たちに伝えます。

そのような手つかずの場所に、今回の芸術祭では一時的にではあれ、(見る人によっては)得体のしれない赤い人形(千燈プロジェクト・後述)などが持ち込まれたため、一部の方などは眉を顰める場面もあったそうです。

しかし、今回の芸術祭の素晴らしさは、そのプロジェクト自体が国東半島が本来持つ風景の美しさ、文化の深遠さに触れる機会を見る人に与えてくれたことにあります。

私自身、ペトロ・カスイ岐部というかつての殉教者に思いを馳せながら辿り着いた岐部プロジェクトでは、木製の教会に立って、そこから見える思いがけない海と姫島の美しさに感銘を受けました。そして千燈プロジェクトでは、国東半島の六郷満山の原型が残る千燈寺付近の雰囲気の中に、凝縮された時間の厚みを感じ、そして赤い人形に釣られて岩場を登った先にあった五辻不動尊からは、瀬戸内・中国を遠望する圧倒的な景観を見ることができました。まさにアートプロジェクトが、国東半島がもともと持つ魅力に私を引き合わせてくれたのだということを感じました。その意味ではこのプロジェクトは成功と言えるのではないでしょうか。

そんな芸術祭も明後日まで。あと2回は訪れたかった。
でも、今回の導きにより、国東半島に行く楽しみが大きく増しました。
半島内に訪れたい場所がまだまだいくつもあります。

以下はプロジェクトで訪れた場所の写真です。



◇岐部プロジェクト

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この芸術祭に国東半島の写真集も出している石川直樹さんという若い知性が参加しているのは幸運なことだと思います。彼の写真はとても素晴らしく、国東半島に濃密な時間が流れていることを改めて思い知りました。(※写真撮影は許可をいただいています。)


◇千燈プロジェクト
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by terakoyanet | 2014-11-28 12:56 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

私は、ほっとけばいつまでも間断なく続く仕事に裂け目を入れるべく、たいした内容を伴わない旅の記事を合間に挟むことしばしばですが、受験が続く3月は頭を切り替えることさえかなわず、受験に関する記事ばかりを並べたててきました。

旅は話のネタではなく種にしたいと常々思っていますが、今日はネタにさえなるかわからないまま、バルセロナ市街地の大通り交差点の一角を占居するカサ・ミラ"Casa Milà"について少しだけ書きたいと思います。
カサ・ミラに着いてすぐ、デジカメが故障したので、写真はそのほとんどが携帯で撮ったものですが。

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カサ・ミラは現役の集合住宅ですが、内部(の一部)が一般公開されています。ガウディーは日本人の大好物なので、驚くほどの割合で同郷と思われる方々が群居しており驚きました。(かく言う私も日本人、と心でつぶやきながら。)

愛称は「ラ・ペドレラ」"La Pedrera" 石切り場の意味で、確かにそのスケールの大きさと波打つ石造りの壁面を見ていると、さもありなんと納得させられます。

中に入ると巨大な吹き抜けがあります。
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展示されているガウディがデザインした椅子(のミニチュア?)を見ると、圧倒的な実存を感じさせる建築とは全く別の印象を受けます。
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なんだか楽しげな屋上へ。
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屋上は高度感があり、若干足が竦みます。
屋上から下をのぞき込むと一瞬おいでという声が聞こえてゾッとしました。
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鎧をつけた傭兵のような、ナイジェリアの木細工の人形のような形をした塔は、実は煙突や換気口になっており、実用的なもの。
先が尖がった黒い塔の表面は、廃棄物のシャンパン瓶の欠片だそう。


屋上からは市街地を一望できます。
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屋根裏は襞のあるレンガ壁がアーチ状に連続しています。

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この写真ではわかりにくいのですが、部屋の隅々までが執拗に曲面で構築されています。そのために壁や天井が空間を仕切るものではなく、その空間自体が無尽蔵に増殖していきそうな蠢きを感じさせるものになっています。ただそれが居心地のよいものとは私には思えないのですが。


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訪れたのは肌をくすぐるような柔らかい風がふく晴天の午後で、屋上の奇怪なオブジェたちの陽気に当てられた笑顔が心に残ります。




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by terakoyanet | 2014-03-15 07:24 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

川棚温泉交流センター

下関市豊浦町の川棚温泉に行ったときに、下関川棚温泉交流センター(川棚の杜)を見学しました。
当日はカメラを持っておらず、スマホで撮った貧相な画像しかありませんが。
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山口県には注目すべき現代建築が複数存在するのですが、こちらの建物もそのひとつ。
一見すると幾何学的で人工的に見える建物ですが、そのフォルムは周囲の山容と見事な符合を見せます。

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その内観も素晴らしいのですが、私が最も強い印象を受けたのは床面。
床面がやや波打って見えるのがおわかりになるでしょうか。
これは刷毛目の扇形模様が無数に連続していることによる視覚効果なのですが、これにより建物自体がまるで生命を宿しているような印象を受けるのです。空間と時間が静止した、抜け殻のような箱もの空間とは一線を画する建築です。
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センターの中にはコルトーホールと烏山民俗資料館があります。
私たちが訪れたとき、資料館では雛祭・雛人形に関する興味深い展示が行われていました。

コルトーホールの名はピアニスト、アルフレッド・コルトーからつけられたもの。
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交流センターの外には、彼の没後50年を記念して?2012年にできたばかりのコルトーの銅像(青銅製)があり、響灘とそこに浮かぶ厚島(=孤留島)を見下ろしています。
ホールの外に佇むコルトーは何だか虚ろで寂しげに見えました。


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by terakoyanet | 2014-02-22 09:03 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

ソウルはおもしろい!!

ソウルは最高に楽しい場所です。
福岡から1時間ちょっとで着くし、チケットの取り方次第では往復1万円程度で行くことができる。安い宿もあるし、1泊でも十分楽しめます。大学生が友達数人や一人で旅するのにもいいと思うんです。

ソウルは冬もおすすめ。ソウルの冬はかなり寒いです。しかし、大陸性気候なので雪はさほど降りません。
背筋がぴんと伸びるようなからっとした青空が広がっています。
ソウルはとにかく見どころが多いです。しかも見どころに一筋縄ではない多様性があります。
寒くて一日中薄暗いヨーロッパの冬よりずっといいのではないかと思うくらいです。


韓国では旧正月を盛大に祝うので、どのお店も正月の休みは1月1日(元旦)のみで、その前後は通常営業。
だから年末年始に出かけても楽しめるのです。


私は正月にソウルを訪れ、たった1日だけぶらぶらと市内を散策しました。
そのときの写真です。以下はかなりオススメの場所です。
いろいろな素敵な店やスポットの情報収集をして、ぜひ出かけてみてください。


◆Leeum -サムソン美術館-  삼성미술관
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◆梨泰院 アンティーク家具通り 이태원 앤틱가구거리
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◆景福宮 경복궁
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*景福宮の3・4枚目の写真は2013年5月訪問時の写真です。



◆三清洞 삼청동
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◆北村 북촌
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◆北村コットゥ博物館
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◆桂洞通り 계동길
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ヴェネチアではリアルト橋近くのカナル・グランデ沿いのホテルに滞在しました。
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滞在先からカナルを挟んで対岸に見えていたのが、「ヴェネチアの宝石」とでも呼びたくなるような美しい建物、カ・ドーロ。
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カ・ドーロは、1430年にヴェネツィア貴族コンタリーニ家のために建てられた邸宅です。

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床や壁に配された大理石のモザイク柄がとても美しく、印象的でした。





カ・ドーロの上階にはジョルジョ・フランケッティ美術館"La Galleria Giorgio Franchetti"があり、マンテーニャが最晩年の1506年ごろに描いた『聖セバスティアヌス』が、厳粛さを漂わせる大理石空間の真ん中で威容を放っていました。
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聖セバスティアヌスといえば、三島由紀夫の『仮面の告白』のなかで主人公が魅了されたグイド・レーニの絵画『聖セバスティアヌスの殉教』があります。

グイド・レーニのそれが官能的な甘美性を有した若々しい少年像であったのに対し、マンティーニャのそれは人間の生の苦悶を凝縮したような、見る者に強い痛みを感じさせるものでした。
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三島はプライベートでもグイド・レーニの絵画の構図を模した写真を自らをモデルに撮っています。
三島はその甘美性に惹かれた一方で、彼自身の志(こころざし)は、別の方に向いていたように思えます。

彼が割腹自殺をする直前に執筆された『天人五衰』に登場する少年の透は、イタリア美術の中で、マンテーニャが好きだと答えています。
マンテーニャを介すことで、透という不可思議な少年の背後に、陰惨な暗い闇が広がるのを感じます。
死を目前にした三島が、透という少年に託したものは何だったのかを考えずにはいられません。


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by terakoyanet | 2013-11-25 12:49 | 雑感・授業風景など | Trackback | Comments(0)

福岡県豊前市(一部は築上町)の求菩提山は興味深い場所です。
古くから霊山として知られ、山中にはいまだに多くの史跡が残る(国の史跡に指定)とともに、付近には山伏たちが住んでいた集落が残っています。

先月、岩洞窟に行った後、求菩提資料館に行き、そこから求菩提山に登り、五窟巡りをしてきました。

この記事では、最初に行った岩洞窟の写真を載せます。

岩洞窟は、豊前市街から県道32号線を20分ほど南下した岩屋集落にあります。
ちなみに岩洞窟は、「岩屋」という地名の由来になっています。

県道沿いに「岩洞窟」の看板がありますので案内通りに曲がって小道に入って200mほど。
迷うことはないでしょう。

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田畑と畦道の中に岩場があり、そこを少し上ると岩窟があります。
昔のままの信仰の形が残っている素晴らしい史跡です。
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この岩洞窟に特別な装飾を与えているのは、窟の天井にある壁画です。
具象性が低く、何が描かれているか判断しづらいのですが、案内板によると、仏の周囲を飛び回る天人「飛天」が描かれているとのことです。
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求菩提山は、その麓の集落―石垣の棚田で知られる―を含め、興味が尽きない場所です。
また、記事を書いていくつもりです。


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by terakoyanet | 2013-11-18 07:35 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

教室で使う教材の資料集めという口実もあり、バルセロナ(スペイン)にあるサグラダファミリアに行きました。
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サグラダファミリアに携わった建築家と言えば言わずともしれたアントニ・ガウディです。
私はガウディが特に好きというわけでなく、というより、私は彼の建築をぱっと見たときに受ける「異形」「過剰」といった印象にいまいち馴染むことができず、よくわからないなと思っていました。(いまも思っていますが。)

磯崎新氏の近著に『気になるガウディ』という本がありますが、私はガウディが何となく「気になる」という理由で、バルセロナの町に点在する彼が携わった建築物のいくつかを訪れました。

サグラダファミリアには、その表面を這うように無数の石彫が置かれています。あまりにたくさんあるので目移りしてなかなか定点に視線が向かないのですが、そのなかで思わず目に留まったのが、「ペトロの否認」をモチーフにした彫刻。
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直前にイエスに「あなたは鶏が鳴く前に3度私を否認する」と予告され、それに対し「あなたとともに命を落とそうともそのようなことはありません」と全否定していた使徒ペトロ。

それなのに、イエスが捕縛された後、「あなたイエスといっしょにいたでしょ。そのあなたの訛りが何より証拠よ。」と界隈の女たちにツッコミを入れられ「私はあんな男のことなんか知らない」と激しく否認。そして3度目に否認したとき、同時に鶏の鳴き声が悲しく響く。ペトロはそのあと群衆から離れ、一人で泣くのです。

幼いころその話を教会で聞いた私は、鶏の鳴き声が響いた瞬間に戦慄を覚え、そしてそのあと次第に悲しくなりました。

イエスはペトロの裏切りについて彼に話していたとき、つらかっただろうと思います。
愛すべき弟子たちは私をことごとく見殺しにする。私はひとりぼっちで死ぬ。
彼はそのことがわかっていたわけですから。

一方で、裏切ってしまったペトロも、「あなたは私を否認する」と話しているときのイエスの顔を思い出して泣いたのでしょう。
頭に焼き付いて離れないその顔は、憂いとともに、底なしの慈悲深さを湛えているのです。
私はあんなに美しい人を見殺しにしてしまった。彼の自責の念はどれほどのものだったでしょう。

そんな聖書の場面を思い出しながら、自らの衣服にグルグル巻きになって、身も心もそのまま埋もれてしまいそうなペトロの顔を見ていました。


サグラダファミリアには多くの人がいましたが、日本人の姿も目立ちました。
ガウディーはやはり日本人に特に人気です。
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サグラダファミリアはガウディーの没後100年にあたる2026年に完成することが決定したそうです。
いまやサグラダファミリアは「ガウディ」という巨匠の神話を完成させるための象徴となりました。
伝統的な施工法に忠実な面があった一方で、設計図を書かず、その場で気に食わなければぶっこわして造り直すという現場主義をとったガウディ。そんな彼の死後に、彼の意志に基づいて大聖堂を完成させるというのはどだい無理な話です。

もうそれならガウディをイメージしたテーマパークをつくっています、と言ってしまえばいいのですが、世界遺産というお墨付きももらったいま、あくまでガウディという亡霊と対話しながら、ガウディの遺志を継ぐというスタンスで、着々と工事が進んでいるわけです。(※世界遺産に指定されたのは聖家族教会の一部ですが。)

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2026年に完成するのは壮大な虚構の城です。

2000年近くが経過した今も磔刑の憂き目から逃れられないイエスは、この大聖堂をどんな面持ちで見るでしょうか。やはりあの憂いと慈悲深さを湛えた顔で、私たちを見遣るのでしょうか。

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by terakoyanet | 2013-10-11 14:46 | 寺子屋エッセイ(読み物) | Trackback | Comments(0)

済州島のフェニックスアイランドリゾートに行きました。
島東部の城山浦岬上にあり、美しい海岸地形を堪能できる場所です。
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フェニックスアイランドリゾート内のグラスハウスに向かいました。
リゾートは広大ですが、シャトルバスで移動することができるので楽チンです。

グラスハウスのエントランスに到着。
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エントランスの向こうには、額縁で切り取られたように世界遺産城山日出峰の姿が。なんと粋な。


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グラスハウスは日本を代表する建築家安藤忠雄氏の設計。

グラスハウスは安藤忠雄氏のパブリックイメージそのままの打放しコンクリートが前面に押し出された建物で、済州島の自然美の中で、グレーの人工美が際立ちます。

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グラスハウス内のレストランMintへ。
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レストランハウス内には円柱が立っています。これも艶のある打放しコンクリートでできています。


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店内から望む景色。開放感があり、ときめきがある贅沢な時間です。

こちらはお料理も美味しいことでしられています。私たちは夕方に訪れたので、デザートプレートとドリンクをチョイス。とても美味しいし、値段も高くありません。
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Mintで楽しい時間を過ごした後、グラスハウスを出て少し散策をし、フェニックスリゾートをあとにしました。
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by terakoyanet | 2012-06-02 07:36 | 好きな場所 | Trackback | Comments(0)

マカオの旅ではたくさんの世界遺産の建物を巡りましたが、なかでも最も印象的だったのがこちら盧家大屋。

中国広東省生まれの貿易商、廬華詔がマカオにいくつか建てた豪華な建築物のうちのひとつ。
彼は貿易商として大きな成功を遂げただけでなく、晩年には民衆への慈善事業を行ったことで知られ、マカオでは偉人として称えられています。

外観があまりに地味なので、いったいこの辺のどこに世界遺産の建物が??という感じで、通り過ぎてしまうこと必至なのですが、一歩敷地内に入ると、とたんにハイセンス空間が広がります。廬華詔氏はなんと高邁なオシャレさんだったのでしょうか。

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